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サラリーマンの週末美術館•ギャラリー巡り 。My記録と雑感と。仕事は長らく銀行勤め。ア…

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サラリーマンの週末美術館•ギャラリー巡り 。My記録と雑感と。仕事は長らく銀行勤め。アートナビゲーター (美術検定1級)。 For years, art has always encouraged, or sometimes healed, my mind.

マガジン

  • アートナビゲーター ・金融マンの週末美術館巡り雑感の記

    過去30年ほど国内外での仕事に刺激と癒しを与えてくれたアートを巡る出会いをベースに、最近の美術館巡りの雑感を掲載します(コロナ禍が収まるまでしばらくは国内ですが、、、)。

最近の記事

あやしい絵展

3回目の緊急事態宣言の前夜、東京国立近代美術館の「あやしい絵」展に駆け込む(明日から臨時休館とあって夜間まで随分混んでいました)。 ここの企画展はいつも切口が斬新。退廃的・耽美的・妖艶・神秘的・浪漫的な絵を「あやしい絵」と称して集めたとのこと。初めて知った大正時代の日本画家、甲斐庄楠音(かいのしょうただおと)の≪畜生塚≫なんぞ妙に宗教性を感じて確かにあやしい絵。 「あやしい絵」と言われると全部あやしく見えてくるから不思議ですね。絵に限らず、全ての物事、先入観やらバイアスを

    • 琳派と印象派展

      新春はアーティゾン美術館「琳派と印象派」展から。 なかなか難しい展覧会。「東西都市文化が生んだ美術」と銘打つも、市民革命を経た近代パリと未だ封建時代の近世江戸を「都市文化」として並列的に括ってしまうことの大胆さに、ちょっと違和感が残るという意味で。 それでも、モネの≪睡蓮≫の向うの酒井抱一≪松島図屏風≫、セザンヌの≪サント=ヴィクトワール山≫の隣の鈴木其一≪富士筑波山図屏風≫、それらが醸し出す空間は何とも新鮮。そこから色々思いが巡る。 日時事前予約制で1/24まで。相応

      • STARS 展

        11月最後の土曜日、「STARS展: 現代美術のスターたち-日本から世界へ」を見る。 草間彌生、李禹煥、杉本博司、宮島達男、奈良美智、村上隆(失礼ながら年齢順に並べるとこんな順)。一番若い村上隆と草間彌生との間には優にワンジェネレーションあるし、それぞれの作品に共通性があるとも思えないけれど、6人が6人日本から世界に打って出て、その世界で認められ、今なお現役バリバリのアーティスト、確かにSTARS展とは言い得て妙。 今日は6人のうち誰が好きかというような見方は相応しくはな

        • 原美術館

          快晴の土曜日午後、原美術館。 散歩がてら立ち寄る身近な美術館だったけれど、それもいよいよおしまい。閉館が来年1月に迫っている。 最後の「光-呼吸 時を救う5人」展、佐藤時啓はじめ、美術館をモチーフにした作品が同館の最後に相応しい。森村泰昌、宮島達男、奈良美智の常設も健在。名残り惜しいが見納め。 この美術館、仕事で疲れていた時も、不思議とエネルギーを充電してくれた。中庭のカフェに座って東京の空をゆっくりと見上げる、そんな空間のお陰か、単純にそこで飲んだワイン🍷のせいかは分

        あやしい絵展

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        • アートナビゲーター ・金融マンの週末美術館巡り雑感の記
          19本

        記事

          Domestic Affairs 伊藤隆介

          金曜夜、天王洲アイルの児玉画廊で伊藤隆介の「Domestic Affairs」を見る。 ご案内を頂いたギャラリーのKさんによれば、壁に映し出されたスナック菓子の商品棚や火事現場のリアルな映像は、実は眼前のミニチュア模型を巧みに映し出したものとの説明(なるほど!)。 作家の意図はともかく、普段からTVに映し出される映像も、実は精巧に作られたフェイク映像かもしれないよ、そんな警鐘さえ聞こえて来るような作品だ。 天王洲アイルの児玉画廊で11月21日まで(今年は、夜の飲み会/宴

          Domestic Affairs 伊藤隆介

          宮島達男|クロニクル 1995-2020

          定期的に見たい作家がいる。宮島達男もその1人。2016年、訪問先のシドニーでたまたま見た「Connect with Everything 」展から4年、千葉市美術館に「宮島達男 | クロニクル1995-2020」展を見る。 仕事がら、物事は数値化・計量化すれば具体的になるんだろうという発想をしがちだけれど、宮島作品の「数字」に込められたメタファーの多様性に触れると、物事そんなに単純ではないように思えてくる。目から鱗。 千葉市美術館で12月13日まで(都心から離れているせいか空

          宮島達男|クロニクル 1995-2020

          「桃山天下人の100年」展 東京国立博物館

          雨降る土曜日の夜、東博の「桃山天下人の100年」展に出掛けた。 同時代を彩る200点余の出品物の中、見入ったのは等伯の国宝≪楓図壁貼付≫(10年前やはり東博の「没後400年長谷川等伯」展でも見たはずだけど)。中央に楓、向かって右には濃密な秋草、同左には一転金箔の空間と、この画面処理、緻密綿密な計算に基づいているんだろう、それでいて見る者の気持ちをスッと動かす。これぞプロ。 能登から上洛して保守本流の狩野永徳の向こうを張り、桃山画壇の雄に昇り詰めた等伯、サラリーマン的にも興

