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「Lv100」執筆メモ公開 第八集収録分編 (飼育の日特別企画)

「飼育の日」かつ私の誕生日でもある4月19日の特別企画として古生物飼育小説の執筆メモを公開する規格の第3弾は、最新の同人誌である第八集に収録した分をまとめて掲載します。恐竜の回だけ集めようかと思ったら第五十八・五十九話以外はあんまりメモがなかったので……。

かなりの分量になるかと思いますので目次をご利用いただければ。

第八集収録分では地域性を重視していて、各施設に明確なモデルがあります。

第五十七話(リョコウバト回)のメモ

リョコウバト記念館(祈念館?)
リョコウバト繁殖のサテライト基地の一つ 本拠地はアメリカ 本拠地から様子を細かく知らせるようにと要請がある 来館者の様子を含めて仔細に記録し伝える
ローカライズ 真面目に生涯学習する意欲に乏しい日本人に解説を読ませるための工夫(決して花鳥園ではない) 要点をまとめた川柳の立て看板 どれが食用ハトか当てる焼き鳥セット ウナギの水槽
リョコウバトの様子と展示の効果について本部に伝える
手紙(メール)形式?

大型フライングケージ 翼竜の場合と違ってメッシュでいい
外敵の侵入は防がなければならない メッシュの土台はコンクリ 目は細かい 鳩舎の周りはさらに厳重
ケージ内部に展示館がある リョコウバトが人里にもよく現れていた当時の再現
飼育は順調だが繁殖は難しい やはり非常な大群でなければ繁殖しづらい生態らしい
世界的にも最も早く再生された脊椎動物だがそのせいで野生復帰は難航
すでにリョコウバトがいないことが前提になってしまっている社会との兼ね合いもある
もっと極端なのがロッキートビバッタ リョコウバト以上に巨大な群れを作っていたのに30年で絶滅 手数の多さから繁殖は上手くいっているものの野外に放つことを猛反対されている
記念館の中のレストラン
ハト肉料理 もちろんリョコウバトではない 高価?鶏の焼き鳥と混ぜてどれがハトか当てることでリョコウバトの捕獲にこだわっていた当時を批判する展示?
ウナギの水槽 「うな重始めません」の張り紙

他のハト類も?
ドードー
オガサワラカラスバト 日本人が絶滅させたもの
アカガシラカラスバト(成功例 絶滅しなかったから地域の取り組みで増やせた 絶滅したら地域だけではどうにもならない)
他人事と思わせない
アカガシラカラスバトの場合保護は地域住民の自治の一部であるとの訴えかけにより保護が進められた アカガシラカラスバトの森を守るというアンブレラ種の意義が意識された活動
島だからと思わせない トキ

記念館でもなかなか繁殖に成功しなかった
一つだけ卵が生まれた

シラコバトと比べ胸がたくましい 尾羽と風切羽が長い クチバシ等はよく似る

レース鳩の競翔家の協力
本場ヨーロッパの名人は30ペアすべてを2日のうちに産卵させる技術を持つ
リョコウバトの繁殖に応用できるか
レース鳩の出産 オスが巣皿に巣材(藁など)を運び込む 2個を1日空けて産む(リョコウバトは1個) 雌雄交代で温める 17日の抱卵の後孵化 晩成性 ピジョンミルクから半消化の餌に移行 栄養価の高い餌やミネラル源が欠かせない 孵化後8日ほどで脚環を付ける 2~3週間で巣立ち カワラバトであればまたすぐ産卵の準備だがリョコウバトの産卵は年1回 年長のハトに虐げられることがあるので巣立ち室もしくは若いハトのための鳩舎へ 訓致訓練を行う(飼育環境に馴らす) レースに出すハトは朝夕鳩舎の外に飛ばして訓練してから給餌 さらにレースに備え徐々に遠くから帰る訓練

良い鳩舎の環境
騒音や外敵がない(公園の林の中)
乾燥し通気性がある…床を高く 天井に金網
暑くならない…天井裏を高く(ハトが捕まえられる範囲で) 換気扇 屋根の下に断熱材 床に吸気口
素材が安全

逸出のリスクを冒さず運動を取らせるには広いケージ内を飛ばせないといけない 運動しないと餌が取れないように 天井を高く 木を密にして餌のありかを隠す 餌を置く場所は一定でない リョコウバトは餌を探し飛び回る ケージの中央に建物 ドーナツ水槽の原理で飛ぶ距離を稼ぐ

選手ハトと種ハトの部屋を分ける
入舎口と出舎口 出舎口はハトが鳩舎と運動場を出入りするだけの開口部 入荷舎口はハトが出られないようにする
止まり木の数に余裕を持たせ床で寝ずに済むようにする
適正規模 1m^3当たり2羽

主食は様々な種子作物 大別して穀類…炭水化物、豆類…タンパク質、雑多な種子類…脂肪(麻の実など粒の小さいもの) 乾燥して清潔なもの 発芽できる生きたものならなおよし(発芽率を確認してからトウモロコシを与えた例も)
リョコウバトの主食だったのはソバ
野山ではドングリ 移動するのはドングリが豊作となる土地が移り変わるため 夏にはベリー類 柔らかい昆虫やカタツムリも 塩はリョコウバトにとっても重要
副食は鉱物…ミネラル 場合によって動物性タンパク質、ビタミン源として青菜


カワラバトと亜科まで近縁
最も近縁な現生属はPatagioenas

年1回1個の産卵 大集団に守られて育つ 大集団でなければ産卵しない? 大集団と誤認させれば産卵する? デコイ、鏡、音声、匂い等の手段 接触が必要だったら厳しい

キジバトの場合ピジョンミルクがあるので本州以南では真冬以外は繁殖できる ただし水が必要 哺乳類のように下を向いたまま連続的に水を吸い込むことができる
リョコウバトでは移動を強いられるほど不安定な食料に頼っていたので繁殖にも慎重だった?


