見出し画像

To have a late-born baby or not, that is the question:高齢出産・高齢育児のリアル

私は娘を35歳の時、息子を40歳の時に(しかもその41歳前月!)に産んだ。紛れもない「高齢出産」族。しかも娘と息子との間の5年間で計3回稽留流産を繰り返したため、息子が産まれた時は「満身創痍」…千代の富士の引退会見の時の気持ちが180%理解できた。

高齢ママ。都会ではそれほど珍しくはないが、奄美では明らかに「長老!」。唯一3番目の子を40歳で産んだ同級生ママがいて、彼女とはとても気が合った。あとは数歳下に廃校で有機農業施設を運営する先述のママもいたので「40代と話すと落ち着くよね~」とか「昔はさ~」とか、ベタなBBA発言のオンパレード。ああ、早く夏になって彼女たちとまた飲み明かしたい!

高齢育児の母の月曜日は辛い(誰にとってもか!)。それは土日の疲れからなのか、ああ…また平日が5回もやってくる…という気の重さから来るものなのかは分からないが、今週のその理由は間違いなく「物理的に4歳児に纏わりつかれるかせいだ!」と理解した。幼稚園送迎の電車の中、ずーーーーっと腕をひねってきたり、力いっぱい引っ張ったり、頬っぺたをビタビタと叩いてきたり、首に抱き着いてきたり…ま、私が思いっきりうたた寝をしているからだが。「可愛いのは今のうち、あとすぐに大きくなっちゃってお母さんの方が寂しくなるんだよ~」と遠い目をしてアドバイスされても、声を大にして言いたい。これが高齢出産を経験した絶賛育児中のへそ曲がり母の本音…「もーーー!早く大きくなれーー!」

ママ友

先週末は仲良しのママ友と家族ぐるみで畑に行き(ビルの屋上に畑をレンタルしている)、そのあと娘とそのママの息子(仲良し同級生)を外で遊ばせながらベンチでお茶をした。平日はお互い仕事で会えないけど、最近はこの「子どもたちのための畑」のお陰で母たちは会う機会を設けることができている。

「早期塾通い」「子どもの意思を無視した猫も杓子も中学受験ブーム」に疑問をもち、「子ども時代に思いっきり外で遊ばなくていつ遊ぶの?」と信じているこれら3つの価値観を共有するそのママとは、娘が小学校に入学してからの仲。彼女の息子と我が娘は大の仲良し…時々犬猿。とはいえ、あちらには中学2年生のお姉ちゃん、高校1年生のお兄ちゃんがいるので、歳は1歳しか違わなくても彼女は大先輩。女子の思春期の話、今年無事に「やる気スイッチが急に入って劇的に高校受験に大成功したお兄の武勇伝」…何を話していても参考になるし、楽しい。シェア畑を子どもの「土壌教育」(新学習指導要領の一環で入った環境教育の中の一領域)としてやろう!と真剣に誘えることができる相手もこのママぐらい。他のママたちは土日にぶつかる塾の学力試験に忙しい。悲しいかな、そちらがマジョリティ、こちらはマイノリティ

28歳

このママが現在高1の長男を産んだのが28歳の時だそうだ。28歳!私はまだ教員をしていたし、社会人入学した大学院で研究もしていたから、それこそ「寝ないで」(どこかのサラリーマンの自慢みたい笑)仕事と勉強をしていた。楽しかったー!それぞれ教員仲間とも、研究室の仲間とも飲み歩いていたし、何しろ「まだまだ何かができる!」という気がしてワクワクしていた。実際そのあと教員を突然やめて転職するために上京したぐらいだし。

そんな時期にこのママ友は長男を産んで、子育てをスタートしていたことになる。すごい…私にはできなかった。絶対に。彼女曰く「お兄ちゃんは育てやすい子で、お姉ちゃんも育てやすい子で…その分三番目にすべてがどす黒い渦のように溜まって落ちてきたから、初めての育児ノイローゼは3回目に来たのだけどさ~」とのこと。確かに娘のマブダチのこの3番目の息子は「少々…いや、可愛い範囲で大いに」面倒な男ではあるから苦労は現在進行形なのだが、彼女はきっと1人目、2人目は「若さ」「勢い」で乗り切ったのだろうと推測する。

