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じいさん

8
平成前期のじいさんと僕の話。
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#ショートショート

じいさん#8 焼肉レストラン

じいさん#8 焼肉レストラン

じいさんはせっかちで、夕飯は外で焼肉を食べようと18時に予約しても17時には、

「もう行くぞ。」

と言ってテレビゲームをしている僕を急かしてきた。

車でだいたい10分、15分で着く店だからばあさんが、

「いくらなんでも早すぎますよ。」

とほとんど呆れたように笑う。

それでもお構いなしで、

「寄りたい所があるから、車暖めておく。」

とせっせと出て行ってしまった。

僕は遊びに来たとき

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じいさん#7 ショッピング

じいさん#7 ショッピング

イトーヨーカドーの立体駐車場に駐車する時、うまく駐車できるとじいさんは、

「よし1発で入ったぞ!」
と嬉しそうで、やり直しになると、

「あー、じいさん下手くそだなぁ。」
と悔しがる。

子供服売り場を目指すエスカレーターの手すりに、僕がトレーナーの袖から肘のあたりまでつけてだらっと乗っていると、

「汚いぞ。雑巾掛けしてるのか。」

と怒られた。僕は汚れるというのは外の泥がついたり、砂まみれに

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じいさん#6 お迎え

じいさんちは宮城県の仙台市にある。
小学生の僕たち4人は、夏休み初日から上野駅に集合して、東北新幹線に乗って仙台に向かう。

従兄弟の僕たちは夏休みが始まったことと、じいさんちに遊びに行くことで興奮しきっていて、僕はいつも前日の夜はよく眠れなかった。

新幹線のプラットフォームでそれぞれのお母さんとお別れすると、その瞬間日常から解放されてお祭りが始まる。

車内では座席を向かい合わせて、学校であっ

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