【感想】ドラマ・ブラッシュアップライフを観て
・最終回は3/12、全10回のドラマ
まずはじめに
さて、何から書こう。浮かぶ言葉が多くて、まとめるのに本当に時間がかかってしまった。それくらい、楽しむことができたドラマだった。私が2023年冬期(になるのだろうか?)に観たドラマの中で、ダントツに面白いと思ったドラマがこの「ブラッシュアップライフ」だった。
もし、万が一まだ最終回まで観ていない、あるいはこの先観る予定があってネタバレを気にするというような方は、ぜひ先にドラマを観てきてください…!
また、1ヶ月近く気が向いたら考えて書いた感想のため、少し長めです。お時間のあるときに暇つぶしにでも…!よろしくお願いします。
では、いざ。
まず何をおいても、世の中の評判は初回からずっと良かった。
偏屈なのに、ミーハーな部分のある私は、それゆえ見る気になったと言っても過言ではない。「何なに、そんなに面白いなら見てみるか…!」といった具合である。(偉そうなヤツ)
ドラマのあらすじ
内容は単純明快。タイトルそのままで「人生をブラッシュアップしていく」と言うもの。タイトルだけで、とりあえず「転生もの」なのだろうなあと予想はしながら観た。
想定通り、わりと早々に安藤サクラさん演じる主人公「あーちん」は亡くなる。そして転生する際の受付(言葉にすると妙な感じだが、そのまま想像してください。笑)で、「来世はオオアリクイです」なんて言われてしまう。
それは嫌だ、人間に生まれ変わりたい。やり直したい。やり直せますよ!え、本当に?じゃあそうします!みたいな具合に、非常にテンポ良くストーリーは展開していく。
余談だが、私はこの受付の人が「バカリズムさん本人」だった時点で、何の根拠もなく絶対面白くなると踏み、最後までこのドラマを観ようという気になった。
何はともあれ、「あーちん」は人間に生まれ変わることを目標に人生をブラッシュアップしていくことになったのだ。
わかりやすい展開
ブラッシュアップとはそもそも何か。
言葉自体の意味は、簡潔にいうと「企画やアイディアなどを再考し、より良くしていく」というもの。
一度死んで案内係(バカリズム本人)に会い、諸々説明を受けた後、オオアリクイへの転生を拒んだ「あーちん」は、よりよく人生を「改善・改良」していく道を選択したわけである。
ちなみにその後、度々この案内係とやり取りをして、「あーちん」は転生し人生のブラッシュアップを続ける選択を重ねていく。
その人生を「改善する」手立てが、ドラマ内で再三聞くことになった「徳を積む」ことだった。
ざっくりいうと、「他の人のためになりそうな、何か良さそうなことをしていき、それを積み重ねる」ことに奔走しだすのだ。
「徳を積む」ということを非常に身近なことと感じた私は、スッとストーリーに引き込まれることになった。(別記事参照→「徳を積みがちな人生」)
徳を積む目的
さて、そんな主軸のもと展開していくストーリーなのだが、「あーちん」の徳を積む目的ははじめに述べたとおり、「最終的に人間に生まれ直す」ということだ。
幼いときに離れることになった友人の存在を思い出し、離れた理由が親と先生の不倫と知ってそこを回避する努力をしたり、かつての師(しかも恩師とは言い難いくらいの距離感の先生)の痴漢冤罪を回避するよう努めたり。
さらには、薬の飲み合わせの悪さを指摘して祖父の健康を守ったり、不倫の片棒を担がされているかつての友人を悪い男から守ったり…。(ここまで一息)
いずれも、生まれ変わりを繰り返す中で、「その出来事に関わる張本人たちの、人生を大きく左右する出来事」と知って、できるだけ穏便に周囲の人間が生きられるよう頑張る。もちろん、父親の誕生日を祝うという程度の、ささやかな「いいこと」も可能な限り拾おうとする。
これも先述した内容とかぶるが、本当にとりあえず「他の人のためになりそうな、何か良さそうなことをしていき、それを積み重ねる」よう頑張るのだ。
一度…二度…と、ブラッシュアップは繰り返される。何度やり直しても、毎回可能な限り「徳を積む」ことをし続ける。それくらい「人間に生まれ変わることに固執していた」と言える。
