『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』に関して
1.はじめに
私は色々な本を読みます。小説やコミックなどもありますが、私自身の知的好奇心を満たしてくれる書籍であれば、どのようなジャンルの本でも読みます。今回は、「マネジメント」に興味を持ったので、それに関する書籍を読むことにしました。なお、『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』の著者であるアンドリュー・S・グローブ氏はインテル社のCEOを務めたことのある人物です。
なお、この本は、こちらのページで紹介されていた書籍です。
管理職のおすすめ本ランキング22冊!マネジメントを勉強しよう
2.書籍概要
この本を始めて書いたのは1983年のこと。20年間にわたって経営管理をめぐる仕事にかかわったひとつのまとめとして、その間に学んだ事柄をより効果的に起こさせる様々な方法について認めたものである。私がそこで学んだのは、経営管理という仕事の基本についてであるが、とりわけ大きな部分を占めていたのは、中間管理者にかかわる諸点についてであった。それから10年以上の歳月が経ったが、本書を初めて執筆したときに有用だった事柄の大半は今なお依然として役に立つことがわかった。経営管理の基本は、そのほとんどが歳月の経過には影響されないままでいるのだ。
インテル社での私自身の経験からして、本書で説く「生産」方式を適用し、「マネジメントのテコ作用」を活用し、スポーツ選手が願うところの「ピーク・パフォーマンス」を導き出すことは、法律専門家、教員、エンジニア、監督者、さらには書籍の編集者にいたるまでの、ほぼすべての人々に役立つと信じている。ということは、あらゆる種類のミドル・マネジャーが、より生産的に働くことのお手伝いをすることができるということである。
同書は4つの部から構成されています。
第1部 朝食工場――生産の基本原理
第2部 経営管理はチーム・ゲームである
第3部 チームの中のチーム
第4部 選手たち
3.内容について
感銘を受けた部分は多いですが、全て引用していると長くなるので、ある程度厳選して引用します。
マネジャーも、自分「自身」の仕事や自分個人の仕事をやり、これをよくやりこなすだろうが、これは当人のアウトプットとはならない。何人かの部下や、自分の影響下にあるグループがいれば、そのマネジャーのアウトプットは、部下、あるいは影響下にある仲間たちが創出するアウトプットで測定しなければならない。
太字強調は引用者によるもの
最後に、マネジャーの1日は、ことばだけでは限定しにくい微妙なものがくまなく行き渡っているいるといえる。マネジャーの仕事と思われることをやりながら動き回っているとき、実はわれわれは組織の人々――部下、同僚、時には上司――にとって、役割モデルとしての規範にもなっているのだ。
(中略)
私が説明したようなリーダーシップは、大きな事業だけに適用されるなどど考えてはならない。小さなオフィスにいる保険代理業の人が終始個人的な友人に私用の電話をしていれば、その行為はそこで働く者すべてに許される行動についての一定の価値観を伝達していることになる。弁護士が昼食に出て、少々酔って帰ってくるのも同じである。一方、規模にかかわらず、ある会社のマネジャーが自分の仕事を真剣に考えていれば、最も重要なマネジャーとしての価値観を仲間たちに身をもって示しているといえる。
ここでは、各々の「朝食工場」が、その操業のあらゆる構成要素に対して責任を負う。つまり、店の用地設定にはじまり、ビルの建設、自主的商品化計画、従業員の確保と維持、そして購買活動を含む一切に対してである。
(中略)
これと対照的なのが、完全に中央集権化された、まったくの機能別編成の組織形態(b)である。この方法によって設立された「朝食工場社」の例では、本部の商品化計画部門が、”全店”で取り扱う商品に対して責任を持ち、人事部のスタッフが”全支店”の従業員の採用、解雇、人事考課を行うなどということになる。
(中略)
もちろん、現実の世界では、この両極端の間に妥協点を求めることになる。
もうひとつは、もっと重要なことなのだが、”模範”を示す方法である。われわれの職場での行動が、自らが公の場で口にする価値と矛盾がないとみなされるなら、それは集団の文化の発展を大いに助長してくれる。
専門職を監督する人は誰でも綱渡りするようなものだ。客観的でなければならない。しかし、たとえ判断なるものは、その本質からして主観的なものであっても、それを下すことを恐れてはならない。
(中略)
古い諺に、「最良のセールスパーソンをひとり昇進させてマネジャーにすると、良いセールスパーソン1名をだめにし、悪いマネジャーを1名つくる」というのがある。しかし、よく考えてみると良いセールスパーソンを昇進させる以外選択のしようがないことがわかる。万一最悪のセールスパーソンがマネジャーの職を得たらどうなるだろうか。われわれは最良の人を昇進させることによって、部下に業績が物をいうことを知らせているのである。
会社のために従業員を確保しておくことはマネジャーの義務なのである。それに加えて、「汝がしてほしいように他人に施せ」という黄金律が、こうした状況においては、一片の素晴らしき理想以上のものになるかもしれない。最後には同僚のマネジャーの部下として彼を託すことまでして、会社に対して貴重な貢献をするひとりの人間を今日救ったのである。明日はそのマネジャーがあなたに同じことをしてくれるかもしれないのだ。すべてのマネジャーがこのようにやっていれば、やがてみなに幸いすることになろう。
4.感想
内容としては、非常に多岐にわたる内容が書かれており、どこを引用するか迷いました(逆に言うと、マネジャーにはそれだけ多岐にわたることを求められるという証左でもあると思います)。下記の引用部分から考えても、相当な分量があり、読むだけでも結構大変でした。
ここまでどうも、ごくろうさまでした。この本をわざわざお購めになった上に、たぶん8時間ぐらいの時間をこの本を読むのに投じていただいたはず。
ただ、理屈としてあっていると感じましたので、役に立つ内容であることは間違いないと思います。マネジャーとして悩まれてる方はお手に取られてはいかがでしょうか。
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