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AO入試がなくなる日…というか、厳密にはもうない!

すっかり忘れていた!

コロナにばかりどうしても目が行ってしまった2020年度は、「100年に1度スケールの教育改革(もしかすると改悪)」と言われていて、

〇 センター試験が廃止され、新大学入学共通テストへ

〇 その大学入学共通テストへの英語民間試験の導入(大臣の「身の丈」おバカ発言)→のはずが見送り

〇 さらに大学入学共通テストへの「記述式」の導入 →これも結局見送り・先送り

〇 新学習指導要領の導入

〇 小学校3年生からの外国語教育(英語)の導入、5年生からの教科化

〇 プログラミング教育の開始

〇 さらにはコロナ禍直前に法案がかろうじて通っていた「GIGAスクール構想」に基づく児童・生徒へのICT機器の配布

などなど、突っ込みどころ満載だし、そのままの文言に騙されてはいけないよ…的な内容の改革が推し進められている。

例えば2012年にあれだけ得意気に発表された中教審の「アクティブラーニング」という学習スタイルも、近年の研究で高等教育ならともかく初中等教育での効果に疑問が残るとされてきているため、この度の新学習指導要領から「すっかり」消滅。代わりに「主体的・対話的で深い学び」という表現に置き換えられているのだが、それでも巷の学校募集の宣伝文句にはここぞとばかりに利用されている。英語の教科化だって、成績がつくのは3年生ではなく5年生からだし、週1コマ年間70時間。英会話塾の宣伝文句に騙されず、ちゃぶ台(ないか笑)でドリルでも買って親子で一緒に勉強すればいい!その方が心の教育に効果抜群だろう。プログラミングにいたっては「教科」ではないので、どこかの科目に「お邪魔しま~す!」ぐらいで入れてもらう程度。地域格差を増長するだけ、教育産業界を単に儲けさせるためのものでしかないと揶揄されている(私もする方)。国家がシステムエンジニアやプログラマーを増やすために導入したわけでもなく、「論理的思考」を主の目的とするなら、国語力を付ける時間と戦略を優先してくれーーー!

でも、結構、いや、私にとって相当なインパクトがある教育改革の1つは「もう2020年度でAO入試の名前は消滅しており、”総合型選抜入試”に生まれ変わった」ということをすっかり忘れていたことだ!

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(2020年02月25日ブログより)

タイトル:AO・推薦入試の時代が来た~!

(Yahoo!記事のリンクは古くなったので削除)

ただいま新型コロナウィルス問題のはびこる悪条件の中、大学・高校(中学はほぼ終わりかな)受験真っただ中の方々や関係者もいるかと思います。
それでなくともインフルエンザが毎年猛威をふるうこの時期に、「ワンチャンス」で人生が決まってしまう日本の受験システムはいかがなものか!と不満を持ってきた人もいるのではないでしょうか。
中国や韓国のそれらとは比較にならないでしょうけど。

そんななかAO(アドミッション・オフィス)入試や推薦入試が上記記事の内容のとおり、日本にも定着しつつあるようです。
アドミッション・オフィスとは、もともとは入学選抜全般の業務をおこなう事務局。つまり、高校での成績、共通テストの成績、文化・スポーツ活動やボランティア活動の実績などの情報を収集・検討し多面的な選抜するというスタイルです。

元々アメリカでは一般的である選抜方法。単純な学力ではなく、小論文や面接もおこない多角的な要素から生徒を選抜するこの制度。
私が高校生で留学しこのシステムを知ったときはびっくりしました。
周りの友たちがみんなSAT(アメリカ版のセンター試験みたいな共通テスト)を受験し(複数回受験可能)、自己アピールをし、常日頃の学校での評価を重要視されることに慣れているので、一生懸命宿題や小テストに取り組みます。
そうでない子にチャンスがないのかというと、そういうわけでもなく、のんびり行きたい人は地元のコミュニティーカレッジに行き、そこで実益のある単位を取って卒業する人もいれば、4年生の大学を意識してトランスファー(編入)のための単位を取り、より良い大学に途中から編入することを目指す人もいます。
人によって様々な進路の選択肢があるのです。

さて、そんなAO入試が日本で開始されて数十年(1990年の慶応大学SFC湘南藤沢キャンパスが最初らしい)。
私立大学ではすでに半数はこのAO入試か、昔からある推薦入試のいずれかのルートから入学してくるそうです。
こんな日がくるとは思いませんでした。
日本の推薦入試は、指定枠を持っている学校にいる、満遍なく良い成績を残して平均評定が4.5~以上のような私にとってはミラクルな「なんでもできる子ちゃん」。
それか私の父、弟もたどったような「一つのこと(だけ)優れているのでどうか入学させてね!」のタイプのスポーツや一芸に秀でた人達にしかチャンスがないかと思っていたので。
※ちなみに私の父も弟も、野球で特待枠を獲得し高校・大学に推薦合格しましたが…甲子園は逃しております(涙)大学野球選手権は出ていますが、甲子園には勝てない!

