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向かい風には逆らわず追い風には甘えず~バイク個人TT(トライアスロン)~

向かい風で速度が落ちるとなんとか速度を戻そうと頑張ってしまいます。登り坂では頑張った分タイム短縮できますが、向かい風では頑張ってもそんなにタイム短縮できないので、逆らわずに我慢して走った方が良いですよという話。

1.風が吹いた時の空気抵抗を求める式

今日は実走の話。Zwiftにはまだ風の要素はありませんが実走では速度に大きな影響を与えます。※そのうち実装される気もします・・・

向かい風V1が吹いている時の空気抵抗を求める式は以下になります。

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ρは空気密度、Cdは空気抵抗係数、Aは全面投影面積、Vは速度(m/s)です。

(V+V1)の3乗ではない事に注意してください。
空気抗力は

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これに時間あたりに進んだ距離Vを掛ける事で、時間あたりにした仕事=出力(ワット)になります。

2.風が吹いた時にどれくらいがんばるべきか(トライアスロン・TT・ソロライド)

上の記事で使った、勾配と5%タイム短縮に必要な出力の関係、これが万能なので今回もこの表をベースに考えていきます。

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まず、上の表は無風の場合です。計算はZWIFTベースで行っており、私の身長168cm60kg、ZWIFT TT+32mmCarbon で180Wを基準に考えています。

基準の列には、各勾配を基準出力180Wで走った時の速度が書かれています。その右側の列に、5%タイムを短縮する場合に必要な出力(W)とその時の時速が書かれています。さらにその右側の列に5%タイムを遅延する場合に必要な出力(W)とその時の時速が書かれています。

5%タイム短縮とは、180Wで60秒かかっていた距離を57秒で走るという意味です。

次に風がある場合です。

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風向きは+が向かい風を示しています。例えば5m/sの向かい風時には、180Wでの速度は36.4km/hから26.1km/hに落ちます。

向かい風5m/sで5%タイム短縮に必要な出力は200Wです。これは無風時勾配1%時に5%タイム短縮に必要な出力とほぼ同じです。

無風時勾配1%で180W時の速度は31.4km/hなので、向かい風5m/sの時の方がだいぶ遅いです。

何が言いたいかというと、登り坂は勾配が急になる程、5%タイム短縮に必要な速度は下がっていきます。これは速度が遅いからではなく、速度が遅くなることで空気抵抗が減るからです。

向かい風で速度が落ちた場合、速度が落ちている原因は空気抵抗なので、ここでがんばると、さらに空気抵抗で押し戻されるのであまり効率が良くありません。

向かい風10m/sは時速18km/hと半分以下まで落ちてしまう程の強風です。この時5%タイム短縮に必要な出力は196Wです。これは無風時勾配2%時に5%タイム短縮に必要な出力とほぼ同じです。

向かい風5m/sの時は勾配1%程度に
向かい風10m/sの時は勾配2%程度に踏む

ここでなぜ勾配に換算しているのかと言うと、下の記事のように勾配毎に目標出力を決めてペーシングするからです。

下りも同様に考えると結論は

追い風5m/sの時は勾配-1%程度に
追い風10m/sの時は勾配-2%程度に休む

5m/sの追い風時は、180Wで速度は48.6km/hまで上がります。この速度は無風時下り勾配-3%で出る速度とほぼ同じです。

5%タイム遅延時の出力(基準180Wに対して)
5m/sの追い風時  勾配0%      ⇨ 152W
無風時                 勾配-3%      ⇨    137W

これが何を意味するかと言うと、
追い風で出た高速はちょっと休むとすぐ速度が落ちる。下りで出た高速はちょっと休んでもあまり速度が落ちない。

だから”追い風で速度が出ている時は甘えて踏みやめては駄目”となります。

トライアスロンのバイクコースは海岸沿いや橋を渡る事が多く、10m/sを超える強風が吹く事がけっこうあります。そんな時上記のような知識があれば、向かい風で速度が落ちた場合でも踏みすぎずに我慢すれば良い事が分かります。

私も苦い思い出が何度かありますが、強風に抵抗して頑張る+ハンドルを取られないようにすると上半身に力が入ってしまい、この時の疲労が後半の腰痛になってしまいました。

向かい風はそんなに頑張っても仕方がないとリラックスしていれば、そんなダメージも防げたのではないかと思います。

次回実際のトライアスロンコース分析⇨勾配毎の目標出力の設定をしたいと思います。





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