鳩肉について
ニワトリよりずっと小柄だが半分でも一人前としては充分な食べ手がある ただ焼き鳥には難しい?
主に胸肉 驚くほど大きい もも肉もそれなりにある 皮は歯切れがよくぷりっとしている ホネホネ団メンバーが薄く切れやすくて剥製にしづらいと嘆く皮の特徴が食材としては楽しい食感として活きる
赤身肉の味 脂の少ないほうから順に手羽先、胸肉、それ以外 素早く羽ばたく鳥なので手羽先には錘となる脂肪がないと思われる もも肉は幅広く背中側から大腿骨を覆う 鳥が皆鶏肉のような味がするわけではないことがよく分かる この味が赤身肉中心のアメリカ人の食文化に合致した結果リョコウバトの乱獲につながったのでは?
今回食べたのは肉質がより安定するという養殖のハト(於イタリア) 野生のハトは肉質にばらつきがある 主食が不安定なドングリであったリョコウバトはもっと肉質がばらつく? そうであれば無駄に多く捕らえられたり高級でない食材と見なされたりする理由にもつながる
何か懐かしい風味 ケンタッキーのリブの骨部分 肉質は違っても内臓や骨髄の味はそれほど変わらない

第五十八話(ユタラプトル回)のメモ

ユタラプトル
肉食恐竜をメインに置く動物園
他にフクイラプトルがいる デイノニクスは?
生息環境を再現した(厳密には生息環境にある条件を揃えた)放飼場 斜面は運動量を増やすのに良いが元々平坦な氾濫原の生き物なのでほどほどに 植物の配置で複雑さを増す
飼育員自ら入り込んでユタラプトルからどう見えるか、何か足りないものはないか確認
ユタラプトルになりきってユタラプトルのようなことを考える
餌になるものを探さないといけない デイノニクスの獲物を奪えたらラッキー
目を凝らし鼻を利かせて… ドロマエオサウルス類は嗅覚が鋭かったことを思い出す

ガストニアの糞を取り寄せて匂いをつける?

イエローキャット部層 氾濫原(ガストニアのときと同じ)
普段から湿潤?普段は乾燥していた?ガストニアのときは湿潤な想定
石灰質ノジュール semiarid monsoonal crimate
https://www.semanticscholar.org/paper/Multi-taxa-Isotopic-Investigation-of-Paleohydrology-Suarez-Gonz%C3%A1lez/7f28116797d95a4bd02215dbbfd578debb619511
化石の酸素同位体から摂取した水について調べる 造山活動により湿潤な風が遮られ乾燥していった
バライト、リップルマーク、マッドクラック(一時的な池) 水生生物は不在 ソテツと針葉樹

爪の機能
刃があったとしても肢の先にある爪で押さえるでもなく切り裂いたりするだろうか?
現生動物でそんな断面の鉤爪を持った肉食動物はいないだろうか?
猛禽の爪は対向した指で掴んで締め付けるもの 対向していない指にあるという点では食肉類の爪に機能が近い?引っかけて(突き立てて)押さえる? 猛禽と食肉類で爪の断面は違う?
獲物に鉤爪を突き立てた上で口で噛み付いて引っ張ったら爪のところから引き裂くことができる?
猛禽(オウギワシ)の爪にははっきりした把握面がある
ネコ科の爪はかなり幅が狭い(末節骨のみで見るとさらに) どちらかというとネコ科のもののほうが「ブレード状」
体に対する大きさが異なる…重要度も異なる?
そんなに綺麗に「型」の決まった使い方を常にしていたはずはない

胴椎が特に短い 当初から鈍重と考えられていた


馬肉 食用パラサウロロフスの骨付き肉(肉付き骨) 鶏ガラ 丸鶏
塊状であれば爪を使うところが見られる?

群れ?単独?
アダルト、ジュブナイル、孵化直後のものがイグアノドン類とまとまって発見されたことはある
泥にはまった獲物の巻き添えを食ったらしい 一度に埋まったのか個別に埋まったのかは不明
記載は93年 試行錯誤の段階かも?
とりあえず「恐竜レッド」のオマージュでメス2頭オス1頭の小さな群れという手もあるにはある

羽毛の生え具合は? ドロマエオサウルス類だけあって全身きれいに生え揃っている絵が多い 大型なのでまばらでもいいかも イノシシの体毛のような黒くまばらな剛毛だったら迫力がある?エランドみたいな薄く密な羽毛で日除けをした?