その間、たとえば昔付き合って別れた男性がお金持ちになっていたと知ったら、次の転生ではその男性と長く付き合うよう努めてみるなど…。ちょくちょく「自分にとって都合の良いことも、成し遂げようとしてみる」あたりが、何だかリアルで良かった。
目的の変化の描かれ方
そんなことを繰り返す中で、だんだんブラッシュアップの内容も精査されていく。
勤め先も、「市役所員」→「薬剤師」→「テレビ局関係(私が無知ゆえ曖昧、プロデューサー?)」→「研究医」→「パイロット」と変化する。
そして、四度目くらいになる研究医ルートから、徳の規模が少し大きくなる。端的にいうと、「他者の命を救う」ことを意識し始めるのだ。
細かいことを言うなら、おじいちゃんの薬の飲み合わせを指摘したあたりから布石になっているのかなと思うが、不倫だ痴漢だどころの騒ぎではない「命に関わる選択」を視野に入れ始める。
そして、それらを経た上で、同じように転生を重ねている「まりりん(水川あさみさん)」と仲良くなり、共に「親友たちの死を回避する」という原点にして頂点のような選択肢に辿り着くのだ。
「まりりん」の存在もかなり重要で、彼女が出てきてストーリー展開は一気に本筋に戻され、その持っていき方があまりに美しくて、私は興味深い…!と前のめりになった。
最終的に、「自分が人間に生まれ変わる」という当初の目的に辿り着く!という場面で、「あーちん」は「親友たちの死を回避する」というルートを選択するのである。
結果として、そのルートで見事全員生還。ハッピーエンドでドラマは終わる。
変なところに感情移入をしがちな私は、あーちんに出会うまでの、まりりんの孤独や不安を思って勝手に心が痛くなった。2人がきちんと再会できて良かった!
ブレずに描かれた一つのテーマ
このドラマ、何が一番良いと思ったかというと、根本に一貫して置かれたテーマが、非常にわかりやすいもの「1つ」だったと言うこと。
それが、「友情」。
今日び、やれ愛だ恋だ、お金だ仕事だと、さまざまなものがテーマに取り上げられ、その多様性に注目を置かれるようなことが多い。
そんな中、擦りに擦られまくった「友情」という、老若男女問わず身近でわかりやすいものが、このドラマの根っこにしっかり据えられていた。
もちろん、相応に愛や恋についても触れられているが、横道に逸れかけても最終的には「友達のために」という1つの灯りを目指して登場人物たちは突き進み、そのままクライマックスまで描かれていた。
わかりやすかった。そして感情移入がしやすかった。わちゃわちゃした子供時代を過ごした「大人」ほど、このドラマのクライマックスの駆け抜け方は響いたと思う。
そして、今時珍しいくらいに「出来すぎたハッピーエンド」。
もういいよ、それでいいよ!それがいいよ!と見ている側が納得するような、そして見終わった後に少し笑ってしまうような、絵に描いたようなハッピーエンドでまとめられていた。ラストシーンの鳩4羽なんて、もう本当にやりすぎだ!笑
それでもただただ、笑ってそうくるかあ!とあたたかい気持ちで、安心して観終えることができた。それが、良かった。
最後に
音楽の力も、大いに活用していて素晴らしかった!
使われていた楽曲は、毎度「絶妙に懐かしい」と思わせるようなものばかりで、視聴層のターゲットの絞り方も上手いなあと舌を巻いた。
この世知辛い世の中で、久々にびっくりするくらい爽やかなハッピーエンドだったことも、私にはとても響いた。
悲しくて重たくて、切なくてそれでもって「良い話」みたいなドラマをよく観ていた(私は、坂元裕二さんの描くドラマが好きなのだ)ため、こんなにもあからさまな、まっすぐなハッピーエンドもあるのかと、本当に感動したのだ。
いろいろ述べたが、一言にまとめるなら「バカリズム、すごい」ということ。
またドラマ脚本を書かれることがあれば絶対に観たい!
…とりあえず自分の感じたことを自分の言葉でまとめてみたくて、これを書いた。他の人の感想や評価の類いをできる限り見ないように、避けてここまできたので、これを上げてから、他の人たちがどういう感想を抱いているのか、急いで見てまわりたいと思っている!
長々とした感想を、ここまで読んでくださった方がいれば、お付き合いありがとうございました!
ああ、素敵なドラマだった!
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