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ICTで教育を改善するために教員がしてはいけないこと

 学校にWi-Fiが完備されて生徒や教員が一人一台端末を持ったとしても、それで自動的に教育が変わるということはないでしょう。それは、従来の授業、学校生活、校務はICTが無い前提で様々な活動をしてきているからです。既存のサイクルの中にICTを無理やり入れ込んでも馴染まず、「アナログで良かった」となりかねません。教育活動や校務の前提が変わる以上は、そのやり方やシステムから見直す必要があります。良いパラダイムシフトを起こすために、ついついしがちですがしてはいけないこと、について考察していきます。

「一応」印刷して紙でも配布

何かを配布するとき、それを読んでもらえるかが心配になります。そのリスクヘッジのために、共有フォルダでデータを共有、またはClassiで生徒にテスト範囲を連絡したのに「紙でも配布」ということをしてしまって、結局データをアップする手間だけが増えているということになっていないでしょうか。印刷や配布の手間を省き、効率化するためには「クラウド上のファイルを自分で見にいく」ということを習慣化しなくてはなりません。紙を配布してしまうとネットを確認する必要がなくなるので、印刷・配布を徹底して止め、データを確認しないと困るという状況を作るべきです。

データの収集を徹底しない

一人一台端末導入の目的の1つには、ログを残してデータ分析を行い、個人の学びや教育活動の改善などに役立てるということがあります。例えば、学習時間の記録をさせて指導に活用しようとしたとき、学習時間のデータが数人分しかない、入力時期もバラバラなど、収集が徹底されていなければ科学的なデータ分析はできません。今は分析して活用出来なくても、データの蓄積や分析方法の進歩によって可能になることも期待できます。「データの記録は個人の意思を尊重して任せる」というのは一見真っ当に聞こえますが、エビデンスベースの教育から遠ざかる悪手です。(もちろん、データ収集の目的を明示し同意を得ていて、データの管理セキュリティの担保がされていることが前提です。)

長時間の会議や情報共有だけの集まりをする

ビジネスの世界では無駄な会議を減らすというのは重要な課題となっており、2018年パーソル総合研究所の調査によれば、調査対象者12000人のうち約1/4が会議を無駄だと考えており、企業の経済損失は15億円規模だそうです。様々な企業が会議の生産性を上げる工夫に取り組んでいて、その取り組みを紹介したビジネス書も出版されています。ビジネスの論理をそのまま教育に当てはめることが正しいとは限りませんが、学校現場では生産性の低い会議は行われていないでしょうか。「無駄な会議」とネット検索すると出てくる内容と私自身の経験を照らし合わせてみると、

  • 目的や目標が明確でない

  • 報告ばかりで協議や意思決定がない

  • 人数が多すぎて議論にならない

  • 終了時刻を守らない

というのが「無駄な会議」だと思いますし、やっているとしたら早急に改善すべきです。ICTの力ですぐに着手できる改善策は

  • 共有フォルダで資料の事前共有をする

  • フォームやスプレッドシートで意見の集約をする

  • Slackなどで非同期でミーティングをする

などが挙げられます。


 以上の3点をやらないように考え方、働き方を変えることが教育DXの一歩を踏み出すことになるのではないでしょうか。


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