放飼場の様子
広さは多摩動のチーター放飼場くらい?ズーラシアのサバンナくらい?C字の内側・下から外側・上を見る
中足骨が短いということは歩き続ける距離が短く行動範囲が狭い?中型獣脚類としてはだが…(逆にフクイラプトルの行動範囲が広かったことになるはず)
雨が降ってもぬかるまない透水性の高い土質(グラウンドに用いられている工法の応用)

他に出せそうな恐竜はデイノニクス、ファルカリウス、ガストニアくらい
イグアノドン類は近年の記載であるヒッポドラコや大型のイグアナコロッススなど難しい
テノントサウルスはイエローキャットより200Mya近く上、デイノニクスと同じMussentuchit層
デイノニクスを出すならテノントサウルスも出せることになるのでは? 元々デイノニクスの施設だったところにユタラプトルやファルカリウスが来た? ガストニアまでいると新しく来たものが妙に多いかも
むしろデイノニクスを出すとテノントサウルスもセットになって出てきてしまい面倒 イエローキャットに絞る?
デイノニクス・ガストニア・ファルカリウスならちーたんの館セット タンバティタニスの予行と考えるならむしろこの3つがそれっぽい テノントサウルスだけ避ける
ただし今ちーたんの館にはプロバクトロサウルス、アーケオケラトプスがいる(篠山層群の化石にちなむ) 中国なのでまるっきり関係ない スルー?

ガストニアの話のときと同じだがズーラをモデルにするなら…
フクイラプトル+フクイサウルス+手取層群の小さな生き物の水族展示 というまとまり +デイノニクス(フクイラプトルとの対比などの役目)
という恐竜エリアがあったところに
ユタラプトル+ガストニア+ファルカリウスのサバンナエリアを拡張 篠山層群に関連した飼育技術を蓄積
さらに(ここから58話)ユタラプトルのエリアに起伏を付けて運動量を増し繁殖成功にもつなげる試みを施したがユタラプトルの動きは慎重
飼育員自身がユタラプトルの見聞きしているものを探るため放飼場を丹念に歩いてみよう(抜けた羽毛を拾うのに合わせて?)
という流れ

フクイラプトルとの対比について
メガラプトルの場合マウントより首が短くなるので手につかんだ獲物にかみつきやすい
上腕骨の突起(三角筋稜)は大きい 尾椎の横突起が上がっていた?
手の爪で獲物をつかみ爪より切れ味の良い歯でとどめを刺す?
獲物を両手の間に挟む?動きの方向としては地面に押さえつけるよりありそうだが 挟んで胸で地面に押し付ける?
ユタラプトルは乾燥地、フクイラプトルは湿地
ユタラプトルは待ち伏せ型、フクイラプトルなどメガラプトル類は追跡型?(地形とは違ってる感じだが)
爪の形の展示 小さな生き物の展示

ユタラプトル←→フクイラプトル
乾燥地←→湿地
あまり植物が見つかっていない地層?←→植物について詳しく分かっている地層
前後肢とも爪大きい←→前肢のみ爪大きい
四肢が太短い←→四肢が細長い
(四肢の筋肉付着部はどちらも発達)
吻がそこまで細長くない←→吻が細長い?
群れ?←→単独?
鳥類に近い←→コエルロサウルス類だとしても鳥に近くない
平均的な獣脚類の歯?←→特に薄く鋭い歯
近縁種と比べて際立って大きい←→亜成体なので不明だが特に大きくはない

互いの工夫を参考にし合う

ユタラプトルとデイノニクスの対比
草原性?←→森林性?
身軽←→がっしり
吻部が太い←→吻部が細長い
四肢が短い←→四肢が長い
尾が短く曲がる←→尾が長く曲がらない


大きく二つ、さらに片側の中が二つに分かれた肉食恐竜エリア
大区画の片側はイエローキャット、もう片側は手取層群
手取側が湿地なのに対してイエロー側はサバンナ
さらに木の多い部分から木のない部分に移り変わっていく
木の多い側にデイノニクス、少ない側にユタラプトルがいる
イエロー側、特に木が少ない側の地面を改修して起伏を付けた
手取層群の植物や小さな動物の展示もある(あんまり詳しく出しちゃうとまだもったいない?) フクイサウルスは?
イエロー側にはガストニア、ファルカリウス
獣脚類の爪の比較

