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【レポート】北大コンパスプロジェクト~ウェルビーイングの探究は対話から始める~

まだ上手く説明できないウェルビーイングという言葉

最近、メディアでもよく見聞きする「ウェルビーイング」という言葉。
英語(Well-being)をそのまま訳せば「良いあり方」。
WHO(世界保健機関)の憲章草案で用いられた「身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること」と説明されることもあれば、これまで「幸せ」と言っていたものと置き換えるように使っている場面も多いかもしれません。

皆さんも、環境が大きく変化する中で、ウェルビーイングという言葉は使わなくても、自分の心地よい暮らし方、働き方に目を向ける機会は増えたのではないでしょうか。
私自身も、昨年後半から仕事と暮らしのバランスを考え直すようになったり、仕事の中でもウェルビーイングと教育のつながりについて探究するようになりました。

いろいろな本や記事を読んだりして頭では理解しているつもりでも、「自分にとっての」を考えると意外と上手く言葉にならないもの。他の人はどう考えているんだろう?と関心は高まるばかり。

Well-being 北大コンパスプロジェクトの概要

そんなタイミングで見つけたのが、北海道大学の山中康裕先生が主催される「Well-being 北大コンパスプロジェクト」でした。
対話から始めるウェルビーイングの探究というコンセプトで、昨年度オンラインでスタートして今年は第2期。
いろいろな人と話すことで見えてくることがあるかもと興味を惹かれ、説明会視聴後、すぐに応募を決め、参加させていただけることになりました。

以下の流れを予定している全体プログラムの第0回が、今回のキックオフ。

Well-being_北大コンパスプロジェクト全体像

多様な参加者が初めて顔を合わせたキックオフ

どんな人が参加するのか、どきどきしながらZoomにアクセスしました。
大学生から人生の大先輩の年配の方まで、ここまで多様な方々がオンラインで集まる機会はなかなかないのではというのが第一印象。

山中先生の開講挨拶での「ひとりひとりが人生の主役。それを大切にしようよ」というメッセージ。ゴールは決めず、方向性だけを決めているというこのプロジェクトの進め方。指示の通りに描く(書く)ことから、同じことを聞いても受け取ることは様々だよねと体感するワーク。
参加者が多様な中で、この学びの時間自体がウェルビーイングであるため工夫がたくさんある場でした。

ウェルビーイングの対義語と類義語

中でも、特に印象に残っているのは「ウェルビーイングの対義語を3つ書いてください」という問い、つまり、ウェルビーイングでない状態を考えることからワークが始まったこと。
自分が求める状態を考えることはあっても、求めない状態を考える機会は多くないのではないでしょうか。

そんな中で私が思い浮かんだキーワードは、「孤立」「分断」「対立」でした。4人グループで、それぞれが書いた内容をシェアする中で、自分が挙げたものが「他者との関係性」に寄っていることに気付きました。
健康状態や自己表現など、他の方の意見を聴くと「それ大事!」と思う観点が、1人で考えているときには全然浮かばなかったのです。
もしかすると、他者との関係性ばかりを意識していることが、自分への意識をおろそかにして、ウェルビーイングでない状態をつくっているのかもしれません。

そして、次の問いが「ウェルビーイングの類義語3つ」だったわけですが、ここで私は「つながり」「健康・満たされる」「共感・理解・尊重(自分も他者も)」を挙げました。他の参加者の皆さんのシェアからの影響を受けて、自分の思考が広がる感覚がありました。

Well-being_北大コンパスプロジェクト_キックオフチェックアウト

チェックアウトではこの時間のまとめとして、こんなシートを書きました。

対話するからこそ見えてくる自分の感覚

自分が意識を向けるもの・ことが偏っているということは、他の誰かの考えと比べて見たり、周りからフィードバックをもらったりしないと気づけないことも多いのでしょう。だからこそ、このプログラムではウェルビーイングの探究を対話から始めるのだ、ということを実感する時間になりました。

この時間を過ごして、私がこれから半年かけて考えていきたい問いとして、一番に挙げたのは「あらためて自分にとってのウェルビーイングって何だろう?」です。

ウェルビーイングには医学的、快楽主義的、持続的なものがあるという説明もありましたが、私は知識として理解していることに引っ張られて、本当の自分の感覚を言葉にできていないのではないかということにも、今回気づきました。
この場は「私たちから新しいことを考えていくために、まだ見たことないものを話す時間」と言われましたが、外からの知識ではない言葉をこの場で紡いでいくことをこのプロジェクトを通して実践していきたいと思います。

皆さんもちょっと言葉にしてみませんか?

どのような状態がウェルビーイングかは、人それぞれだからこそ、意見が違ったら…と思うとなかなか本音で話せないこともあるかもしれません。でも、私が経験したように違うからこそ広がる可能性もあるのではないでしょうか。

よかったら皆さんも「自分にとってのウェルビーイングって何だろう?」を言葉にしてみてください。そして、誰かの言葉を受け取ってみてください。
この文章が、読んでくださった皆さんがウェルビーイングについて考え、それを誰かと話してみるきっかけになればうれしいです。

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