          「桃山天下人の100年」展 東京国立博物館

          「江之浦奇譚」 杉本博司

          注文をしておいた杉本博司氏の新著『江之浦奇譚』(岩波書店)が届いた。「江之浦測候所」を巡る同氏の一代記の模様。 江之浦測候所を訪れたのは丁度2年前の晩秋。広大な敷地の中に再現された杉本ワールドに大いにinspireされた。今もそうか分からないが、確か図録のようなものはなく、少し寂しい思いをしたことを思い出した。 これからの季節、格好のbedtime readingの一冊になりそうだ(写真もふんだんです)。

          「江之浦奇譚」 杉本博司

          ピーター・ドイグ展

          ピーター・ドイグ展、会期終了が近い金曜夜に何とか飛び込む。前売券は1月に買っていたにもかかわらず。 ピーター・ドイグ、多才な人だ。具象と抽象、遠近法と平面的な画面処理等々、確かで多様な技術を駆使しつつ、見る者にはひたすら自由な想像力を提供する。看板の1枚《ガストホーフ・ツァ・ムルデンタールシュペレ》の前では、そこに込められたストーリーに思いを馳せる。 電光ギトギトインスタレーションなど何でもありのコンテンポラリー・アートにあって、ピーター・ドイグは二次元の絵画でなお新しい

          ピーター・ドイグ展

          Reforming Perceptions展 児玉画廊

          金曜夜、天王洲の児玉画廊に立ち寄る。ちょうど9月上旬から「Reforming Perceptions」と銘打った新進気鋭の作家の抽象絵画展が行なわれている。 その内の1人、鈴木大介の抽象絵画は、現実のモチーフのイメージに依存しない、それそのものとしての絵画が追求されたものだと言う。抽象画に作家のモチーフが持ち込まれると、見る方はそれを分かろうと悪戦苦闘することがままあるけれど、鈴木大介はそうではないらしい。そこでは、色、線、形、構成等々、絵を構成しているもの、そのものが追求

          Reforming Perceptions展 児玉画廊

          artTNZ

          artTNZと銘打たれたアートフェアに出掛けてきた。今年中止になったアートフェア東京の代りと言うこともないのだろうが、現代アートのギャラリー40店強が天王洲アイルにオープンしたTerrada Art Complex IIに集結。元倉庫の高い天井は現代アートの展示にはうってつけ。 フェアに行ったからといって、必ずしも買うために見るわけではないけれど、買うことのできるアートを見ることはやはり楽しい。 アートを買うことが投資と言われることも良くあるし、確かにキャピタルゲインを期

          オラファー・エリアソン ときに川は橋となる

          久しぶりの雨の土曜日、会期終盤になってようやく「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展を訪れることができた。 光や色彩の仕組を通じて、予期もしなかったようなイメージを視覚出来るようなインスタレーションがずらり。 現代アートって作者の意図や製作方法を文字情報で読まないと、作品が何を表現しようとしているのか - 例えば環境保全がテーマとか - どうにも良く分からないことが多いけど、逆にその作業が楽しかったりする。 清澄白河の東京都現代美術館で9月27 日まで。日時指

          オラファー・エリアソン ときに川は橋となる

          9・11

          7月の日経新聞連載の杉本博司の「私の履歴書」、21回目は「9・11」。筆者撮影の写真「ワールド・トレード・センター」と共に、杉本さんは「私はあの朝、ニューヨークにいて、スタジオの屋上からタワーが崩壊していくのを見ていた。あんなに空が透き通るように青い日はなかった」と記している。 当時ニューヨークに勤務していた私にとって、あの現場の様相を知ったのはメディアで見た後付けの映像だが、ミッドタウンにあるオフィスからの帰途、南の空に大きく上がる白茶色の煙と背後の青い空、周りの街中の混

          「東京モダン生活」展@東京都庭園美術館

          8月最後の土曜日、午後少し時間が空いたので、白金の東京都庭園美術館「東京モダン生活」展を訪問。 1933年竣工の旧朝香宮邸美術館本館は、まさにアール・デコの館。すっきりとして都会的でモダンなアール・デコの様式美は、この建築が、朝香宮邸から戦後の外務大臣公邸、更には迎賓館と、常に時代のニーズに応えてきたことの理由と無縁ではないだろう。アール・デコは機能美を追求したものではなく、一種のスタイルとして生まれたものという説明を聞くこともあるが、そこは結果オーライ(アール・ヌーヴォ

          「東京モダン生活」展@東京都庭園美術館

          開校100年 きたれ、バウハウス -造形教育の基礎-

          こんな学校があったら通ってみたい。「開校100年 きたれ、バウハウス -造形教育の基礎-」展。コロナ禍と熱暑のお盆の週末、遠出もままならず東京ステーションギャラリーへ。 展覧会の冒頭にこうある。「バウハウスは、ある時代のデザインのスタイルなのか、建築のスタイルなのか。この問いに対する最も率直な答えは、『バウハウスは、学校である」ということである」と。 ここでは、画家としてのカンディンスキーやパウル・クレーではなく、バウハウスで教鞭を取った先生としての二人に会える。尤も、カ

          開校100年 きたれ、バウハウス -造形教育の基礎-

          珠玉のコレクション SOMPO美術館

          夏はひまわり。今年の夏は東京でゴッホの≪ひまわり≫を2点見ることが出来る。 ロンドンナショナルギャラリー展に続いて、7月10日に新装開館したSOMPO 美術館でゴッホの≪ひまわり≫を見てきた。背景を含めた色使いの違いから、こちらの方が少し大人しい、落ち着いたひまわり。 生憎のコロナ禍で遠出が憚られる今年の夏、上野と新宿でゴッホの≪ひまわり≫を楽しむのはどうだろう。 西新宿のSOMPO美術館「珠玉のコレクション」展は、日時指定制で9月4日まで。 #SOMPO美術館 #ゴ

          珠玉のコレクション SOMPO美術館