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フリーメイソンと広報


広報は一次情報を大切にしなければならない


広報は一次情報を大切にしなければならない。
広報である以上、対外的な情報の発信は事実に基づいていなくてはならない。
嘘をついてはいけないというのは広報に限ったことではないが、
会社や商品の説明をするときは、その商品の開発の背景や特徴を裏付ける、信頼性のあるデータを常に把握しておく必要があるのだ。
その裏付けとなるデータ(情報)は、主観や憶測ではなく、
信頼性の高い機関や企業が行った調査データ、
あるいは自社で行ったアンケート調査などから導き出された統計データである必要があり、これらの情報が一次情報となる。

ちなみに、そのデータなどから導き出された見解や分析は二次情報となり、それを見聞きした人物から発信される情報が三次情報となる。
伝言ゲームのように伝えられる情報は当然ながら少しずつ事実から離れていき、信頼性を失っていく。
つまり一次情報こそが一番信頼できる情報だと言える。

広報業務においては、開発時に参考にしたデータやトレンド情報、
あるいは自身が示そうとしている情報が、どこから持ってこられた情報なのかを見極め、その情報が一次情報に値するのかを常に疑問に思わなくてはならない。

いわゆるリテラシーを人よりも高く持つ必要がある。

フリーメイソンが動き出した

そんな広報に携わる私は、一次情報が非常に曖昧なコンテンツを趣味に持つ。
それが「都市伝説」だ。

「伝説」を辞書で引くと、「事実に基づき言い伝えられてきた説(話)」とあるが、都市伝説はそれこそ伝言ゲームのように口承され、結果的に事実とかけ離れていくケースが多いようだ。
日本の例としては「トイレの花子さん」や「口裂け女」、海外では「切り裂きジャック」など、ホラー要素が高いものが多い。

そんな中、都市伝説界では極めて有名な題材であり、
ここ十年程でテレビ東京系「やりすぎコージー(内『やりすぎ都市伝説』)」から再燃、さらに多くの人に認知されたものが、
フリーメイソン」である。
最近では高須クリニック院長高須克也氏が入会した(していた)ことでも記憶に新しい。

世界最古、世界最大の秘密結社と噂されるフリーメイソンだが、友愛団体として事実存在しており、公式HPもあるほどだ。

にも拘わらずこれまで活動内容は公にされず数々の都市伝説が噂されてきた。かくいう私も長崎に旅行に行った際、グラバー園の門柱に刻まれたフリーメイソンのシンボルを目の当たりにして興奮したり、無意味に携帯の待ち受け画像をフリーメイソンのシンボルにしたりした。

そんなフリーメイソンが、ここ最近動きを変えてきた。

メディアへの露出が増えたのだ。

増えたという見解はあくまで私の肌感覚でしかないし、
これはあくまで「日本においてそう感じた」としか言えないのでご了承頂きたいが、取材応対の記事や高須院長の入会の公言などから見ても、これまでよりオープンになったとは確かだろう。
なぜフリーメイソンはここにきて動きを変えてきたのか。

結論から言うと、「認知度が高まったおかげで、メディアへ露出せざるを得なかった」のではないかと推測する。

メディアの偏移と都市伝説

ではなぜ、フリーメイソンはここまで認知度が高まったのか。
それによって、なぜフリーメイソンはメディアへ露出せざるを得なかったのか。

これは、「メディアの増加」と、「フリーメイソンの理念」が関係していると考える。

90年代から2000年初頭あたりまでは、フリーメイソンを始め都市伝説の情報を得る手段は、書籍が中心。
一部テレビの特番で「オカルトもの」としての一要素として紹介されているくらいだったと記憶している。
中でも日本における老舗のオカルト雑誌「月刊ムー」が先駆者となり、
フリーメイソンの陰謀論はある一定の読者層に認知されていた。
インターネットが普及してからも、私達が自ら「フリーメイソン」と検索をしない限り、その情報を得ることはほぼなかった。

ここまでは、フリーメイソン自身も
「深読みした物好きが、あることないこと噂している」
程度にしか思っていなかったのではないかと思う。
オカルト・都市伝説は一つのエンターテイメントであるため、
フリーメイソン自体穏やかな表情で笑っていたのではないかと考える。

