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ネット社会で新しく起こる移住と文化形成

インターネットや録画技術の発展によって私たちのテレビ離れが進んでいる、とはよく言われるが、確かにここ数年の間に私も気づけばテレビ番組を“生”でほとんど見なくなった。それはリアルタイムで番組を見なくても、予約録画をすれば後日時間のある時に同じものを見ることができるし、次の日にはYoutubeなどの動画配信サイトで見ることもできるからだ。少し前にはこの時間のズレが“テレビ離れ”とされていたが、今の生活を振り返ると本当の意味でのテレビ離れが進んでいることがわかる。

私はもともとお笑いに興味がある方ではないのだが、松本人志のドキュメンタリー(Amazonプライム)やロバート秋山のクリエーターズファイル(Youtube)あたりをふとした時に見て笑ったりする。好きな映画に関しては、最新のものはもちろん映画館に足を運んで見るが、古いものは全てネットレンタルして自宅で見るようになった。ドラマも昔は月9などの各局コンテンツをよく見ていたが、今では大半がNetflixもしくはHuluに頼っている。唯一報道番組だけは今でもテレビで見ることが多いが、それもAbemaTVなんかを見ているとすぐにネットに取って代わるだろう。このようにネット上でオリジナルコンテンツが充実するにつれて、私たちはもはや”テレビ番組”を見ない時代へと移り変わろうとしている。

そして、私たちがネットの世界に移るのは、何より新しいコンテンツそのものが既存メディアのものよりも遥かに面白いからだ。そのことが、最近配信が始まったNetflixのオリジナルドラマ「全裸監督」には詰まっている。今の日本のAV業界を作り上げた巨匠、村西とおる氏の半生を描いた作品なのだが、私が生まれてもいない80年代からのAV業界の変遷であったり、新興企業が大企業や規制などに苦しめられながらも成長し業界構造を変えていく姿であったり、ストーリーやキャラクターの面白さは言うまでもなく、映像やキャスト、プロモーション等どれをとっても今のテレビ業界では到底成し得ないものとなっている。

社会には世間がそれを望んでいても表には見えない柵によってそれが実現されないことが山ほど存在する。たとえコンテンツとして優れたものであっても、乳房を包み隠さないSEXシーンや薬物所持で逮捕されたばかりのピエール瀧への配役は、既存メディアの常識で考えればご法度だろう。しかし、ネットの世界ではそれが平然と許され、だからこそ面白い作品が多く生まれる。ネットの力によって雁字搦めのルールに縛られない新しい領域が誕生したことで、Netflixのオリジナルコンテンツに次々と出演する有名俳優のように、皆が”水”を求めてそこに移住し始めているのだ。それによってこれまでの歴史と同様に時代に合った新しい文化が生まれようとしている。

その点、暗号資産に関しては移住が全く進んでおらず、それが社会に根付くまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。

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