平成28年令和元年厚生労働省「人口動態統計」によれば、第一子出産時の平均年齢が30.7歳。その16年前彼女がお兄ちゃんを産んだ平成17年のそれは29.1歳だから、ちょうど平均値ぐらいに第一子を出産しているのだ。別に「平均」がベストということを言いたいのではなく、彼女の出産年齢は早すぎず、遅すぎず、「タイムリー」

高齢出産のメリット?

「背が高く健康で、学力も上。大学進学率が高く、標準的なテストの成績も良いとの結果」...人間は自分に都合の良い物から目に入るわけで…(「北の国から」の純風)

とにかく体力も気力もなく、満身創痍の疲労感だけが今ならもれなくセットで付いてくる高齢母には、昨今研究が進んでいる「高齢出産のメリット」しか慰めも救いもない。同じ年代でも元気なママたちはたくさんいるけど、私は流産を繰り返して婦人科系の持病もあり、毎日ヘロヘロ、そして運動不足。これぐらいのご褒美があってもいいだろう…と思ってしまう。以下、よく耳にするメリット。

〇 子どもの学力が高い
〇 身長が高い
→2016年に話題となった「Population and Development Review(人口と開発/原題)」に発表された論文による説。経済格差が教育格差につながりやすい日本とは違い、高福祉高負担の国(学費が大学まで無料)スウェーデンで行われ、正常出産であること、同じ家族に生まれた兄弟を比べる方法、様々な社会的要因を補正した上で、できるだけ身体的高齢と子供の成長が比べられるように統計を取ったもの。そのため多胎出産や一人っ子(お金をかけやすい理由)も全て統計から省いている。様々な複合要因もあるだろうが、身長に関して言えば年々進歩するヘルスケアや予防などの効果も考えられるらしい。

〇 経験を積んでからの出産である分、子育てに安定感と余裕が生れる
→子どものIQが高いとされる複合的要因の一つともいえる。若い経験がないママよりも経験値がある大らかなママの方が子育ての際に有利だとのこと。私はこれこそ「個人差だろ!」と思うが、そういう側面もあるかもしれない。

〇 若返りの効果がある
→子宮体がんなどの発生率の低下の研究結果がでている。また、妊娠中に分泌される“プロゲステロンホルモン”にガン抑制作用がある。出産時には子宮体腔の粘膜が剥がれ落すので、粘膜の裏に発生し始めていたがん細胞を粘膜と一緒に一掃される。あとは美容に効くホルモンが発生する…など言われているが、私は単純に「小さい子を連れていると、相手が勝手に“若いお母さんだ”と勘違い(刷り込み)してくれる!」というメリットも感じている。

他にも「人生の満足度が高い」(経験値が高く、経済的余裕がある分)、「子育ての相談相手に困らない」「乳幼児のケガのリスクが低い」(注意深く見るから)などと言ったことも巷で聞くが、これも「個人差」かな…と思う。ウチの息子は注意力散漫の母の下、生後6か月で4,5回はベビーベッド、普通のベッド、ありとあらゆるところから落下していたし…(どうやって寝返りうつ前にベッドから落ちることができたのか、逆にすごいと思った)。

一体何歳で産めばいいのか

現在の平均である30.9歳?それとも私のママ友みたいに、もし3人子供が欲しいのなら28歳ぐらい?それとも私のケースのように、いくら後年結果的に「満身創痍の育児生活」が待っていても、20代、30代前半ぐらいまでは思いっきり好きなことをし、好きなものを食べ、好きなところに行ってから出産すべき?