しかし、ここ10年程で様相は変わる。

まずは先に述べたテレビ東京系「やりすぎ都市伝説」である。
この番組は現在も年4回程のペースで特番として放送されているが、
もともとは2005年から放送されていた「やりすぎコージー」内にて、芸人がそれぞれ都市伝説を持ちより、トークで紹介するというコーナーだった。
そのコーナーでひと際饒舌で、やたら詳しすぎる芸人がいた。
それがお笑いコンビ「ハローバイバイ」のボケ担当だった関暁夫氏(以下敬称略)だ。

関暁夫が紹介する都市伝説は、他の芸人と一線を画し、MCや視聴者の度肝を抜いた。
たとえば、「徳川埋蔵金の在処」「ケネディ暗殺の真相」「地球滅亡説」など、一見アホくさい内容なのだが、視聴者は関暁夫の話にくぎ付けになった。
なぜ関暁夫の話がこれほどまでに惹かれるのかはいつか話したいと思う。

とにかく、関暁夫はその見識の広さから、
「ハローバイバイ関暁夫」から「Mr都市伝説関暁夫」と呼ばれるようになり、視聴者の興味を集めた。
「やりすぎコージー」内のコーナーが独立し、「やりすぎ都市伝説」となってからはゴールデンの特番扱いとなり、関暁夫は毎度海外へ飛び、多くの都市伝説を紹介しだす。
そのメインテーマとなっていたのが「フリーメイソン」だった。

その土地にまつわるフリーメイソンに関する都市伝説を、関のトーク、インタビュー、再現VTR、ナレーターによる解説で、より詳しく、より分かりやすく紐解いていく。
その内容を、多くの視聴者が集うゴールデン枠で流していたのだ。
核心にせまる関暁夫はどんどん踏み込んでいき、フリーメイソンのロッジ内の撮影、グランドマスターへのインタビューをも成功させることになる。
番組中関暁夫がよく口にするが、世界的な陰謀に関わることであるかもしれない領域に、日本において誰よりも深く足を踏み込んでいるのが、
「やりすぎ(都市伝説)のカメラ」「テレ東さん」
であることは、
実にシュールである。

そんなことから、2010年あたりから2015年あたりにかけて、Mr都市伝説関暁夫の影響もあり、「秘密結社フリーメイソン」の知名度が急激に上がった。

しかし、ある時期を境に関暁夫はフリーメイソンの話をやめる

やりすぎ都市伝説ファンの方なら気付いていたと思うが、
「歴史」という切口からひも解く秘密結社の話から急に、
これからの未来、ITやAIといったテクノロジーの話にシフトするのだ。

それは番組のシナリオ通り進んでいるのかもしれないが、これまでの話が好きだった視聴者からすると急なシフトチェンジで物足りない部分があったのではないだろうか。
(AIによる秘密結社「ゾルタクスゼイアン」が出てきたときはちょっと面白かった)

さて、なぜ関暁夫は急にフリーメイソンの話をやめたのか。
これこそが、「フリーメイソンの理念」に関係していると私は考える。

一人歩きしだした「フリーメイソン」という名前


もちろん真実なんて分からないが、
思うにフリーメイソンは、本当に純粋な友愛団体なのではないだろうか。
理念として掲げる「自由」「平等」「友愛」「寛容」「人道」の5つは、
割と世界的に共通な
「人としてきちんとしましょうね」
「愛をもって人と接しましょう」という教えのようなものであり、
それを広める方法として宗教であったり、教育であったりが存在していた。フリーメイソン自体も宗教に則った考え方をしているようだが、
なんてことはない、ロータリークラブ、青年会議所を巨大化した組織のようなものなのだ。

友愛団体、慈善団体である以上、人に対して有益な活動をする。
ボランティア活動などもその一環だろう。

さて、皆さんはどうだろうか。

例えばあなたはボランティア活動を日課としていて、
見返りを求めず無償で人に尽くすのが好きな人物だとしよう。
そんなあなたは、果たして「私、ボランティア活動が好きなんです」と周りに言いまわるだろうか。
本当に純粋無垢な気持ちで慈善活動を行っている人は、
あまりそういうことをしないのではないかと私は考える。
しかし、悪意をもって(というわけではないが)、周りの人々がこういう噂をし出した。

『あの人、良い人を演じてるけど、実は・・悪魔崇拝者らしいよ』

・・・実にアホくさい。
アホくさいが、果たしてあなたはこの噂に対して必死に弁明するだろうか。
どちらかと言うと、放っておくのではないだろうか。

では、これはどうだろう。

噂が噂を呼び、どうやらあなたは悪魔崇拝者のレッテルを貼られた。
しかも、噂する集団のリーダーのような者が、あなたに関するものを次々に「証拠だ」と言いまわっている。こないだはあなたの飲みかけのブドウジュースを「悪魔の血だ!」と写真に収めていたし、ある時は貴方の家から教会までの距離がちょうど666歩だと騒いでいた。