イエロー側は機能主義気味
乾燥地の恐竜を飼育することはタンバティタニスを飼育する際の技術を確保することにつながる

第五十九話(フクイサウルス・フクイラプトル回)のメモ

水田とそば畑のある地域の生き物のエリア
ツツジに囲まれた広場 郷土の生き物の展示館 すぐそばにタヌキやシカのエリア
屋台 おろしそばとソースカツ丼
キッチンカー 恐竜の卵パン 皮がパリッとして薄く小麦の味が活きている 長いフクイラプトルの卵(ハムチーズかカレーフランク、ロウリンハノサウルスの胚がモデル)と丸いフクイサウルスの卵(ホイップクリームか小倉あん、スフェロウーリトゥスを想定)
こっちから直接恐竜の放飼場に行くこともできる
正規ルートは地域の生き物のゾーンを通る道
小川を渡ると道は杉林を貫く浅い石段へ 平泉寺白山神社を模す 地面は綺麗にコケで覆われている
周りの木がナンヨウスギに、コケがシダ(ウラジロ)に変わる
さらにブラキフィルム(おそらくナンヨウスギ科)、グレイケニテス(ウラジロ科の草本シダとされる葉の形態属 多分ぼんやり歩いていたらウラジロと見分けがつかない)等が現れる
神社の代わりに研究センターへ
羽二重織が二振り天井から下がっている
地質年代表 バレミアンが特に赤々と目立つ 
地層を描いたもの 貝、植物、そして恐竜の骨
大きな皿状の水槽にスッポンとアドクス 当時のスッポンについては研究中
テドリリュウの銅像 飼育できるほど資料がないが恐竜が発掘されるようになるきっかけとして重要
ガラス窓を挟んで棚にずらりと並ぶビーカーに二枚貝 プリカトウニオ、ニッポノナイア、トリゴニオイデス
また別の窓の向こうは温室で様々な植物を育てている
これらが水質や環境の解明、フクイサウルスの餌や放飼場のレイアウトの改良につながっている
奥に進むと骨格が4体
新旧のフクイラプトルとフクイサウルスの復元骨格 発見されて間もない頃のものと飼育可能であると示すためのもの
ホールの周囲は大きな窓に囲まれている
フクイラプトルの屋内の様子が左右に、放飼場が正面に見える(研究センターは屋内施設2つに挟まれている)
フクイラプトル オスのスギヒコとメスのサツキ ともに7歳
屋内施設も日光が入っている 樹木のように柱が立っていて空間の幅が制御されている 水場もある
餌台に肉が縛り付けてある 紐は食べても安全なケーシング スミロドンの場合を参考にしている きちんと作業をすることで初めて餌が食べられるというエンリッチメント 前肢で餌を押さえ口で解体する行動が見られる
放飼場は基本的に水と緑の多い空間だがフクイラプトルが利用しやすいことが分かった地形を広げた結果岸辺の湿った部分がやや減った
すたすたと歩き回ってはそこら中を調べている するりするりと木々を抜けシダ原を過ぎ斜面を登る 水に口を付けることも とても活発
小さな生き物が現れることも多々ありかなり反応する
隣の異性の様子も互いにかなり気になっているもよう しかもどうやら好意的 勝山市民が待ち望んでいる繁殖に希望が持てる
繁殖を成功させるためにも良い環境を保たなくてはならない
研究センターから一旦出て回り込むと放飼場を見る園路へ
放飼場の奥にあるはずの研究センターは木々に隠れ窓には周囲が映り込むのでほとんど目につかない
斜面を駆けるフクイラプトルが迫ってくるかのよう
フクイラプトル放飼場の対面には園路を挟んでフクイサウルスの放飼場
フクイサウルスも成体は雌雄ペアだがこちらは同じスペースで過ごしている
オスのキュウ メスのナミ ともに6歳
すでに子供がいて群れになってきている
広い林でのびのび過ごしている
当時の植物や現生の植物の中でフクイサウルスが食べられるものが徐々に判明しつつありそれらを増やしているところ
落ち葉に隠した松ぼっくりも探して食べてしまう
道の先は最初の広場

この展示ルートを案内されるのは恐竜のことが気にはなっていたがなかなか直接見にこれなかった勝山市民

十年前 再生していいかの審査のために復元骨格を作り直す必要が生じる
復元骨格の姿は町の色々なところで使われていた
作り直すか再生を諦めるか二択を迫られる勝山市民
市民投票かと思われたが博物館の知的活動を市民が縛るべきではなく、またもはやモニュメントにすぎない骨格を重んじるより生きた勝山の恐竜に会いたいと作り直しを許容する声が大きかった
記念碑的に研究センターに並ぶ新旧4体の復元骨格
それからも困難はいくつもあったが「こんなことなら骨格を変えるべきではなかった」という声は抑えられた
今ここには生まれた頃から新復元でフクイラプトルとフクイサウルスを認識している子供達が遠足にやってくる
博物館との間を往復するシャトルバスも
ラプトルと聞いてドロマエオサウルス類を思うのはもはや県外のお客さんくらい

他地域(主に東京)のために地域に何か作って地方活性化だという話ばかり
地域のために地域にものを作ることがもっとあってもいいはず

勝山市の通りに掲示されていた絵本は尾崎美紀「あ・し・あ・と」
フクイサウルス(フクイリュウ)は郷愁にさえ結び付けられるほど地域に根付いている

手取層群側はイマージョン要素強め
福井県勝山市の手取層群という決まった地域・地層から預かったものだということを海外のものより強く意識する
綿密な環境再現を行うことは篠山層群の環境を飼育環境に落とし込む技術の予行になる
イマージョン型の場合の苦労をかぶることになる

イマージョンと機能主義を対比してきたがイマージョンの持つ機能の中で抽出すべきものは何か
「ここは動物の住処、動物のほうが偉い空間だ」と思わせること

手取層群の植物を増やしてイマージョン的な空間に近付く(根っからではないとしたらペンヒルくらい?)
緑でいっぱいの動物公園なのに動物のいるところのほうがかえって人工的…というのでは寂しい それがすっかり払拭されている
ユタラプトルの場合と違って緑を増やすことがエンリッチメントに直結できる
(この流れだとフクイサウルス主役で1本できそうだが…)
この動物園はもし福井県内にあるとしても勝山市にあるわけではないとすればフクイラプトルもフクイサウルスも特定地域からの預かり物でもある
繁殖成功を目標により良い飼育環境を目指し続けるというモチベーションが強まる
さらに観察の様子を詳細に元の地域に伝える必要がある
ライブ映像の配信?
飼育員が福井市民(「恐竜の卵パン」を作っているベーカリーの店員?)を案内するライブ配信(「サクサク生放送」)
ウェブなので全世界で見られるが勝山市に向けてという思いもある

