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レコードと部屋と彼3 -マッチングアプリで3週間の本気の恋をした話-

嘘をついてるのが心苦しかったから。

話そうって決めたら、すごく心が軽くなった。



2度目の電話の時に、彼が言った言葉。


マッチングアプリで知り合って1週間目、初めての電話でお互いのことを2時間ほど話した後、実際に会いましょうということになった。

初回の電話の翌日、翌週の土日、どちらがいいかと尋ねられたので、私はどちらでもいいと答え、日曜日の夜に彼が決めた。

そこから、2、3日、お店をどうしようかという相談で途切れることなくやり取りをした。一度決めたお店が日曜日定休だったり、予約の電話が通じなかったりということで、3つ目に彼がチョイスしてくれたタイ料理のお店に行くことになった。

そのやり取りも楽しくて、彼と連絡を取っている時間が嬉しかった。



いつも、彼が連絡をくれる時は朝7時台とかの早い時間か、仕事が終わってからの18時以降。

昼間に連絡をくれることはなかったのだけれど、タイ料理のお店の予約が出来たことを知らせてくれた時、珍しく昼間だったので、何の気なしに「今、休憩中ですか?」と書いて返事を出した。

それに対しては特に何のレスもなかったのだけれど。


夜、21時頃。

「今、家ですか?電話してもいいですか?」

と、彼から連絡が来た。

特に用事もなく家にいたので、2度目の彼との電話。



彼が話したかったのは。

実は、彼は会社員でなく、フリーターだということ。レンタルショップの店員なので、接客販売の仕事をしている、ということだった。


アプリでは、実際の状況を偽ってプロフィールを書くことができる。

彼のプロフィールでは、勤務先は「上場企業」になっていたけど、年収とか書いてなかったし、ほんとのところどうかなぁとは思っていた。


正直ね、このへんみんなどこまでちゃんと書いてるのかな、とは思ってたんですよ。20代で経営者・役員で年収800~1000万とか、ほんまに!?そういう人も世の中いるでしょうけど、ほんとかなぁ。みんな、盛ってるんじゃないかなぁ。



だから、彼が自分の職業を偽ってたとしても、そんなに気にはしなかった。

私は相手の仕事とか職種とか年収とか気にしてなかったし。

それよりも、会う前にちゃんとそれを私に伝えようとしたことに、好感が持てる。

そう伝えたら。

「いやぁ、そう思ってくれるかな、とは思ってたんですよね」

ですって(笑)



今日の午後、私からの「休憩中ですか?」の連絡に対して。

ほんとは、バイトを掛け持ちしていて。一つ目のバイトが終わって二つ目のバイトに行くまでの合間の時間だったらしい。確かに休憩中だけど、一般の会社員の休憩中とはわけが違う。会社員です、みたいな振りをしてるわけだから、罪悪感があったんだと。

一日悶々としてたけど、私に話そう!って決めたら、心が軽くなったんですって。それで、電話することにしたんだ、と。



試しに、聞いてみた。何で話そうと思ったのか。

「あとから聞かされたら嫌かなぁと思ったから」

それは、結局付き合うことになってあとから聞かされた時、何で言ってくれなかったのって、破局になるのが嫌だったのか。

それとも、それを聞いた私が傷つくと思ったからか。

「後から聞かされたら、傷つくと思ったから」

彼は、即答した。

そうね。フリーターであること自体はそんなに気にしないけれど、本当のことを言ってくれてなかった、ってことに傷つくかもしれない。


私はこの時、そう、答えた。




そういうことも、包み隠さず全部話してしまうところが、好ましいなと思った。

この時は、それが全てだと信じていた。



もちろん、まだ知り合ったばかりなのだから、全部を話してくれているなんて思ってなかった。

それでも、誰かと付き合う時に前提となる大事な部分は、話してくれているのだと信じていた。



この日のその後、他愛のない話を2時間ほど続けて電話を切った。



彼が自分の仕事を打ち明けてから、今からバイト行ってきます!とか、バイト終わりました!っていう連絡が来るようになって。

そんな些細なやり取りがものすごく嬉しくて。

会う前から、もう、結構、好きだな、と思っていた。

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