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ナース向け「せん妄ケア」環境と関係性構築が重要

背景

 こんにちは。精神看護CNSのいくら軍艦です。普段は看護師として外来に勤務していますが今は訳あって病欠中です。先日Web開催の研究会に参加し演題発表しました。事例紹介のような感じでしたが、無事終えることができてホッとしています。
 さて、自己啓発や子育て関連の記事がこれまでは多かったですが、たまにはナース向けの記事を書いていきます。精神看護CNSになるにあたって避けて通れないのがせん妄のアセスメントとケアです。病棟勤務の看護師なら必ず遭遇します。発症は急激でときに興奮されている方もいるので看護師は対応に困ることが多いです。大学病院や総合病院でコンサルテーションを行っているCNSはせん妄の相談に対応することがほとんどです。
 今回は私が考えるケアメインで紹介していきます。(病態や要因まで書いたら日が暮れちゃうので)しかし、勉強してる人でもうまくいかないことが殆どで、誰もがケアに難しさを感じる病態です。だから、もしこの記事を参考にされる方は、「ああ、うまくいかない」と嘆くのではなく、「患者さんも大変なんだから、難しいのは当たり前だよな」くらいの気持ちで頑張りすぎずにやっていきましょう!

軍艦が考えるせん妄のアセスメントとケアの流れ

1)まずせん妄起こしやすい人じゃないかな?というのは常に考えておく
 高齢の方が入院するとき、他にせん妄の要因となる事柄はないかチェックしておき、自分の勤務帯では患者さんの言動に注意しておく

2)せん妄の状態になったら!安全を確保!危険なものはできるだけ除去
 興奮を伴うケースもあるので、大部屋の人は個室に案内したり、個室なら看護師1名を見守りにつけて落ち着いて話ができるよう環境を調整します。安全確保できない場合はすぐ応援要請。

3)医師とすぐ対処しなきゃいけない体の悪さはないかアセスメント
 この原因検索が実は一番大事で、ときに命に関わる病態を見逃しかねないので要注意です。低血糖や電解質異常、頭蓋内出血でもせん妄は起こりえます。こちらに詳しく記載ありました。まずは先生を呼んで診察依頼です。

4)患者さんの生活と今でどんなギャップが有るか考える
 先生と対応を考えて、とりあえずすぐに対処できることはないか、となった場合や身体拘束処遇になるなどなんらかの対応をした後です。これ以上せん妄が悪くならない対応、防ぐ対応をチームで考えます。まず家と病院で環境が変化してます。騒音や明るさ、暗さ、暑さ、寒さなども違いますよね。そして、ルート類は、点滴、GT、酸素カヌラ・・・ギャップがあればあるほどせん妄は起きやすくなってきます。どんな生活をしていた方か、家族から情報をとっておいても良いかもしれないです。

5)できることを実践する!

 ナースの力が一番発揮されるのはやはり4と5ですね。医学的な原因検索や加療の指示、原因かもしれない薬剤の中止の検討は医師にお任せして、優しく患者さんに語りかけながらケアを行っていきましょう!

CNSとしてやっていきたいせん妄のケア

1)まず医学的にできることはどんどん提案
 例えば、食事が食べられないがためにGTや点滴をしている場合、中止してもよいか医師に確認する。食べ慣れたものの持ち込みが可能なら家族に協力を得て持ってきてもらう。食事する手段をなるべく増やさない。不要なルートは除去する。
 薬剤中止の方針は退院先を考慮して医師と考えると良いと思います。転院なら治療継続のことも考えて薬物療法を継続してもいいが、自宅退院なら薬を管理する人などのこともあるので、極力薬物は使わない方に持っていくといい。

2)生活スタイルに合わせて環境調整
 生活雑音を好む方ならテレビやラジオの近くで過ごしてもらう。人と過ごすのが好きな方なら、デイルームやナースステーションで過ごしてもらう。一人で静かな方が好きなら個室で静寂な環境を整える。私が出会った方で、午前3時位になると起きてきてずっと徘徊している人がいました。看護師は不眠だから医師に眠剤を増やすように要望する人もいました。しかし、その人は農家で極端に早寝で早起きの方だったのです。植物を育てている病棟の場合は水やりなど勧めてみても良かったかもしれません・・・

3)関係性を築く関わりを積極的にする
 興奮する方は医療者を敵だと思っている方がほとんどだと思います。安全が確保できない場合は身体拘束処遇になっている方も少なくありませんが、そんなときこそ、快の刺激を提供できるケアが大事だと思います。興奮しても安全が保てるようにスタッフの人数を確保して(確保し過ぎでもいけないから難しいが)拘束を解除し、手浴や足浴を実施する。私達は敵じゃないんですよ、と少しずつでも伝えていく

おわりに

 なんにせよ、ナースの本領は環境調整と関係性の構築だと思っています。明るいほうが良い?暗いほうが良い?お一人では寂しさがあるかしら、私達と過ごしましょうか?優しい言葉掛けと、素晴らしいケアを瞬時のアセスメントで行ってきたナースたちを私は何人も見てきました。
 そんなナースたちが疲弊しないよう、行き詰まったときや困難感を感じたときは支えていきたい、そんな心構えです。(今は仕事してないから今後の抱負ですね!)

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