フクイラプトルとユタラプトルの対比について
メガラプトルの場合マウントより首が短くなるので手につかんだ獲物にかみつきやすい

基本的にはアロサウルスの四肢とよく似ているが比率が違う
上腕骨の突起(三角筋稜)は大きい
尺骨:上腕骨0.92 アロサウルス上科では特に大きい 上腕骨の三角筋稜とても高い 骨頭から少し離れている 筋肉量を反映? 尺骨にはそれほど大きな筋肉の痕跡はない 腕を閉じる力が強い(素早く閉じる)?
末節骨の断面は鋭利でない 幅は比較的狭い 刺すよりも掴む? アロサウルスのものと比べると薄い
歯はカルカロドントサウルス類に似る アロサウルスより薄い
手の爪で獲物をつかみ爪より切れ味の良い歯でとどめを刺す?
獲物を両手の間に挟む?動きの方向としては地面に押さえつけるよりありそうだが 挟んで胸で地面に押し付ける?
大腿骨の小転子は翼状に発達し骨頭から深い切れ込みで分割される 派生的なアロサウルス類にも見られる 骨頭は平たく中央に稜がある 第四転子も発達 カーブはアロサウルスのものより浅い?
中足骨には特殊化は見られない
膝関節の切れ込みは深い
肋骨のカーブが少し強い
尾椎の横突起が上がっていた?不明 他のメガラプトラは?

ユタラプトルは乾燥地、フクイラプトルは湿地
ユタラプトルは待ち伏せ型、フクイラプトルなどメガラプトル類は追跡型?(地形とは違ってる感じだが) 移動速度を活かして行動範囲が広かったとしたら常に湿地にばかりいたわけでもないことに 変化に富む地形が必要
爪の形の展示 小さな生き物の展示

ユタラプトル←→フクイラプトル
乾燥地←→湿地
あまり植物が見つかっていない地層?←→植物について詳しく分かっている地層
前後肢とも爪大きい←→前肢のみ爪大きい
四肢が太短い←→四肢が細長い
(四肢の筋肉付着部はどちらも発達)
吻がそこまで細長くない←→吻が細長い?
群れ?←→単独?
鳥類に近い←→コエルロサウルス類だとしても鳥に近くない
平均的な獣脚類の歯?←→特に薄く鋭い歯
近縁種と比べて際立って大きい←→亜成体なので不明だが特に大きくはない

フクイサウルス
上顎のプレウロキネシスがないのが最大の特徴 下顎も背が高い
プレウロキネシスがない→すり潰すより噛み切る?現生だとウシ科に対比するシカ科のようなもの 歯の形はどうか 稜が目立つ歯列 基本的にはイグアノドンやアルティリヌスのものによく似る
植生に合致するか イネ科はもちろんのことトクサ類も出ていない? プラントオパールに対処するより枝を噛み切ったほうがよい?
前上顎骨(クチバシ)が上から見てV字をしていて尖っている 前歯骨の幅も狭い ブラウザー的
イグアノドン類自体ハドロサウルス類と比べて一つひとつの歯の幅が広く切断に向く
小柄なことも(亜成体~成体)森林への適応と考えるとブラウザー的な特徴と噛み合う
どんな植物を食べうるか
現生の偶蹄類等の場合
キョン、ガゼル、ヤギ等の歯は意外に幅が狭く鋭い フクイサウルスの幅が狭く稜のはっきりした歯はこれらに最も近い
ウシの歯は幅広いがやはり鋭いエナメル質の峰がある アジアスイギュウでは峰はないが歯列全体の凹凸がはっきりして歯冠が高い バイソンではより臼状に近い
どれも上の歯は内側、下の歯は外側に傾いた咬合面を持つのはイグアノドン類と同じ しかしこれらは反芻を行うのでもし口に入れたときは粗くしか噛めなくても植物を消化できる
もっとイネ科に特化してしかも反芻ができないウマの歯はさらに平らでエナメル質の峰が細かい
枝や樹皮もよく食べるカナダヤマアラシの歯は臼状
ゾウ、サイは臼状の歯を大きくして解決している キリンもそれに近い
イグアノドン類が反芻をしていたと考えるのは大胆すぎる 腸で発酵させたと考えるのが正統派 この点はウマと同じ
反芻しない大型草食獣(カンガルーなど)は?
ガストニアに根菜、ディプロドクスにクローバーを食べさせているだけに裸子植物にこだわることに整合性はないが…
あまり牧草で量を稼ぐことはできない
ナンヨウスギに毒性はないとされる モモンガ・カモシカなどはスギの葉を食べる これらもそれなりに利用はできるはず
シカやクマもスギやヒノキの樹皮を食べる
園内のスギを選定→葉だけでなく枝も与える これだけでまかなえるわけではないのでガストニアなどと同じく野菜やクローバー、ナッツもよく与える

手取層群の植物を模す
イチョウ(ギンゴイディウム)、ナンヨウスギ(材化石のほとんどを占めるゼノキシロン)、ソテツ(ザミテス、ニルソニア)、シダ(クラドフレビス、グレイケニテス、トジテス、オニキオプシス)

ゼノキシロンには年輪がある→季節がある!(桑島層)→ブラキフィルム・次第に乾燥 フクイラプトルやフクイサウルスの層より上の層で増えていく (北谷層)


https://ameblo.jp/coogysbar/entry-12370231135.html


ブラキフィルムは流されたのではなくその場で堆積した 蛇行河川周辺の後背湿地で優先
Ginkgoidium nathorsti、Podozamites reiniiに取って代わった?P. lanceolatusとは共産
北谷層の泥質堆積物に含まれる花粉・胞子化石を検討し, この群集が多数のシダ類胞子とともに, ナンヨウスギ科やマキ科, 広義のヒノキ科, ケイロレピディア科の球果類に属する多数の花粉化石を含む一方で, イチョウ類やチェカノウスキア類との類縁が確実な花粉を含まない
他に グレイケニテス・ニッポネンシスGleichenites nipponensis(シダ綱 ウラジロ科)、グレイケニテス・ポルシルディG.porsildii、オニキオプシス・エロンガタOnychiopsis elongata(シダ綱)、リンドレイクラドゥスLindleycladus sp.(球果綱)、ブラキフィルムBrachyphyllum sp.(球果綱)、エクイセティテス

ニルソニオクラドゥス、ポドザミテス、ギンゴイディウム、クテニス(白山市)

大野市貝皿のものはジュラ紀中期 プティロフィルム、オトザミテス

「本物」もある
周り中ナンヨウスギなら剪定された分をガストニアやファルカリウスが食べることも可能?

