私のおはなしづくり=パズル

料理をつくるとき、まず「食材」を決めるのか、「ジャンル」(中華、もしくはイタリアン。あるいは和食)を決めるのか、はたまた「献立」を決めるのかは、人によって千差万別かなーと思いますが…

おはなしをつくるのも同じです。

もしもあなたが、「おはなしをつくってくださいっ」とオファーを受けたら、まず何を決めることから取りかかりますか?

テーマ?

登場人物?

ストーリー?

これもクリエイターさんによって、独自の手順があることと思います。

私の場合は「書こう!」と思ってからおはなしをつくるのではなく、

書きたいシーンや会話が思い浮かび、そこから「このシーンや会話を書くためのおはなしをつくろう!」というのが基本フローになっています。

初期の段階で「書きたいシーンや会話=コアとなるパラグラフ」がマイルストーンのように、全貌の見えないおはなしのあちこちに置かれます。なんとなくあらすじは掴んでいるものの、そこに至るまでの出来事や具体的な設定などは、まったくの未定です。

そこから「コアとなるパラグラフ」に向かっていくためにテーマや登場人物の関係性、ストーリーを決めていくのですが、「コアとなるパラグラフ」はいかんせん直感、フィーリングだけで書いているので、筋が通らなかったり荒唐無稽だったりします。

「この人がこの台詞を言うためにはどんな背景を持っていなければならないか?」

「このふたりをこのロケーションに連れて行くためには、どんな事情がなければならないか?」

この壮大な「つじつま合わせ」の作業が、私の執筆の大半と言えます。

マイルストーンから次のマイルストーンまで、ひたすらおはなしのルートをつないでいく「穴埋め」の作業でもあります。それも最初から最後までぶっ通しで進められるわけではなく、できるところから少しずつシーンを嵌めこんでいく、パズルのような作業です。

所々ぶつ切りの状態なので、書き上げてみるまでは文字数がどれくらいになるかもわからないし、「とりあえずできたところまで」誰かに読んでもらうということもできません。

そういう意味で「連載」という形で、時系列順にきれいに筋道を立てて(回想、という要素はあるにしても)おはなしをつくれる作家さんはすごいな~と思います。

私の場合は、最後に書くシーンがどこになるか、自分でもわからないので(^-^;

完成するまで絵柄もサイズもわからないパズルのピースを、少しずつ探してははめ込んでいくこの作業。

終わりも見えないし、誰かに代筆してもらうこともできないし、ひたすらストイックな(そして、現時点ではひとまず何の利益も生まない)作業なのですが、それでも完成した自分の物語を読んでみたい、誰かに読んでもらいたいという出所のわからない想いに動かされて、日々、文章を積み重ねています。

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