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L[G]B[T]である私の性別について、あるいは単なる憂さ晴らしの愚痴

えー、世に罷り通る性別と言えば、猫も杓子も男と女の二者択一で、お前それ本当にこのサービスのユーザー登録に要るんかってところまで蔓延っている「※必須」の赤文字但し書きが苛立ちを煽るラジオボタンですが、現実の書類にも二択しかないのでマジでクソであります。

もちろんヒトが性的二形性を有するのは事実だ。しかしその事実は、高度に発達した自己と社会をも有する我々が、個人のアイデンティティを表する、あるいは個人を識別する際に情報量を1bitに抑える理由にはならない。

そもそも広義の性別は多くの独立した要素がそれぞれに連続量をとり、1bitに丸められるパターンは大変希少である。その希少がマジョリティなせいで私がこうして愚痴を垂れ流すハメになっている。

本題に入ろう。以下、テキトーに列挙する。

染色体: XX
内外性器: 女性
二次性徴: 女性
GID診断の一環で検査した。保険外高えよ。

テストステロン: 0.93
プロゲステロン: 0.1以下
LH: 3.23
FSH: 5.16
プロラクチン: 12.61
コルチゾール: 11.7
エストラジオール: 14以下
2018/01/12血液検査結果より。まあ大体男性基準値に入ってる。

戸籍の性: 女性
戸籍の名: 女性
誰がどうみても女性名。

性自認(自己が主観として直接的に認識している身体的性別): 男性
ここはどうしても長くなるな。性別を語るパラメータに性別が出てくるからだ。ただし、少なくとも私は解剖学的・生理学的な要素のみを認識するのでこのメタ性別に性自認は含まれず、よって循環参照は起こらない(今、「もし含まれていたら、つまり、ボディ・マップがその内側に精神をモデリングできたら」と思いついてしまったが、これは面白そうなのでまた後でじっくり考える)。

まあ大体はすでに書いたのがこれに纏まってるので。この性自認周りは図も描いてひとつ新しく書こう。書いたらリンク貼る。
180619追記: アーカイブしちゃってリンク切れてます。とっとと新しく書きます。はい。

性指向: 男性
ああ、ここにも性別が。まあでも正確にはゲイ寄りのパンセクシュアルだと思うんだよね、たぶん。
180529追記: 理解した。性指向は、性別の定義と本人の性別に拠る。そのためこの私が「自らの性愛の指向」を語ろうとすると、端的な言葉が存在しない。

……何度でも言うが、この、「性同一性障害かつ同性愛者」という存在が、この社会においてあまりに希薄だったせいで、貴重な青春を棒に振らされた経験は、生涯忘れてやらないからな。

仮にヒトの1%が性同一性障害、10%が同性愛者だったとしたら、ヒトの0.1%は性同一性障害かつ同性愛者であるのが道理だろうが。

それをあたかも「異性が好き→同性が好きだけど性転換しない→同性が好きだから性転換する」とかいう、"性同一性障害の進行度は線形であり、人は皆本来異性愛者である"みたいな杜撰が過ぎる概念を形成・流布しやがって。許すまじ。この馬鹿げた呪いを解くのにどれだけ月日が掛かったと。

服飾: ?
ベースはメンズ。ジーンズ、靴、腕時計あたりはレディースのユニセックス系。腰が入らないし、24.5cmってちょうどサイズ展開の谷だし、それでもベルト穴あとひとつ欲しいし。サイズと好みを兼ねようとするとメンズレディースキッズすべての売り場を彷徨うしかない。
異性装も好んでいるが、実際にやるのはどうにも。現状、"異性"という定義からあぶれて意味を成さないので。

振る舞い・仕草: 女性?
かなり女性寄りだと思う。客観視難しいが。ここに違和は生じていないので修正の必要を感じない。ぶっちゃけ無理だし面倒くさい。

外見: 男性?
胸ありでバイトしてた頃、「あの子、男の子かな、女の子かな?」「男の子じゃない?」的な会話が聞こえてくること時折。
去年の夏に乳房切除をするまで、女子トイレに入って胡乱な眼差しを食らいまくるも警備員や警察のお世話になることはなく。
乳房切除以来、男子トイレに入って特に何も食らっていない。
最近、玄関で荷物を受け取るときに軒並み中学生扱いを受ける。
まとめると、私の外見は幼い男性であるらしい。

体格: 男性?
ホルモン療法を開始したのは20歳なので、骨格は女性。背が低い、彫りが浅い、肩幅が狭い、骨盤が広い、関節が小さい、手足が小さい。
筋肉と脂肪の分布はかなり男性化。採血で血管すぐ取れるようになったし。乳房切除もしたし。

詳しい体型変化はここで書いたね。

嗜好: 女性?
甘いものとか可愛いものとかカフェとか雑貨とか。ああ、Tumblrを見せるのが早いな。

甘味と美人と綺麗な写真がほとんどだ。あと文章やネットミーム系。あと筋肉。

——他、「性別」ってなんかあったっけ。思いついたら追加する。
ひとまず以上。

主観としては、オネエと表するのが簡便と正確のバランスが取れているのではないか、と考える。そのひとつ外側にFtMがある。

そしてこの2つは安易に合成するとベクトルが0になり、これを聞かされた大抵の人はフリーズする。

しかし上でも書いたが、性別の要素はそれぞれが独立なのだ。要素の数だけ直交軸が要る。次元を削っても計算結果が狂わないのはマジョリティだけだ。
あなたがフリーズしたならば、あなたの持ち合わせる性別モデルは、私を再現できない。

総合的に評価すると、タイトルは釣りだ。
既存の用語で一番近いのは、「クィア」だと考える。
事実、奇人・変人・腫れ物・珍獣扱いは、嫌いではない。むしろ、そのようなラベリングを受けることができるのは、一切の無理解や下手な誤解より、随分気が楽だ。

いや、いっそ楽しい。私は天の邪鬼なので、他人がフリーズしたり困惑したり、どうにかこうにか気を使おうとしてわたわたしているところを見ることができるのが、なかなか楽しい。

さらに、そのような距離を設定されることは、私にとっても都合がいい。私たちは、動物園の檻越しに眺め合うくらいの距離が適切だと、考えている。

「閉ざされていると思えば牢になり、出たくないと思えば城になる」
――『モノノ怪』
「世界が癲狂院を締め出す。癲狂院が世界を締め出す。どちらも同じだ。区分は価値観の変化に従い移ろい、内と外は視点の問題でしかない」
――『屍者の帝国』

――さて。
そういうわけで、「あなたの性別は?」などと無垢に無邪気に訊かれると、「どの性別がご入用で?」ってやさぐれた返事になるわけだ。
何を参照したくて、何の情報が欲しくて、何の話がしたくてそれ訊くのか。そこんところをよろしくお願いしたい。当たり障りのない世間話がしたいのか、それとも本人確認がしたいのか。

例えばウェブサービスにアカウントを作ろうとして規約を読むと大抵、登録された情報が虚偽であった場合最悪アカウント停止云々とかおっかないことが書いてあったりする。果たしてこういうときに、私が「男性」を選択するのは規約違反なのか。戸籍の性との不一致を以って虚偽と判断するのかどうか。

で日和って女性を選んで登録すると、宛行われるアバターが女の子だったり、おすすめ情報がわー女子ーって感じになったり、そもそも性別によってできることが違ったりする。更には一度登録した性別がアカウント設定から変更できなかったりする。本当にクソ。

続きました。

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