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アップロード、ヒトミさんの場合(+x)

エピローグ


 ヒトミさんの物語を、長いこと読んでくださり、ありがとうございました。
 連載途中、「私もそんな感じで逃げたのよ」とか、「私も全く同じ心理状態だったわ」という方々と知り合い、状況は違えども、ヒトミさんのような女性(もしくは男性)はたくさんいるのだなあと、改めて思いました。

 しかし、「もしかして貴方は、ヒトミさんの夫サイドの方では」と感じてしまう方もいらっしゃいました。結婚して数年経ち、夫が昔みたいにちやほやしてくれないと不満を持ち、その方は、こんなはずじゃなかったとおっしゃり、私はモラハラを受けている、日々傷ついていると主張されるのです。

 自尊心の高い方は、プライドが傷つくと、人格を否定されたと言いがちで、さらに被害者意識に酔うことで、プライドを守っているのではないかと私には思えます。プライドが傷つくことと、心が傷つくことの違いは、他人には簡単に見分けられません。まるで優しさと思いやりの違いを見分けるのと同じくらい困難です。

 賞賛されたいタイプの方にとっての結婚は、年月の積み重なりと共に色褪せ、賞賛されなくなることでプライドが傷つき、日常の、賞賛ではない言葉が、暴言のように聞こえてしまうのかもしれなくて、そんな思考の方が、ヒトミさんの心境を自分と同じだと捉えることを知り、少し愕然としました。

 それこそヒトミさんの夫からすると、自分こそが被害者で、ヒトミさんのしたことは許せないとなるのと同じで、それはある意味その通りでもあるのでしょうが、自分を責めない方にとって、モラハラという言葉は、とても便利な言葉になるので、誰を信じるのか、それはもう、一人一人の心のアラート機能に委ねるしかないのかもしれません。

 物事はすべて捉え方次第、正解がどこにあるのかなんてわかりませんが、いまテレビをつけると、コロナとオリンピックのダブルスタンダード、価値観の違う人たちが共に暮らすことの難しさは、さらに増していくのでしょうか。出来れば、思いやりのある人たちと生きてゆきたいですね。

 ともあれ、いまヒトミさんが心穏やかであること、依存せず、とらわれず、自由であること、それだけを願っています。
 ヒトミさんに幸多からんことを!


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文章 日向寺美玖
装画 アトリエ藻っくん

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