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少年隊 ブロードウェイ進出計画

遊びじゃない、彼等は本気で夢を果たそうとしているのだ。 
「少年隊特集 世界が僕等に道を開けた」  oricon 1986

「少年隊」について書いたタイミングでちょうどニッキとカッちゃんの退所報道があったので、筆がノッちゃってそれ以降あれこれと書いております。

彼らが目指し、かつ頓挫した「全米デビュー」について以前記しました。英語盤アルバムの世界発売の件です。

ところで、少年隊には「ブロードウェイ進出」の計画もあったとか。

- 来年7月頃に東京・青山劇場で主演ミュージカルが上演されるが、その作品で本場ブロードウェイにも進出することが企画されている。 -
「少年隊 日本デビューから一気にブロードウェイ進出」   shueisha 1985

1986年春の記事では以下のように発表されています。

‐  ブロードウェイでPLAYZONE/プレゾンの英訳版を1987年中に開催予定。マイケル・ピータース振付で、名倉加代子さんのダンスチームやジャニーズジュニア約100人が出演。製作費約2億で赤字覚悟。実現すれば日本人初の快挙。そのために1985年の7月から英会話特訓を始めた。‐ 

「赤字覚悟」は事務所の製作宣伝課長からの発言だし、これだけ詳しく報道されたところをみると相当準備が進んでいたと思います。しかしながら実現しなかったもよう。開催イヤ―の1987年、春先のラジオ番組でDJから世界進出に関する活動スケジュールについて「どうなってますか?」と聞かれたとき、彼らは「詳しいことは分かってない」と曖昧に答えています

当の本人が、全米デビューやブロードウェイ公演といった超重要イベントの進行を把握してないってことは考えにくいのですが…。でも、アイドルってそんなものかもしれません。

アメリカは契約にうるさいから、これほどまで準備や宣伝をして結局実施しなかったとなると、先方との間でいろいろややこしいことがあったんじゃないかと。

☆彡

1986年の時点では、あちこちの芸能記事でレコード発売を皮切りにした世界進出への意気込みが躍っていました。

「ハンパじゃないぜ世界進出」「快汗! LAレコーディング生活」「世界がお呼びだぜ! オレ達の夢がもうすぐ実現する!」「こうなりゃ、世界を乗っ取る気でトライだ!」「ふたたびロスでレコーディング」……

某ランキング番組のラスベガスからの中継でも、現地のテレビ局リポーターが彼らのアメリカでの活躍を期待する旨のコメントをしていました。

「英語があまり得意ではなかったようですが、彼らの存在はおそらくアメリカの音楽市場にすばらしい影響を与えてくれるでしょう。」
米テレビ局 ABC  リポーター  ザ・ベストテン  1986年3月13日

海外活動としては台湾や香港などへのアジアツアーはしており、アメリカでもゲスト的にテレビ番組等に出演したようですが、米大手レコード会社WEAと契約しアルバム製作まで挑んだ本来目指すところの「全米デビュー」、つまり当初の目標だった「世界進出」は果たせていない状態です。

「来年の東京のミュージカルが成功すれば、ブロードウェイ。なったって僕、一番期待していますからね。今アメリカに進出しているのは少年隊だと思っていますからね。是非がんばって。」
太川陽介 NHK レッツゴーヤング 1985/10/27

でももしブロードウェイに進出できていたら、ショービジネスとして文句なしの海外実績となったでしょう。

-マイケル・センベロのプロデュースによる海外向けアルバムの制作、マイケル・ピータース振り付けのミュージカル主演。少年隊は確実に世界と手を結びつつある。遊びじゃない、彼等は本気で夢を果たそうとしているのだ。 
「少年隊特集 世界が僕等に道を開けた」  oricon 1986

1986年秋のアルバムの世界発売、1987年内のブロードウェイ公演、両方とも立ち消えに。

今になって思えば、アメリカでの活動を全面的に断念した、ということなのでしょう。

断念に至る経緯や理由の記録があればいいのだけど、コアなファンでも知らないようで。うやむやなまま、30年以上が過ぎてしまっています。

「自然に英語が出るようになれば。それが成功の第一条件」 
「会社の総力をあげてセールスに取り組むから、早く英語をおぼえるように」
 米レコード会社WEA会長から少年隊への言葉
kobe-np  1986, shueisha 1985

ある記事で、「英語はどうなの?」と聞かれてニッキが「バッチリです。現地の女の子も口説けます。」なんて答えてるけど、別の記事では「英語恐怖症でミョーに無口!?」という見出しもあって、やはり、そういうことなんだなと思います。

「いま、英語に夢中なんだ。せっかく世界進出のチャンスだから、このさいモノにしようと思って。」 錦織一清 1986 shueisha

でも、まだ遅くない!「少年隊」が消滅したわけではないんだし。もう一度世界にトライしてみれば!! どんなかたちでもいいから。もったいないし、きっとこのままでは終われない。