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バスケット女子日本代表12名について勝手に語る(後編)

前編に思わぬ数の感想をいただき、調子に乗っています。引き続きWリーグ沼から、女子日本代表の各選手について好き勝手にお送りいたします。本当に、個人の主観でしかないのでご容赦ください。

#12 三好南穂選手 SG トヨタ自動車アンテロープス所属 167cm

バスケット選手のほとんどは、一目見れば分かる突出した体格や運動能力の持ち主が多い。その中では全く目立たない。その代わりと言っては失礼だが、三好選手は気持ちが強く、勝負強い。これが最大の魅力だと思う。三好選手はスリーポイントシューターだ。リオオリンピックではほとんどプレータイムをもらえなかったが、残り7秒(?)だかで出場してスリーポイントラインから遠く離れたロングスリーをワンチャンスで決めた実績がある。今回の代表選考でとても大事な親善試合でも、1試合目の4ピリだけで4本、次の試合でも4本スリーポイントを決めて代表の座を掴み取った。

三好選手のスリーポイントは「ズドン」と入る。回転の具合か、軌道のせいか分からないけど、効果音は間違いなく「ズドン」。あるいは三好砲と呼んでも良いかもしれない。敵チームから見ると「ウッ」と腹にくる重みがある。そして入りだすと止まらない。ズドンズドンズドン。敵チームから見ると腹に何度も蹴りを入れられているような感覚になる。死ぬ。しかし代表チームにいる限りは味方なので安心だ。10月から始まる国内リーグのことは一旦忘れることとする。

#27 林咲希選手 SG  ENEOSサンフラワーズ所属 172cm

スリーポイントシューター。宮澤選手が「正確無比」、三好選手が「ズドン」、ときて、林選手のスリーポイントは「柔らかい」。膝から全身が連動して放たれるその動きの柔らかさは、生で見ると鳥肌が立つ。キャッチする前から膝が準備していて、キャッチした瞬間に放つクイックなシュートフォームは、ヘッドコーチによるとステファンカリーに似ているらしい。どんな体勢でもらっても柔軟にシュートに繋げられる柔らかさは稀に見るレベルだと思う。

キャッチアンドシュートのピュアシューターは自分でクリエイトできない選手も多いが、林選手の強みは判断が良いことだと思う。シュートが無理な時には瞬時の判断でドライブに行き、堅実なパスを選択できる。ただし、ドライブに行くとヘッドコーチには怒られるそうだ。ファンから見たらナイスプレーなのになぁ。

#32 宮崎早織選手 PG ENEOSサンフラワーズ所属 167cm

絶対王者のチームで下積み時代が長く、昨シーズンの国内リーグで飛躍した選手。オリンピックが延期になっていなければ、東京オリンピックに出場することはなかった。駆け込みシンデレラガール。しかしその分、代表チームでは相当苦労したと思う。それは親善試合を観たファンの目にも明らかだった。何しろ死ぬほど怒られていた。ヘッドコーチ、頭の先まで真っ赤。無理もない。所属チームのバスケットはインサイドにボールを入れることが最優先。代表チームのシステムはスリーポイントをいかにフリーで打つかに重点が置かれる。全然違う。これに数週間の合宿を何度かで慣れるのは難しい。

それでも宮崎選手がチームに入ったことを、ヘッドコーチは「トランジションの速さ」と説明した。そう、宮崎選手は何と言っても速い。速すぎて見えない。特にトランジションでボールプッシュした時に、そのまま自分で決めに行くレイアップシュートの速さは異次元だ。また、スリーポイントを打つタイミングも独特の速さがある。擬音語にすると「ピャッ」って打つ感じ。相手がちょっと離れた瞬間に「ピャッ」って打つのが上手いなと思っている。

負けず嫌いを全面に出すのも好きだ。「ディフェンスで抜かれないコツは、抜かれても追いかけること」だそうで、ちょっと負けそうになっても絶対に負けてなるものか!という闘志が見ていて気持ちいい。

#88 赤穂ひまわり選手 SF デンソーアイリス所属 185cm

細長く、走れて跳べる。だからパワーは弱いのかと思いきや、ゴール下のぶつかり合いにも負けない。一体あの細い身体のどこにそんなパワーが眠っているのか不思議。不思議と言えば、赤穂選手の元にはボールが降ってくる。相手のシュートも味方のシュートも、外れると全部赤穂選手の上に降ってくる。決してガツガツしているようには見せないが、ボールへの嗅覚が素晴らしく、リバウンドを荒稼ぎする。

得点もガツガツ取りに行かない。しかし感性を研ぎ澄ましここぞという時に相手のスキを突く。センスの塊。パスすると見せかけて突然ドライブしたり、よそ見したディフェンスの裏を走ったり。そして忘れちゃいけないのが、絶対にゴールに近いシュートを外さないファンダメンタル。

これでまだ22歳。2020が終わっても最低でもあと2回はオリンピックに出て欲しい逸材だ。

#99 オコエ桃仁花選手 PF 富士通レッドウェーブ所属 182cm

恵まれた体格から、一見するとローポストでどっしり構えてゴリゴリとゴール下で勝負する選手に見える。しかしオコエ選手の1番の武器はスリーポイントだ。体格の良い選手がスリーポイントを決められるのは素晴らしい。なぜなら、マッチアップした相手のビッグマンがスリーポイントラインまで引っ張り出されるから。オリンピックの日本の躍進は、オコエ選手にかかっていると予想している。

オコエ選手のもう一つの武器は、ポジティブマインドだ。代表選出がかかった親善試合で周りの選手が悲壮感を漂わせる中「楽しめばいいかなと思って」と言い放ち、頭の先まで真っ赤なヘッドコーチが目の前で激怒していてもニコニコしている。しばしば真面目すぎる日本の女子選手の中で、キャプテンに次いで不可欠な存在だと思う。オリンピックが開催された暁には、きっと彼女がやってくれる。そんな予感がしている。

#20 東藤なな子選手 SG トヨタ紡織サンシャインラビッツ所属 174cm

何を隠そう、自分の応援しているチームの選手を除いた全バスケットボール選手の中で、1番好き。まだ高卒2年目のシーズンを終えたばかり、2000年生まれの選手だ。高校3年時にWリーグのデビュー戦で2桁得点を上げるほどのオフェンス力を持ちながら、さらにそれを上回るディフェンス力に驚愕する。誰よりも腰が低い。身体も強く、当たり負けしない。そしてコート上では1秒たりとも絶対にサボらない。

現地で東藤選手を見ると、まずその立ち姿に惚れる。筋肉質で均整のとれた身体つきが死ぬほどかっこいい。目の前でアップのシューティングをしていただけで、惚れてしまった。試合が始まると、運動量が物凄い。嬉々としてボールを追いかける。ゴールに向かって一目散に走る。ボールを持ってる相手に詰め寄りプレッシャーをかける。その様はさながらチーターのよう。エネルギーの塊。足音が鋭い。冒頭の写真の右の方でシュートチェックに飛んでいるのが東藤選手。ボディバランスが素敵。

近い将来、日本代表のキャプテンになると思う。それくらいスペシャルな選手だ。


以上、Wリーグ沼からm.a.がお届けしました。これをきっかけに「ちょっと女子バスケ見てみようかな」と思う方が1人でもいたら泣いて喜びます。女子バスケはいいぞ!

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