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m_hyugaji
2021年5月21日 14:52
プロローグ 閉塞感の漂う時代、たくさんのヒトミさんたちが、片目を瞑って生きています。 先人たちの言うように、両目を開いて伴侶を探し、片目を瞑って伴侶と暮らし、なんとかなると思っていたはずなのに、なぜだか心が壊れてゆくのです。 先人たちに、可哀想だと思える間は我慢しろと教わって、同情は愛情と同義語なのかと考えたり、いつかは変わるのではないかと期待したり、優しいところもあるからと思い直したり、自
2021年7月16日 20:54
連帯感 社会は、優しい人ばかりで構成されているわけではない。そんなことは当たり前のようにわかっていたはずなのに、いまのヒトミさんの心には、人の悪意がダイレクトに突き刺さり、汚い言葉を聞くと指先が震えて冷たくなってくる。五十年と少し、ヒトミさんはこの悪意に満ちた世界で無事に生きてこられたことが信じられなくなってくる。 でもヒトミさんと仲のいい入居者さんたちは、それらをちゃんとわかってくれてい