二枚貝
プリカトウニオ、シュードヒリア、ナグドンギア、トリゴニオイデス、ニッポノナイア

第六十話(軟骨魚類回)のメモ

(※「Vscreener」とあるのは作中でYouTubeに当たるサイトを「YouScreen」としていることからYouTuberをYouScreener、VtuberをVscreenerと言い換えているものです。)

実際の気仙沼とヘリコプリオン
2009 ヘリコプリオン2つ目発見
2011 震災→AMFは年内に再開
2014 シャークミュージアム再開 震災展示追加
2015 ヘリコプリオンの新復元(作中では分類の確定を含めもっと早い?)
2016~7? vtuberの興り

さめのれきし館
シャークミュージアム+化石軟骨魚類の生体展示
被災 他地域の支援 復興 新展示
サンゴのミケリニアやアンモナイトのスタケオセラスは被災時に全滅? サンゴ…水質・水温が命取り アンモナイト…水質が重要と序盤で描写している これらの骨格や殻が展示してあるはず
ヘリコプリオンよりクラドセラケのほうが古株のはず
ヘリコプリオンは他館から譲られたもの? その水族館はどうなった?被災?東京タワーのように別の理由で閉館?
真軟骨頭類ばかりにならないよう注意

小野寺千恵

Vscreener「三角(みすみ)キバ」
サメや海洋生物の話を専門にする
主人公いわく「サメのキャンギャルのような格好」
突き出たセーラー帽の鍔とセーラー服の襟に三角の飾り 顔の両脇に長く垂れた髪が二つをつなげて口に見える 後ろ髪は大きく跳ね上がって背鰭のよう セーラー服の袖には振り袖状の飾りがあり胸鰭に見える ハーフパンツは腹鰭 背中から尻尾が出て立派な尾鰭がある
偉そうな口調 一人称「キバさん」二人称「哺乳類ども」

ヘリコプリオン
ギンザメ(全頭類)と判明 どこまでギンザメ的か?サメとギンザメの共通祖先の姿は? 胸鰭と尾鰭どちらで巡航するか?
Eugeneodontida Fadeniaなどは鰭の様子がよく分かっている サメに似る
クラドセラケも同じ系統の基盤的なもの サメのような姿は軟骨魚類に普遍的だった? よほどギンザメに近くなければ胸鰭で巡航すると考えなくてもよい
アンモナイトやオウムガイを切り刻んで食べる 奇襲をかけないと防御される?(アンモナイトがどれほど殻に引っ込むかは微妙だが…) 巡航性より加速性 後ろに倒れた尾鰭、あまり長くない胸鰭
現生のタコの捕食者であるウツボやハモ(こちらは歯も似ている)も短距離突進タイプ 有殻頭足類はタコほど狭いところに潜らないのでヘリコプリオンはここまで円筒形ではないはず
後ろに倒れた尾鰭を持つトラザメ 少し起こすこともできる それほど重要な動きではない?
そもそもホホジロザメのように三日月形の尾鰭を持つサメ自体少数派であり特に大型の獲物を追うものに限られる ヘリコプリオンをそう描く理由がない
ただ大型であればある程度巡航に適した尾鰭にはなるはず
ある程度大きくてよほど底性が強くなければサメの体型になるのは自然(サメの体型自体に普遍性がある) それなりにサメに似ていたはず
ロレンチーニ器官 ギンザメにもある 殻に覆われたアンモナイトやオウムガイ相手には? 油断して殻から身を乗り出してるのが見分けられる?
サメの泳ぎ方 胴体の前の方から尾鰭の先まで波打たせることで尾鰭を大きく降る ファデニアの尾鰭はそのような波打つ動きをする構造か? 上下対称なところはその動きに向いていなく見える 関節の向きも違う
ギンザメの鰭は鰭条に節がなく半透明 ファデニアの鰭条もこれに似る 羽ばたきをやめるとすぐ沈む(滑空の動作)
ファデニアのようなアスペクト比の低い胸鰭だとしたら浮袋のない軟骨魚類にとって長距離遊泳はつらいかもしれない
全頭類の系統は胸鰭のよく動くものが多い(クラドセラケ、イニオプテリクス、ベラントセア) エウゲネオドゥス目も?
尻鰭、腹鰭がないとしたら胸鰭はその分器用に動いたはず 尾鰭による推進を止めたら滑空動作で降りる? 舵取り・姿勢変換・大きく上か下を向いたときに羽ばたく?ファデニアの胸鰭にはうっすらとよく動きそうな基部の要素が見えるもよう
照明に透ける鰭 タペタムが光る丸い目(ヘリコプリオンの場合これはない?)

