日本の経済のためにも従業員の育成に過度に期待することも期待させることもやめよう 後編

前回の記事では終身雇用とジョブ型雇用の違いで、被雇用者側の期待値が大きく異なることを軸にお話ししました。

終身雇用は破綻している

終身雇用制度なんてものはとっくの昔に破綻しています。

高度経済成長からバブルの時代なら中小企業から零細に至るまで、退職金を積み立てる余裕も事業継続性も見込めるように思えた。
中小零細企業ではそもそも定年退職まで働いて退職金が出るなんて信じている若い労働者はほとんどいません。そんなことが信じられる時代は30年前にはとっくに終わっているのです。

大前提として、社員が辞めても継続できる仕組み化と組織作りが避けて通れないのに、未だに「長く勤めてくれる」「良い人」を採用しようとする企業は後をたちません。

人が減り経済が悪化したからこそ、入社してすぐ戦力にできるルール作り、仕組み化が大切であることを改めて心に刻みましょう。

そのために必要なのは、自社の状況を踏まえずに真似をしない、できるだけ一般的なことは一般的なもので済ませるということが重要です。

単純に真似するのをやめよう

大きな視点の真似で言うとEmployee satisfactionとか、Employee experienceを輸入した従業員満足度や従業員体験です。

これらの言葉が欧米で流行り始めたのはもう6年も7年も前の話です。それをそのまま和訳して輸入して広めようとしたのはグローバルな人事コンサル企業や、HRツール企業です。

人材業界の地盤の違いなんかお構いなしに、自分たちの理論やツールを販売促進するためだけに輸入された言葉と言っても過言ではありません。

ジョブ型雇用や人材流動性の地盤を真似しきれないのに、人材流動が激しい前提で語られる従業員満足度や従業員体験を理由に人財育成のところだけ真似してうまく行くはずがありません。

まずは、自組織に適用できることなのか、きっちり分析考察し、適用したいなら、適用するには「どうすれば良いか」ではなく「まずは自組織がどうなれば良いか」を明確にして先に組織改変を進めるべきです。

従業員満足度をスキルアップや育成に求めず、前回の記事で紹介した領域だけに絞って、辞めた人はやめればいいと言う姿勢でも構わないと思います。

独自ツールをやめよう

大企業のみならず、中小零細企業こそ、普及率の高いツールを少しカスタマイズできる範囲で業務を進めるべきです。

人材流動が高まったり、終身雇用がなくなっていくにあたって、重要なのは、採用した人がスムーズに業務を開始し、辞める人がスムーズに引き継げる地盤をいかに作れるかと言うことが重要になります。

Excelを使った独自スプレッドシートで業務を管理したり、ましてや、自社業務にあわせてツールを独自開発するなんて企業はいまだに多く残っています。

独自ツールを使っているだけで、その独自ツールの使い方を知る、独自ツールのUIに慣れる、と言う業務が入社時にも引き継ぎ時にも発生し、ここだけでも数週間から場合によっては1ヶ月以上かけないと本当に理解して使いこなせないようなものもたくさんあります。

ExcelやAccessやスプレッドシートは一般ツールだと思うかもしれませんが、独自に構築されたExcelやAccessやスプレッドシートほど使いにくくわかりにくいものはありません。

これらを普及率の高いツールで実現できるようにするだけで「独自ツールの使い方とUIを覚えさせる」と言う無駄な業務をなくすことができ、入ってすぐ使えるツール、あとは本質的な業務を覚えるだけと言う効率化を図れます。

無駄な一斉研修よりも個別やオンライン研修と評価を

検修市場がコロナ禍で停滞しています。そして、コロナ禍での新卒採用で検修を実施できずに苦しんでいる企業とそうでない企業があります。

これから先は、ビジネス手法も転換されマナーも大きく変わります。これまでの方法論は通用しなくなり、過渡期には普及もしていない手法やマナーを独自に言い出し、自社の考えたことを一般化させようとどの研修提供企業も躍起になります。

そう言ったことに頼るくらいであれば、個別に必要な人に、必要なスキルの研修を受けさせるだけにとどめていくほうが社会全体として生産性を上げる結果につながると言うことを意識しておかないと労働者に見放されかねないと思うべきです。

企業はもっと労働者をみる必要が出てくる

日本の企業は、労働者を真っ白から自社色に染めると言う育成を繰り返してきており、今もそれは色濃く社会に根付いてしまっています。

「自社色に染める」と言うのは、「終身雇用ありき」の考え方です。終身雇用でもなく、将来を保証してくれるわけでもないのに、その会社でしか役に立たない知識を喜んで受け入れる労働者は、できる人ほど嫌う世の中になってきています。

流通する人材のスキルが高まれば自社で活躍できる人が増えると言う個社を超えた視点をもち、労働者個別にスキルが高まっていく機会を提供するだけにとどめ、一斉研修で自社色に染めようという発想、そうしないと回らない組織自体を見直す時が来ています。

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