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BCC Day 6「Street Photographer」 ヴィヴィアン・マイヤー

7日間 BCC(book cover challenge)のお誘いをOsamu Okamotoさんからいただきました。
好きな本の表紙を1日1冊、7日間投稿で僕の嗜好をシェアしたいと思います。「本の説明はなし、表紙だけ」というルールらしいですが、勝手に改変してその縛りはなくします。

Day6は 「Street Photographer」ヴィヴィアン・マイヤー

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ヴィヴィアン・マイヤーは優れたストリート・フォトグラファーであり、市井の人々のドラマの一瞬を逃さず捉えています。それらのヒューマニズム溢れる作品群がフランスの巨匠ドアノー、ブラッサイ、エドゥアール・ブーバを彷彿させるのは、ヴィヴィアンの母がフランス人で本人(ニューヨーク生まれ)もフランス語が堪能だったからかもしれません。
このように写真は撮り手の内面が醸し出るものだし、その関係性にとても興味があったので、映画『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』を観ました。

誰にも見せることなく亡くなったヴィヴィアンのガレージにしまい込まれてたネガ15万枚が好奇心旺盛な1人の青年から発掘され、インターネット経由での瞬く間に世界を魅了したサクセスストーリーかと思いきや、既に亡くなったヴィヴィアンと交流のあった人々のインタビューから構成されるドキュメンタリー映画でした。

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ヴィヴィアンはこれだけ優れた作品の大半は現像もせず、発表も行ないませんでした。功名心がないというよりは、撮影が彼女の性癖だったのだと感じます。部屋中に新聞紙を壁のように山積みになって収集していたり、その一部を失うとショックで常軌を逸してしまう等、ヴィヴィアンにとって撮影も新聞も生きていく上で唯一寄り添える大切なアイテムだったのでしょう。

人々のインタビューからは、変わり者でコミュニケーション能力に乏しい偏屈な人物像が浮かび上がります。天才と変人は紙一重であるし、その狂気があれだけの作品を大量に残させたのでしょう。

映画の中で写真家ジョエル・メイロウイツツが彼女の事をコメントします。
「人間やストリート・フォトの本質がよく分かっている。」
「ストリート写真家は雑踏を恐れない社交的な性格の持ち主だ。
だが、同時に孤独な者でもある。外交的かつ内向的だ。被写体をまるごと抱きしめるが、自らは引いて存在を消す。」
「被写体が身構えない距離に誘う。彼女はこの距離感を知っていた。」

写真家として誰にでもローライフレックスを向ける外向性と、決して自分の内面を見せない内向性。インタビューはフラットにその真実を浮き彫りにしていこうと慎重かつ丁寧に制作されてます。
もちろん、人によってヴィヴィアンへの印象は変わる部分と変わらない部分はあるし、結論はありません。でも、それこそが優れたドキュメンタリーだと思いました。

映画としては、ラストシーンにヴィヴィアンの作品をどっと流してくれると、更に映画に深みが出て余韻が残ったのになぁと思ったのが唯一残念な点。
とは言え、彼女を発見し、世に知らしめたジョン・マルーフに感謝しています。

では、写真集「Street Photographer」に収められてる写真を再度見返す中で、おこがましいですが、彼女と僕が撮影した中で類似のモチーフの写真を選んでみたいと思います。

photo by Vivian Maier  少女の友情

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photo by T.Matsunaga  少女の友情(マレーシア)

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photo by Vivian Maier  泣く子供

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photo by T.Matsunaga  泣く子供(マレーシア)

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photo by Vivian Maier 覗く足

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photo by T.Matsunaga  覗く身体(ネパール)

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この7日間 BCC(book cover challenge)も残すところあと一日となりました。最後の写真集は既に決まってます。では、また。

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