https://blog.everythingdinosaur.co.uk/blog/_archives/2013/02/27/solving-the-mystery-of-the-spiral-toothed-shark.html


https://www.nationalgeographic.com/science/phenomena/2013/02/26/buzzsaw-jaw-helicoprion-was-a-freaky-ratfish/


https://www.semanticscholar.org/paper/Alternative-life-history-styles-of-cartilaginous-in-Compagno/4eeeb332d0af1f6200785413eaddfd55779a1801

クラドセラケ
背鰭の前の棘は背鰭とつながっていたかも?ネコザメの場合棘の途中まで埋まり残りも鰭と一体のシルエットを形成 クラドセラケの輪郭は?
あるクラドセラケの胃内容物 小型硬骨魚類65% 嚢頭類コンカヴィカリス28% コノドント9% 別のサメ1尾
鋸歯のない縁を持つ歯 小さく素早い獲物を追い丸呑みにする
胸鰭はよく動く(全頭類共通の特徴?) 先が少し尖っていた ツマグロ・シュモクザメと同等の遊泳能力?
クラドセラケは板鰓類に含まれない(胸鰭はちゃんと取付角が変わる)クラスパーも見付かっていない 全頭類寄り(真軟骨頭類Euchondrocephali 軟骨魚類全体がEuchondrocephaliと板鰓類に分かれる)
他にもサメっぽいが板鰓類でないもの多数 ファルカトゥス、アクモニスティオンなど
サメっぽい姿は軟骨魚類に元々備わっていたもの?ヘリコプリオンもサメっぽいことになる?

オルニトプリオン
鰓弓の高さからして胴体もおそらく細かった 小型サメのような細長い体型? 尾鰭はヘリコプリオンと同様ファデニアに近いV字と考えておく
輪状歯はあるがヘリコプリオンのようにはっきり巻いているわけではなさそう 下顎の突起の役割は? 底砂をかく? カジキのように叩く?

エキノキマエラ
ヘリコプリオンと違ってれっきとしたギンザメ目であり体型もギンザメを寸詰まりにした感じ
羽ばたきで泳ぐのはほぼ確実
個水槽に

クセナカントゥス
淡水性でナマズによく似た体型 大きく末広がりの胸鰭
棘には毒があるかも?
二又に分かれたスパイク状の歯 少し固いものも砕いた?
プール状の水槽に 池や川の魚であることを示す
どの種?確実に見たことがあるのはFPDMにあるデボン紀のドイツのもの(種不明) タイプ種のdecheni?

ヒボドゥス
第1背鰭が倒れていて第2背鰭が起きている 遊泳時の安定性を得るなら第1が起きていたほうがよさそうだが そこまで速くない? とはいえマスなども背鰭は低い
fraasi種

スカパノリンクス
lewisii種(レバノン、サヘル・アルマ) ミツクリザメと違い浅海生?だとしたら色素も失っていないことになるので肌の見た目は異なる
サヘル・アルマの堆積環境は深度150mほどの大陸棚辺縁部 今のミツクリザメの生息深度(最大1000m)よりは浅いがまだ比較的デリケート?
必ずしも深海性またはその一歩手前のものしか出てないわけでもない

メガロドン
歯の化石
顎全体の原寸図 スチロール切り抜き


気仙沼
サメ漁とヘリコプリオン化石にちなむ小さなサメ専門水族館 半分は博物館
規模は?アクアトトほどはない アクアリウムさがみはらくらい?大水槽はある すみだか京大白浜くらい
実際に気仙沼にあるのはシャークミュージアムだがヘリコプリオンは「サメ」(ギンザメ)であっても「シャーク」ではない(キマイラ)

時代別の展示
デボン紀 クラドセラケ クリーヴランド頁岩 温暖? クセナカントゥス
石炭紀 エキノキマエラ、ハルパゴフトゥトル、オルニトプリオン(先に多様化したのはギンザメのほう)
ペルム紀(メインのはず) ヘリコプリオン・ベッソノヴィ、気仙沼の無脊椎動物
ジュラ紀 ヒボドゥス・フラーシ(ギンザメの衰退、サメの現代化)
白亜紀 スカパノリンクス・レウィシイ
新生代 メガロドン(顎の模型・東北でなら山形県真室川町など) 現生サメ


大きな水槽を時代ごとに分けることのできない規模なのでは?
茨城県博のような博物館の水族展示を参考にすると汽車窓式の発展形として河川型になる 四角い部屋の壁沿いに床から天井までの水槽があり見学ルートはその内側をU字に巡っている アクアワールド大洗の途中もこれに似る
U字の見学路と一段高いサブ展示・壁一面の水槽は踏襲 茨城県博よりは長く U字を右腕から時計回りに進む デボン紀の大きな水槽2つ(海水と淡水)→U字の底・ペルム紀の大きな水槽→ジュラ紀・白亜紀・現生の水槽3つ 一段高いところに石炭紀の個水槽とペルム紀の気仙沼の無脊椎動物の浅い水槽2つ


大きな水槽にはクラドセラケとヘリコプリオンが1尾ずつ 活発なクラドセラケと大人しいヘリコプリオンの対比?
他にも何かいるはず ヒボドゥス?

