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バスケット女子日本代表12名について勝手に語る(前編)

日本時間7月1日午前11時。バスケットボール女子日本代表の12名が発表された。実は1番応援していた選手が少し前に選外になっていたのでとても複雑な気持ちではあるが、せっかくなので代表に選ばれた12名について、私の勝手な想いを語ることにした。

#8 髙田真希選手 C デンソーアイリス所属 185cm

日本代表キャプテン。小学生の時に空手で全国優勝した経験があるそうで、それで培われたと思われる体幹、身体の強さが売り。プレーはあまりガツガツしない、無理はしない、堅実な選択、だけど国内のリーグだと息をするように30点とか取る。1試合に20得点だと相手チーム目線で「髙田選手を20点に抑えた」とか言われる。余談だが私は10年間続けたバスケット人生で20点取った試合などただの一度もない。

国際試合になると高さで劣勢になり得点は減るが、守備の貢献が物凄い。その活躍はコートにいると決して目立たないが、ベンチに戻った時に「ゴン、お前だったのか…」って感じになる。いなくなって分かる凄さ。分からない方は「ごんぎつね」をググってください。

あとは何と言ってもキャプテンシー。必要な時に必要な声かけができる選手。数年前の国内リーグの試合中、チームの中心選手が怪我で退場し、ベンチと会場がざわついた。その刹那、髙田選手の声が響いた。「ここ集中!」私はこの時ほど「凛とした声」という表現が合う声を聞いたことがない。観客席まで含めてシンとして、一瞬空気が止まったように感じた。私は髙田選手と同い年だが、人生何回目ですかって聞きたくなるくらい堂々としていて、チームの雰囲気をリードできる選手。凄い方です。

#13 町田瑠唯選手 PG 富士通レッドウェーブ所属 162cm

波なチームにいるが本人のプレーには全くと言って良いほど波がない。常に冷静沈着、針の穴を通すパスがピュンピュン供給される。個人的には今の日本でNo1ガードは町田選手だと思う。町田選手だけ見ていると分かりにくいのだが、他のガードが出ると「ゴン、おm…(以下略」となる。判断がコンマ数秒他の選手よりも速く、その分簡単にパスを出せている、ように見える。実際は到底簡単でないが、巧さゆえに簡単に見える。

しばしば選手同士の相性というものが語られるが、女子バスケットファンは常に「ルイさん(町田選手)と〇〇さんは相性が良い」と語る。○○さんには任意の選手が入る。つまり町田選手が常に仲間に合わせたプレーをしているのだ。偉大すぎる。

ちなみにコートに立つと町田選手はとても小さく見えるが、162cmなので一般女性の平均身長よりは4cmも高い。日本は小さいとはいえ、バスケット選手の身長は浮世離れしているなと感じる。

#0 長岡萌映子選手 PF トヨタ自動車アンテロープス所属 183cm

高校生の時から日本代表に呼ばれるスター選手。高校の全国大会では自分でリバウンドをとって、そのまま自分でドリブルして自分でシュートまで決めてくる「何でもやる選手」だった。身体がとても強く、走れる。代名詞はスピンムーブ(だと勝手に思っている)。ダイナミックなスピンが他の選手とは一線を画し、かっこいい。長岡選手のスピンムーブが出るたびに叫んでます。

プロに入って数年は波が激しい印象も受けたが(当時は波なチームにいたし)、最近は本当に常に良いプレーをする。彼女の良いところは、ディフェンスを超頑張るところ。特にインサイドが手薄な女子日本代表チームにとって、長岡選手のディフェンスは絶対に欠かせない。2m近い選手を相手に身体をバチバチぶつけながらしつこく守るのは圧巻だ。言われなきゃ気付かないところなので、ぜひ全国の皆さんに注目して欲しい。テレビ解説の方、しっかり言及してください。よろしくお願いします。

