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サンダルとオペラとわたし

イタリアで出会った日本人の女の子に、
「当日立ち見席なら、オペラが4ユーロでみれるよ」
と教えてもらった。

ウィーン国立歌劇場は、世界三大オペラ座のひとつだ。観たいに決まってる。

この安さなので相当な人気らしい。
張り切って開場2時間前に"ticket"という看板がある場所の前のベンチで受付がはじまるのを待つ。

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.....おかしい。
全然人が来ない。受付もはじまらない。かれこれ1時間は経つ。勇気をだして、カタコトの英語とジェスチャーで係員に聞いてみる。

なんと、当日券売り場はぐるっと回って反対側らしい。なんの時間を過ごしてたんだわたしは。気持ち小走りで売り場へ向かう。

当日券売り場の入り口には、係員のような男性が2人、入り口を挟んで両脇に立っていた。服装のチェックをしているようだ。前に並んでいるバックパッカー風の(たぶん)20代の日本人男性2人組は追い返されていた。

ヨレヨレのTシャツに、半ズボンにビーチサンダル、ぼさぼさの髪。そりゃそうだ。仮にに私が係員だったとしても絶対入れたくない。

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そういう私もサンダルだったので内心ヒヤヒヤしていたが、大丈夫だった。念の為ワンピースで来てよかった。

とりあえず、半ズボンは禁止らしい。

入り口の中に入ると、もうすでに行列が出来ていた。30人くらいはいそうだ。あぁ、本当は1時間も前から待っていたのに...。

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奥の茶色い壁のところに、チケット売りのちいさな窓口がある。冷房が無くてとにかく暑い。みんなパンフレットやチラシをうちわ代わりにぱたぱた扇いでいる。

販売時間になり、無事にチケットを購入。ほんとうに4ユーロだった。そのまま裏の入り口のようなところから、オペラ座のエントランスへ入る。

エントランスに入ると、別世界が広がっていた。キラキラしたドレスを見に纏ったマダムたち、スーツに身を包んだダンディーなおじさまたち。

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裏口から入ってきたわたしたちとは装いが全く違う。これが正規の値段でオペラを観に来た人と、4ユーロで観に来た人の心意気の違いか...。

エントランスを横目でみながら、まずは立ち見席の場所取り。持参したスカーフを手すりに巻いて、場所取りをする。すごく白熱していた。(本当にこわいくらいに)

場所取りを済ませ、再度エントランスへ。

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「ここは映画の中?」
と思うほど、煌びやかな装飾の壁、美しい床のタイルの床、輝くシャンデリア。これが世界三大オペラ座。もう映画の世界だよねここ。ちがう、足元の自分のサンダルを見て現実世界だと気付く。ほんとうにサンダルで来た自分を呪う。


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お城に展示されているようなソファに座りながら、通りゆく人々を眺める。

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白いワンピースにサンダル、小ぶりの腕時計に、赤いリップ、きれいにまとまった白髪の髪に、シンプルなネックレス。水色のシャツに、ベージュのスーツに、蝶ネクタイ。

おめかしした老夫婦が絵になりすぎて、ずっと目で追ってしまう。

開演まで、館内のカフェでみんなお茶を楽しんでいた。

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深いグリーンの絨毯を踏みしめて、オペラホールへ向かう。おじさまが本を読んでいる場所のすぐ目の前が、オペラ座のホールだ。

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美しい〜〜〜!!!!!!
真ん中の人が数名いる場所が立ち見席。ステージの真正面。なかなかの良いポジションだ。

手すりのところにはパネルがあり、オペラのセリフを英語や日本語でみることができる。これは嬉しい。わくわくしながら開演を待つ。


オペラが始まり、30分。
つ、つらい...。
朝から歩きっぱなしの足もキツいし、立ち見の人々の熱気がすごくて辛い...。脱落した。ほんとうに途中で抜けるなんて申し訳なさすぎたけれど、体力が持ちませんでしたすみません。

ただ、美しい歌声と衣装、舞台のすごさは伝わってきました。本場のオペラを一目観れただけでも、ほんとうに最高の気分です...!

ありがとう、ウィーン国立歌劇場。
オペラ座の外では大きいモニターに、LIVEでオペラが流れていて、たくさんの人が鑑賞していた。いいなぁ、この生活の中の一部に芸術がある感じ。

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外に出ると、日が沈みはじめていた。

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ウィーンの夕暮れは本当に美しい。

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この街は本当に美しい。
さて、宿に帰るとするか。

2019/6/13 Vienna, Austria.



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