わからない。正直答えはない。みんな身体的なことから言えば「若い方がいい!」と分かっていても、「そうは言っても一人でできることじゃない!」と言いたいだろう。この晩婚化・非婚化の時代に、一生を添い遂げる覚悟をし、腹をくくり(妥協し笑)、それなりに恋愛をし、奇跡的な確率で子どもを授かるということ自体が本当に難しいし大変なのだ。

若い方がいい。その通り!流産を繰り返す自分、その度に体調が、持病が悪化する自分が本当に情けなかったし、身体はそれを正直に伝えてくれるからこそ今でも疲れが後遺症として重くのしかかる。でも若い(時には若すぎる)ママが乳幼児さえもを夜に連れまわして飲み会の席に同席させる姿を結構目にすると「もしかして若い時に出産して遊び足りなかったのかな…」と白い目で見てしまうこともある。自分だって「もう大丈夫でしょう!」という歳を勝手に決めて今となっては子ども連れでママ友飲み会をやっているから(コロナ前だが)、人のことを批判できる身分でもないのに!!

そう考えるとやはり今でさえ未熟な「自分は」きっと遊びも仕事も勉強もし足りないまま出産していたら、不完全燃焼気味の母親になっていたことは間違いない。つまり「個人差」、嫌な言い方で言えば「自己責任」なのだろう。

もし娘が将来早く結婚できる環境…つまり相手もいて、学歴や職歴的にもそれなりに出産後でもリカバリーできる立場にいたら、絶対に「子育て手伝うから早く産みなさい!」とアドバイスするだろう。私たちは「子どもを作らない性教育だけ」を受けた世代で、不妊治療なんて言葉も全然知らなかった。まさか自分たちが高齢出産になってしまって、そのツケが来るとも思っていなかった。私の母は24歳で私を産み、私は娘を35歳で産み、きっと娘は(その頃ようやく魅力ある女性となり相手がいれば笑)きっと30歳ぐらいで産むように綿密に人生設計をする世代になるような気がする。

28歳で長男を産んで、3人の子どもたちを立派なブレない教育方針と共に育てている先のママ友。本来はあくまで「個人の問題」なのだ。でもそれでも私の周りには自分の流産しかり、不妊治療で苦しんでやっと結果を出した人、それでも諦めざるを得なかった人たちも相当数いる。娘の保育園仲間は35~38ぐらいで第一子を産んだママたちがほとんどだったので、二人目が欲しいと思った頃にはもう無理だなと諦めてしまった人もたくさんいた。環境面も経済面も決して子持ちに優しくはない現代社会。「保育園も幼稚園も無料なんだって?いいね~!」と政治に全く興味なさそうな奄美のおばあさんに「幼児保育の無償化」をそのように意見されたときは、思わず「時代考えてよ!あなたたちは高度経済成長期の右肩上がり給料の恩恵があったでしょ?」と言いたくもなった…

教育を語るとき。意外とこの「高齢出産の問題」というのは、さまざまな因果関係のファクターとして重要な意味を持つような気がする。今後も様々な最新の研究結果が出てくるだろう。その度に心の中でも頭でも「やっぱり若いうちに親になった方がいいのか、それとも高齢出産でもいいのか、仕方がないのか」という問題をどの世代も「現在の問題」「未来の問題」そして私たちにはもう戻れない「タラレバの過去の問題」として考えさせられるような気がする。ただその時、一番大事なことは「何歳で産もうが、子どものためにどんな親になれるか」ということなのだと思うし、そうあるべきだ。

外野があーだこーだ言う以前に、誰がどういう選択をしても、社会がある程度バックアップできる体制と基盤を築くこと。その先に、万人に開かれた質の良い教育を設けることが大事な気がする。

疲れた身体に鞭を打ちながらまだ隣りでグーグー寝ている(寝ている時だけ可愛い)子どもたちを見て、今何歳のママで、どんなに疲れていても、この子たちが無事に産まれて健康に育ってここにいるだけで有難い話なんだろうな…と、今日は朝から栄養ドリンクで自分の老体を誤魔化してみた。

KYHR/SLA


この記事が参加している募集

育児日記

サポートなんて…滅相もございません!が、やっていただけたら本当に嬉しいです!