さすがのあなたも「待て待て待て」とならないだろうか

おそらくフリーメイソンも同じだ。
当初は一部のマニア(日本でいう月刊ムーを愛読していたようなオカルト信者)が騒いでいた。それは、特に気にもとめなかったのだろう。
しかし、関暁夫の登場もあってか、急に自分たちの名前が知られるようになった。
中にはオカルトファンではなく、中途半端に知識を得た非常識な人たちによる迷惑行為もあったかもしれない。都市伝説をエンターテイメントとして楽しめない一部の人たちによる抗議もあったかもしれない。

とにかく、フリーメイソンにとって「自分たちが理念として掲げていること」と、「周りから見られている認識」に大きな祖語が生じたのだ。
こうなってくるとすべき事は一つ。「弁明」である。

この弁明こそが、メディアへの露出だったというわけだ。

フリーメイソンがウェブメディアのインタビューに応じるなんて、なんともシュールな画だが、そうも言ってられない。
結果、フリーメイソンの日本の会員がインタビューを受け、
実際に「不正確な報道を正したい」と語っている。

また、関暁夫が番組内でフリーメイソンを扱った期間の終盤あたり、実際にフリーメイソンの会員と接触し多くのインタビューを行っているが、そこには当然ながら危険思想の姿はない。
察するにその時もフリーメイソンから自身の理念や歴史、これからの未来に関して語られたはずだ。
恐らくその接触を経て、関暁夫が感化されたか、番組サイドが忖度したか、あるいは両方の理由から、番組内でフリーメイソンを扱うことを控えたのだと思われる。

「雑誌」「テレビ」に続く第3の勢力

これにより、少なくとも「やりすぎ都市伝説」においてフリーメイソンを見る機会は少なくなったのだが、雑誌(ムー)、テレビ(やりすぎ都市伝説)、に続く第3の勢力が急激に加速し始めた。

それが都市伝説系ユーチューバーだ。

実際テレビでの情報拡散時期と同時に都市伝説系ユーチューバーは活動していたが、おおよそテレビで放送された内容をなぞったり、補足する程度だった。
しかし、テレビで楽しみにしていたコンテンツが減るや否や、
その情報を求める先はネットへと転向。
とくにユーチューバーは注目を集めた。

テレビと違い個人で好きなだけ語ることの出来るユーチューブというプラットフォームは、日本中の都市伝説っ子を虜にしたに違いない。
実際、やりすぎ都市伝説でフリーメイソンを扱わなくなった時期を境に、
都市伝説系ユーチューバーの登録者数が上がってきている。

この時流に対し、フリーメイソンがどのような対策を打っているかは知らないが、都市伝説に限らず、ユーチューブでは現在規制が厳しくなり、
危険な行為や危険な思想に基づいた動画は削除、
チャンネル閉鎖の動きが活発化している。

そんな動きから都市伝説系ユーチューバーは関暁夫の決め台詞よろしく
「これはあくまで都市伝説ですよ。エンターテイメントなんですよ」
と念押ししている様子がうかがえる。

フリーメイソンと広報

こう考えると、フリーメイソンも一つの企業のようなもので、
いつどのようなクライシスが発生するかなんてわからないのだ。
企業にとってのクライシスとは、不正や事故などが該当するが、
その際の動きを間違えれば一生マイナスのレッテルを貼られかねない。

それを避けるために「広報」はいる。

「私たちはこういう理念のもと働いています。」
それを対外的に説明し、理解してもらう仕事なのだ。

フリーメイソンに広報部あるいはそれに等しい部署があるかは知らないが、
フリーメイソンは今まさに「広報」としての動きをするフェーズに入っているのかもしれない。



しかし、何事も表向きと裏向きがある。
本当の陰謀というものは、自分の意図しない所で動いていて、私自身も無意識にそのレールの上を歩かされているのかもしれない。

フリーメイソンは本当に世界を牛耳っていて、これら一連の流れは表向きなカバーストーリーの流布のための動きなのかもしれない。

信じるか信じないかはあなた次第です。

<追記>

フリーメイソン日本グランドロッジには、広報委員会が存在していました。

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