#52 宮澤夕貴選手 SF 富士通レッドウェーブ所属 183cm

長岡選手といえば宮澤選手。宮澤選手といえば長岡選手。というくらい、高校時代から常にセットで語られてきた宮澤選手。同級生で身長も同じだが、プレースタイルは全く違う。宮澤選手の代名詞はスリーポイントシュート。これは私が勝手に言っているわけではなく、女子バスケット界隈では常識の範囲内だ。とにかくよく入る上に、ワンハンドで打点が高いからブロックしづらい。そしてとにかくよく入る。敵チームとしては宮澤選手にボールが渡った時点で絶望的な気持ちになる。シュートマシーン。

SNSから感じとれる私生活では、料理やお絵描き、美容など多彩な趣味を物凄い完成度で仕上げている。その対象が何であっても完璧を目指し、しっかり遂行できる方なんだろうと推察している。それが正確無比なシュートにもよく現れている。最近英語を勉強し始めたと聞いて「間違いなく1年でペラペラ喋れるようになるだろうな」と思った。こういう方は、何をやっても凄い領域に行くのだ。オリンピックが開催された暁には、英語での優勝インタビューを期待している。

#30 馬瓜エブリン選手 PF トヨタ自動車アンテロープス所属 181cm

ムードメーカーで、メディアへの露出も圧倒的。なんだけど、とても繊細な性格に見える。国内リーグではトップクラスの得点力でドヤ顔でプレーしていて、正直敵チームとしてはかなり憎らしいが、日本代表に来るとどこか萎縮している時期が長かった。しかし最近の馬瓜選手はちょっと皮がむけてきたように思う。プレーに自信と余裕が感じられるようになってきた。そうなった馬瓜選手は強い。信じられない跳躍力と走力、身体の強さでバスケットカウントを勝ち取ってくる。ナイスプレーの後の派手なガッツポーズも絵になる。

3月に所属しているトヨタ自動車アンテロープスが初優勝した時のインタビューで、「Wリーグファンの皆さんお待たせしました〜〜!!」と叫んだ馬瓜選手。オリンピックが開催された暁には「日本の皆さんお待たせしました〜〜!!」が流行語大賞に選ばれることを期待している。

#15 本橋菜子選手 PG 東京羽田ヴィッキーズ所属 165cm

一昔前の日本代表は、国内リーグの上位チーム(=企業チーム)の中心選手がメインで選考されていたので、地域密着型・ベスト8に残るか残らないかの地域クラブから日本代表選手が選ばれるなんて、夢物語だった。5年前に現在のトム・ホーバスヘッドコーチになり、色んなチームから日本代表候補に招集されるようになって、あれよあれよという間にアジアカップMVP選手まで上り詰めたのが、本橋選手だ。

初めて代表チームでプレーする本橋選手を見た時の感動は忘れない。複雑な代表チームのバスケットボールを理解して、淡々と遂行する。物怖じせずに決めるスリーポイントシュート。消して恵まれているとはいえない体格なのに、ヒラリヒラリと相手のドライブコースに入るディフェンス。的確な判断。文句なしの良い選手。こんな選手がいたなんて。その夜は興奮のあまり2時間くらい眠れなかった。

また、特筆したいのが本橋選手のお人柄。にっくきコロナが現れる前は、代表戦は試合後にコート周りを選手が回ってくれて、ハイタッチしてもらえた。試合の疲れもある中、何百人とペチペチとハイタッチして回るのは正直しんどいだろう。無理もない。しかし本橋選手は、しっかり一人一人と手を合わせ、手だけでなく目を合わせて、「ありがとうございました」と丁寧に言ってくれたのだ。胸を撃ち抜かれた。天使か。

さらに余談だが、本橋選手は書道が上手い。以前本橋選手の所属チームが開催した俳句大会に応募したところ、賞をいただき、その賞品として本橋選手直筆の習字が送られてきた。日本全国に正真正銘一枚しか無い、貴重な作品はこちら

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…6人書いた時点で3000字を超えてしまったので、残りは後編へ続きます。


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