じいさん#6 お迎え

じいさんちは宮城県の仙台市にある。
小学生の僕たち4人は、夏休み初日から上野駅に集合して、東北新幹線に乗って仙台に向かう。

従兄弟の僕たちは夏休みが始まったことと、じいさんちに遊びに行くことで興奮しきっていて、僕はいつも前日の夜はよく眠れなかった。

新幹線のプラットフォームでそれぞれのお母さんとお別れすると、その瞬間日常から解放されてお祭りが始まる。

車内では座席を向かい合わせて、学校であったことを話したり、パックンチョを食べたり、コミック本のコナンを読んだり、それぞれリラックスして過ごす。
僕は1番上だから、じいさんに会うまでは僕がリードしないといけない。降りる駅を間違えたり、寝過ごさないように注意した。

仙台駅に着く頃に、馴染みのメロディとアナウンスが流れてきて、僕はそれを合図に

「おい、もう着くぞ。」

と準備をするように呼びかけて、降りるとじいさんが待つ改札に向かう。

じいさんは文字通り首を長くして待っていて、そんなじいさんの姿が見えると、


「あ!じいさんだ!」

とみんな走ってじいさんの方に向かう。
じいさんは屈んで両手いっぱいにみんなを抱きかかえ、

「おー!よく来たよく来た!」

と顔が溶けたような笑顔になる。
僕はそんな光景を見ながら安心して、1番最後にゴールした。

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