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「ICTが日常になっている学校」の日常

 GIGAスクール構想で一人一台端末を始めることになりますが、多くの教員は授業でどう使うか、に意識が傾きすぎている気がします。しかし、学校教育における教育活動は授業だけではありません。授業外でも活用するようになって、校外でも活用するようになってこそです。今回は私が考える「ICTが日常化している学校」での一日を、対話形式で描いてみます。なお、私が高校教諭なので、高校の設定で考えていますが、小・中学校に当てはまるところもあると考えています。

親:なんか高校でもパソコン持っていくようになったらしいね。どんな風に使ってるの?

子:登校したらまず端末を開いて、一日の連絡チェックをしているよ。今まで担任の先生が朝のSHRで連絡事項を伝達してくれていたけど、今は毎朝Googleグループで委員会の集まりや授業変更があれば連絡が来るっていう感じ。特にそういったイベントの連絡がなくても、学年主任の先生の一口コラムがあるからちょっとした楽しみにもなっているかな。最近は手抜きなのか、偉人の名言を載せてるだけだけど。

親:じゃあもう黒板に一日の連絡が書かれたり、予定表が配られることもなくなったんだね。ん、そうなると担任の先生は朝のSHRで何をしているの?

子:出欠取って、ちょっと気になったニュースとか本とかの紹介をしてるかな。でもすぐ終わるよ。その代わりに1限のスタートが早くなった。

親:なるほどね。そんな感じなら5分もあればSHRは終わりそうだしね。授業でもパソコンをガンガン使ってるの?

子:科目と場面に依るね。紙の方が便利だと思うときはノートに書いてるし、パソコンでノートテイキングすることもあるよ。でも授業は基本的に一斉講義がなくなって、問題をひたすら解く時間が圧倒的に増えたね。

親:え、先生は講義しないの?自分だけの力で教科書を読んで勉強するのは大変すぎない?

子:いやいや、家で講義動画を見てるでしょ。動画を見るのが宿題になってて、学校で分からないところを教え合ったり、先生に質問したりだよ。よく考えたら学校の先生も、塾のTAの先生みたいなことをやるようになったね。

親:それは随分と変わったね。それなら得意科目はどんどん進められるから、授業中の居眠りはせずに済みそうだね。やっぱり話を聞いてるだけだと、大人でも眠くなるときがあるよ。

子:自分で問題解いてるから、眠くなることは大分減ったかも。でも苦手科目のときはつらいけどね。

親:そういえば、休み時間もパソコンは使っていいんだよね。

子:そうだけど、結局友達とだべって過ごすことが多いよ。たまに授業で気になったことを黙々と調べることもあるし、好きな動画を見ることもあるし、休み時間で出来ることの選択肢が増えたかな。特にお昼の時間は、放送委員会が校内限定で番組の配信をしているのが面白いんだ。有志出演の募集もしてるから、そのうち友達とバンド組んで出てみようかな。

親:せっかく音楽教室に通ってるんだから、ぜひやったらいいよ。昔は文化祭ぐらいでしか出来なかったから、活躍の場が増えて羨ましいよ。

子:そうだね。ゆくゆくはネット配信とかもしてみたいから、まず校内放送で修行かな。

親:そのときは動画データもらってくるんだよ。そういえば、帰りのSHRは何をやってるの?

子:もう帰りのSHRはないよ。連絡がオンラインになったから、必要なくなったみたい。だから掃除がない日は6限が終わったらそのまま放課後になるよ。

親:なるほどね。というか7限ってもうないんだ。

子:ないよ。先輩たちの代は7限まで授業がある日が多かったらしいけど、今は必ず6限で終わってる。気になって先生になぜ変わったのか聞いたら、ICTが普及して学校で教え込む授業スタイルじゃなくなったので、授業時間に余裕が生まれたんだって。とりあえず放課後が長くなって部活とか自由に使える時間が増えたのは嬉しいな。

親:帰ってくる時間も早くなったよね。6時過ぎには家族で夕飯を食べれるのが嬉しいよ。

子:前は7時くらいだったから、1時間くらい早くなったよね。


 いかがでしたでしょうか。現時点では私の想像ですが、目指すべき未来だと思っています。ちなみに、講義動画は必ずしもその学校の先生ではなく、授業が上手い先生たちの授業動画を勤務校の先生がサジェストする方が合理的で効果的だと考えています。ここに関しては別記事で掘り下げる予定です。


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