チェスナットマン/セーアン・スヴァイストロプ
帯に注目です。あのディーヴァーさんも鷲掴みされてしまった話題の著書。わたし自身ノーマークでしたが、本屋さんで見かけて、帯にやられてしまった…「読みたい!」の一心で買ってしまいました。
またまた北欧ミステリーです。ほんと最近、目が止まる海外小説、北欧ミステリーばっかりです。でも、北欧ミステリーの重苦しさと面白さが纏わりついてきて、逃れられなくなるんです。
「チェスナットマン」とは日本語訳で「栗人形」と記されています。表紙がまさに栗人形のイメージ。栗に棒を差し込んで腕や足にして作るようです。
この栗人形が殺害された遺体の中に埋め込まれていたり、遺体の口の中に入れられていたことから、メディアや警察はこの連続殺人犯を「チェスナットマン」と呼称。
◆1の章:1898年10月31日
通報が入り、あと1週間で定年となる刑事が現場の家に向かった。そこは凄惨な殺害現場だった。
顔が分からないほどに殴打されダイニングテーブルで息絶えた娘。浴槽で切断されていた母親。近場で虫の息になっている息子を発見し保護。大量の栗人形。電話で警官の応援と救急車を呼んだが、後ろを振り返った瞬間、斧でアゴをかち割られ死亡した。その後どうなったのかは不明。
◆2~の章:現在(10月5日から凄惨な事件が始まる)
シングルマザーの「ラウラ・ケーア」が惨殺される。身体中に無数の殴打痕と殺傷痕、眼球は殴打され潰されていた。ラウラには婚約者がおり、指輪をつけていた方の手首が切り落とされなくなっていた。手首は現場には遺されていなかったが、遺体の発見現場に栗人形がぶら下げられていた。
社会問題大臣「ローサ・ハートン」の娘クリスティーネが1年前に殺害される事件が起きていた。誘拐され、性的虐待されたあと切断され埋められたが、犯人「リーヌス・ベガ」の自白を元に遺棄現場を捜索するも、遺体は発見されなかった。娘を失った悲しみは乗り越えられるようなものではなかったが、1年の休暇をとり、社会問題大臣として復帰。
1人目の被害者ラウラには9歳息子がおり、自閉症と診断されており、抗不安剤を処方されていた。以前は自閉症のような症状はなかったらしい。また、ラウラが殺害された日、家の鍵を交換していたことが判明。第1容疑者として婚約者の男が浮上。
捜索担当の重大犯罪課の女性刑事の「トゥリーン」と、ユーロポールからコペンハーゲンに飛ばされた刑事の「ヘス」は、遺留品鑑定の結果、遺体の側にぶら下げられていた栗人形に、ハートン大臣の娘クリスティーネの指紋がついていたことを知らされる。
ヘスは、大臣の娘が殺害された事件から洗い直す必要性を訴えるが、トゥリーンを含むコペンハーゲンの刑事たちは、犯人自身が自白しているのだからと全く取り合わず、ヘス単独で当時の捜査に見落としがなかったか見直しを始めてゆく。
警察のIT班より、被害者ラウラの携帯へ身元不明者からのメールが届いたと報告が入る。
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チェスナットマン、どうぞお入り。
チェスナットマン、どうぞお入り。
きょうは栗(チェスナット)を持ってきてくれた?
どうもありがとう、ゆっくりしていって・・・
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遺体発見現場にある栗人形についてはメディアに公表しておらず、犯人でしか知り得ぬ情報であった。
そして、第2の被害者が遺体で発見される。2人目の被害者への暴行も残虐で、1人目は片方のみだったが、両手首を切断されていた。栗人形も遺体に埋め込まれた状態で発見され、指紋も同じく見つかった。
1人目の女性も2人目の女性も共通点がまったくなかったが、被害者女性の子どもが通院したことのある小児科が同じであること、また、社会問題大臣が全国の市町村へ設置した内部告発制度を使い、匿名で母親を避難する通報のメールが送られていた、という点のみ。
ヘスは、犯人が栗人形(チェスナットマン)を人間で作ろうとしていて、次の被害者は足首も切断するつもりなのではないか、と思案。まだまだ殺人は続くと予測。過去の匿名での通報履歴を調べ、次なる被害者となりうる人物を探しあて、事前に被害を食い止めようとするが…。
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P.700弱の長編ですが、んも~、めためた面白いです。どんでん返しの帝王Jディーヴァーさんも推すわけです。
読み進めるにつれ、謎が深まり、後半は心臓がバクバクしだして血圧相当上がっていたかと思われます。いや~、止まらなかった~。やめられない、とまらない、えびせん書籍認定。
1の章で書かれる1898年に起きた凄惨な殺人事件と、現在起きている母親を狙った連続殺人、社会問題大臣であり娘を失った母親のローサとの関係。
ネグレクト。幼児虐待。里子。栗人形…。
重く苦しい内容も多く、読んでいて辛くなる描写も多かったです。全員が闇を抱えているような…。最後はめちゃくちゃ良かったですね。思わず目頭熱くなりました。ただ、本当のラスト130の章には鳥肌たちます。最初の章から鷲掴みされてしまうのと、最後まで気が抜けないというのは事実です。
著者は元々テレビドラマの脚本を書かれていて、本書が小説デビュー作なのだそうですよ。著者が脚本と制作を手掛けた「The Killing」というドラマが全世界でとーっても有名なのだそう。見なきゃ。
帯にもある通り、本書原作でNetflixの連ドラにもなっており、何やら話題のようです。悲しきかな、わたしはHulu派なので見れておりません。でもこれ、映像化されてもぜったい面白いでしょ、確実に。DVDレンタル待ってぜったい見なきゃ。
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