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チーズおにぎりは世界を駆ける⁉

自分で言うのもなんだが、長女あるあるで、わたしは誕生すると、両親に大変かわいがられた。

何せ、初めての、ふたりの愛の証である。
また、わたしが幼少のみぎりに大変愛らしく。ホントよ♡
そして、チーズが大好きだったのである。


1年後に生まれた次女に、

「この、おいしいチーズと言うものを食べさせてやろう。」


という、たいそう優しい動機から、0歳児の妹の口にチーズを詰め込み、あわや窒息、となったこともある。

そんなチーズ好きのわたしを喜ばせようと、母が作ったのがチーズおにぎりだ。

きっとわたしは、ひゃっほう! と喜んだことだろう。

それからというもの、おにぎりをにぎるときは、チーズおにぎりとなった。


チーズおにぎりの文化は、姉妹にも受け継がれていく。

運動会や遠足など、息子のお弁当を作るときは、決まってチーズおにぎりをにぎった。


次女も三女も、子どもにチーズおにぎりをにぎっていた。

「チーズはプロセスチーズじゃないとダメなんだよねー。溶け具合が。」
「たきたて熱々のごはんでねー。ノリは火であぶって。」



3人集まると、「チーズおにぎり論」に花が咲く。

いまはそうそう、おにぎりを握ることはないが、考えてみたら、これも若さだったんだろうな。

炊き立て熱々ごはんを、ラップも使わず、あら塩を手にもみこんで、三角に握っていくのである。

途中で、チーズを入れて。
ノリは、もう一度手に水とあら塩少々をもみ込んでから、ぎゅっぎゅっとにぎる。


いわゆる、しっとり系のノリだ。


三女は、アメリカ人と結婚してアメリカに住んでいる。


サッカーをやっている息子のお弁当は、もちろんチーズおにぎりだ。


あるとき、

「おう、うまそうだな!」


とコーチが声をかけたそうだ。

すると、何人かの子どもの頭の中で、何かがプチンと切れたらしい。


しばらくして。
息子のサッカー友だちが、ひとりで玄関に来た。

「どうしたの?」


と聞くと、

「ライスボール、食べさせてください!」



と言ったとか。

もちろん、三女は子どもを家に入れて、チーズおにぎりをつくって食べさせてあげたという。

そういう子が、2~3人来たそうだ。

チーズおにぎりの新たに広がりに、わたしたち姉妹は、ひそかにほくそ笑んでいる。


 

日本のおにぎり屋さんは、なぜこんなにおいしいチーズおにぎりを作らないのか、不思議だ。

でもいいのだ。
我が一族だけの、秘密のおにぎりメニューとして、めいやおいだちが今後も受け継いでいってくれたら、うれしいな。

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