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ノストラダムスと呼ばれた女 ベストセラー漫画「私が見た未来」作者・たつき諒

「大災害は2011年3月」という奇妙な夢を見たんです。/文・たつき諒 (マンガ家)

自分を予言者だとは思っていません

「幻の“予言漫画”復刻!!」

「本当の大災難は2025年7月にやってくる」

そんな帯がついた私のマンガ『私が見た未来 完全版』(飛鳥新社)が昨年10月に発売され、45万部のベストセラーになっています。過去に見た不思議な夢をベースにした作品です。

全国紙で「『たつき諒』現象」として取り上げられるなど反響は大きいですが、あまり自分のことという感じがしません。

そもそも私は、23年前にマンガ家業を引退しています。現在は福祉関係の仕事をしつつ、同居家族の介助をしながら暮らしている、67歳の“普通のおばちゃん”です。

ところが、引退した1999年に出した『私が見た未来』の表紙に「大災害は2011年3月」と書いていたことで、「東日本大震災を予言していた」と騒がれるようになりました。特に2年前、テレビ番組で取り上げられてからは、インターネット上で拡散され、親類の中高生の子たちからも「学校で話題になっているよ」と聞かされました。オークションでは10万円超で取引されていたそうです。

その番組はたまたま私も目にして「なんで私の作品が?」とビックリしましたが、インターネットは極力見ないようにしているので、騒動からは距離を置いていました。

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