そしてこの記事にあるように、現代(これからの)AO入試はそんな古いタイプの入試スタイルではなく、必要なものは「自己分析能力」と「プレゼン能力」。
つまり「自分がどんな人間でどんな魅力や夢を持っているから、どうかこの大学に入れてください!」とアピールできる人間。

文科省は既に「eポートフォリオ」の活用をアナウンスしています。「ポートフォリオ」…つまり書類を挟むファイルですので、それの電子版。
生徒の高校生活三年間の学習や部活やボランティアなどの記録をまとめることを目的としています。
しかし現場の学校や先生はその活用方法に追いついていません。

来年導入予定だった「国語、数学の記述式問題の見送り」や、「英語の民間試験活用の先送り」のように、ポシャってしまうならいいのですが、
もしこの「eポートフォリオ」が急にAO入試や推薦入試の必須アイテム化する!と決定された場合、それを駆使できる先生や子どもたちはどれぐらい出てくるのでしょうか。
(また文科省の大臣が「身の丈発言」のような失言をしてくれて見送りとかあるかな…あれはすごい失礼でしたね、本当に。怒りを覚えます)

今の小学生・中学生は、5年・10年後の自分たちの進路に何がどう影響するかなんて読み切ることはできません。
でも実はもう20年以上も前。私の弟の推薦入試の時は、自分が載った新聞記事のスクラップブックや、野球に対する考え、自分の長所・短所をまとめさせられていた自己アピールセット…つまり現代の「eポートフォリオ」のようなものを作らされていました。

どんな進路を選ぶかわからないからこそ、子どもたちは「自分とはどんな人間か」を分析することができ、夢を持ち、それをきちんとした形でアピールする力を持っているべきではないでしょうか。

私が衝撃を受けた数十年前のアメリカの友人たちの進路選択のように、
直接四年制大学に行こうが、専門学校に行ってから進路を変更しようが、大人になってから急に学びなおしたくなろうが、
どんな人生でも「選べる」人間になって欲しいなと思ってしまうのです。

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あー!馬鹿なことをした!2020年の時点でこのブログを書くなら、タイトルはAO入試ではなく「総合型選抜」、推薦入試ではなく「学校推薦型選抜」と書くべきだった…

2021年3月末の文科省の発表によれば、アドミッション・オフィス入試(AO入試)の入学者数は、国立・公立・私立で増加した。入学者全体に占める割合は、国立が4.2%、公立が3.3%、私立が12.1%、計10.4%

さらに推薦入試の入学者数は、国立・公立・私立大学で増加した。入学者全体に占める割合は、国立が12.4%、公立が25.3%、私立が44.4%、計38.4%。いずれも増加だ。

しかもこれは平均値であって、(特に私立)の大学によっては5割に近い形で推薦希望者をとったり、経営を安定させるために「青田買い」する傾向もあることは否めない。

そこで文科省が導入したのが「AO入試改革」。どの入試方法においても「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」という学力の3要素(つまり新学習指導要領に沿う形)を評価すること必須にしている。また、3年間の長期的な学習活動を電子化して提出する「eポートフォリオ」(理解している人が少ない)の活用や、小論文、新大学共通テストを評価基準に入れることも推奨しているのだ。そして現在国公立大学では15%程度の推薦入試入学を30%程度に引き上げたいという計画をしている。(朝日新聞ポータルEduAより)

そうだ、この情報を調べている頃はまだ「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」という言葉は導入予定の表現だったので私の中で定着しておらず、昔のAO入試や(学校・指定校)推薦のような言葉しか使いこなせていなかったのだ。

そして2021年4月を過ぎ、今年度からは「旧AO入試」と表現する記事やニュースが多いだろう。まだこの変化に着いていけていない。

これら「総合型選抜(旧:AO入試)」や「学校推薦型選抜(旧:推薦入試)」は一般選抜と並ぶ大学入試の柱の一つになるぐらいこれから拡大していく(いかされる)はずだが、その性質がゆえに、先の3要素を満たす「優秀な高校生」「自己分析・アピール・表現」に長けている出木杉君、しずかちゃん達しか通れない関門になるはず。それが本当に良いことなのか。

先日観た林修先生と落合陽一氏のテレビ対談(カットされた部分がYouTubeにあった)で、「(環境的に)恵まれていない人にはペーパーテストを頑張るしかない」と言っていたが、激しく同意!※1か月限定公開だから、興味ある人は早めにチェック!

実は去年このブログを書いたあと、すぐに記事にコメントをいただいた。

「40数年前の高校・大学入試は、暗記力の優れている人が高得点を取る時代でした。しかし、今では高校入試の英語の問題でも「フェアトレイド」を問う論理的な出題傾向が見られるようになりました。やっと日本の教育が「世界基準」になったような気がします。前期高齢者になった私が今感じることは「一生学び」のような気がします。「大学合格は目標達成」ではなく「学びの第一歩」だと思います。「未来を語れる」若者達の今後の活躍を期待しています。」

望んでいることは皆同じなのではないだろうか。この方のコメントのとおり、日本のガラパゴス教育からの脱出、これからの若者の真の活躍、多様な選択肢…そして何よりもそれを「平等に」子どもたちに与えること。

どのような形式ででも進学できるようにするには、多様な選択肢と可能性を持つ優等生を育てなければならない。ましてやAIが台頭する新しい社会の中で就職するとなると、同様のことがいえるだろう。ハードルはどんどん上がり続けていくのか…

KYHR/SLA

追記:総合型選抜の主なパターンは…(河合塾ホームページより)

「選抜型」国公立大学や難関大学に多いパターン。選考方法は、小論文やレポートを課したり、長文の志望理由書や自己推薦書などを課してその内容をもとに面接するなど、受験生の負担も大きい

「対話型」私立大学に多いパターン。エントリーや正式出願を通して複数回の面談・面接を行い、学力面より人物評価や意欲、志望動機などを重視する

「実技・体験型」入試プログラムの中に、模擬授業やセミナー、実験などが含まれ、その参加が出願条件となる。それにともない、レポート・課題提出などを行う


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