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人と空間とジャズセッション。

他者、特に自分と同世代か、それよりも下の世代への関心が著しく低いままに生きてきた。普段よくいるのは、顔馴染みのカフェやセレクトショップ、居酒屋のカウンター。独立して自分の店を構える、自分より一回り〜二回り年上のクセのある大人と過ごせるのが好きだった。逆に、同世代とのいわば楽しいだけの時間には価値を見出せず、飲み会だサークルだと連日遊び回る学内コミュニティや同種のイベントとは距離を置いていた。当然、所属していた研究室のデスクにはおらず、素性のしれない謎の人と思われていたらしい。

自分が経験してこなかった人間関係へのあこがれを、空間として次世代に提供したい。さらに、私が好んできた異世代との交流を通じて学びも深めてほしい。極端な飽き性の私が唯一、業として10年近く続いている、"人と関わること"。在学中に発起人として活動した、地学系学生を対象とした複数大学の合同学習会は今も続いていると耳にするし、ホステルをつくる現職では、開発と人事の側面から館内のデザインに携わっている。

自分自身もゲストハウスを泊まり歩いたり、イベントを企画したりもしてきたが、最近はプレイヤーとしての関わり方は随分と減ってきた。元々、直接自分が働きかけて人×人の化学反応を引き起こすよりも、居合わせた方同士が自然発生的に交流する座席配置や視線誘導を考えたり、スタッフの配置を調整したり、と趣向を凝らす方が向いている。

コロナ禍により減少したオフラインでの交流は、旅行欲などと同様に今、人々が何よりも求めているものではないか、と感じている。オフィスを手放した企業の中には、オフィスを再度契約する動きもあると聞く。
空間とゲスト、スタッフを通じて起こりうる人間模様を楽しみ、観察しながら、次の仕掛けを考える。ホステルに限らずさまざまな環境に身を置いて、いわば日替わりのジャズセッションを指揮するかのように空間に関わっていきたい。人づきあいに長けた方だけでなく、そういったことに抵抗がある方すらも巻き込める包容力のある空間を。出会いからイノベーションにつながるような空間を。

人と空間をもっと自由に。

カフェイン中毒になるくらいコーヒーが好きです。 おすすめカフェと一杯分のコーヒーが私の活力になります。 サポートいただけるとすっごく嬉しいです。