叶倉統
ヘリコプリオンが見付かった地層
レプトドゥス、ワーゲノコンカなど腕足動物、オウムガイとアンモナイト、シュードフィリップシア
ヘリコプリオンがいる水槽にアンモナイトも? 殻を沈めておく

アンモナイト 岩井崎石灰岩 末の崎層 スタケオセラス・イワイザキエンセStacheoceras iwaizakiense 5cm程度 丸みを帯びてへそが小さい

上八瀬のサンゴ
床板サンゴ ミケリニア・ムルティタブラータMichelinia multitabulata
四放サンゴ アキシフィロイデス・リクゼンシスAxiphylloides rikuzensis
腕足動物 レプトドゥス ワーゲノコンカ
三葉虫 シュードフィリップシア・スパトゥリフェラ Pseudophillipsia spatulifera

第六十一話(厚歯二枚貝と座ヒトデ回)のメモ

厚歯二枚貝(ヒップリテスとディセラス)
ザイラッハーの説(共生藻類を持ち光合成させていた)はどこまで確からしいか
サンゴが優勢でない環境に適応していたのならサンゴとは生態が異なるということで共生藻類はない?
コンボウガキのような生態?
炭素の多い富栄養環境?
カキの殻は泥より低密度 隙間の多いチョーク層を浮体にしている 厚歯二枚貝にこの構造はあるか? カキは干潟で密集する リレー戦略を取りやすいように仲間を呼び寄せている?
オハグロガキSaccostrea カワガキEtheria 左殻がカップ状 薄い隔壁の間の空洞で浮力を保つ これらはそんなに極端でもない?

厚歯二枚貝(狭義)のタイプ
エレベーター ほぼ垂直に伸びる 泥に刺さっている 静かな環境にいたので同所的に生息姿勢で化石化しがち 他2つはそういうことはあまりない
クリンガー 45度くらいの角度で成長する 基質にへばり付いている
リカンベント ほぼ水平に伸びる 基質には固定していない 円弧状に曲がった形状で安定を保つ 潮の流れが強いところにいた ティタノサルコリテスのように素早く大きく成長した
異なった環境に適応していたのであんまり共産しない
成長の初期にクリンガーとして過ごし成熟するとエレベーターになるということもある(ヴァッキニテスなど)

外套膜の空間や櫛鰓で餌粒子を濾過
傾いたものは特に主流と底面両方から餌が得られる

共生藻類を持ったか
トレイテスTorreitesには外套膜の大きな空間があり藻類を確保できそうだがほとんどの厚歯二枚貝には外套膜を光に晒したという証拠はない ドゥラニアDuraniaの殻はきちんと閉まっていた 穴と溝が外套膜にいる共生藻類を育てるスペースかと思われたがむしろ濾過に関連 
生息環境は 濁って塩分濃度の高いところ mesotrophic(中栄養 富栄養でも貧栄養でもない) 共生藻類を持つのに適さない 厚く早く育つ殻を持つのはカキなどのほう 共生藻類に関連した炭素同位体の痕跡は化石に残らない

成長
酸素同位体の季節変動、潮の変化、さらに直接的に殻の中の有機物の多い層などから推定
殻の年成長率(mm)
Praeradiolites ciryi 3
Toucasia
carinata 70
Vaccinites ultimus 40~60
Radiolitids 3~数十
垂直方向の伸び率
直径1cmほどの小型種
Hippuritella vasseuri 16
Alencasterites mooretownensis=Biradiolites mooretownensis 14
大型のDurania 10~40
成長率は発生段階で変化 最初の1・2年は早い 肋は目立ち直径もよく増える 成体では10・50%落ちるがそれ以上下がらない(二枚貝には珍しい特徴) 寿命を迎えそうになると再び成長率が半減し、装飾が目立たなく層の厚さも薄くなる

生息密度 ときに炭酸塩堆積率が10~30kg/m2・年と特に大きくなる(通常は2以下) サンゴ礁で1~4
Crassostrea virginicaで0.5
長い時間尺度で平均すると炭酸塩の堆積率は19~50kg/m2・1000年に落ちる 浅い海の生息環境が限定されていたため 嵐に見舞われて周囲に拡散される

密集生息地
単一種で80・90%の面積を占める 様々な科の厚歯二枚貝がこのように密集する
Monopleura Math-

eron, 1842・1943, Mathesia Mainelli,

1996, Biradiolites, Durania, Hippurites

Lamarck, 1801, Vaccinites, Hippuritella, and

Coralliochama White, 1885 など
Hippurites praecessor のように50・60%程度しか占めないものも
礁を形成
若い貝の死亡率が高まったり参入が減ったりすると密度は落ちていく
年周期で繁殖 だいたい成体の殻の合わせ目付近に取り付く まれに殻の破片に取り付く
個体密度は最大800/m2 カキに匹敵 そのうち成熟するのは30%以下 同年代の競争者との場所争いによる 最初の数年に極端に死亡率が高くあとは滅多に死なない

幼体
最も初期の段階はHippuritellaとBiradiolitesで300μm 卵黄で成長してごく短い期間しか浮遊しない二枚貝の幼体に匹敵 あくまですでに付着した状態にある最大の幼体の推定値 ヒップリテレッラは他のヒップリテス類より密集して育つ ドゥラニアの場合外套腔にjuvenileの集団が見付かっている 発見された地域の広がりからするとドゥラニアの幼体は長距離を浮遊していたはず
状況証拠としては最初のヒップリテス類が現れたチューロニアンの段階で汎テチス海的にプランクトンとして分散していたといえる Torreitesは太平洋を東西に拡散していた


ディセラス
プラエカプロティナ・ヤエガシイ(岩手県田野畑村平井賀 白亜紀前期)
メガロドン


座ヒトデ イソロフス・シンシナティエンシス
2cmない 固いものに固着する 腕足動物の殻に取り付くことも 懸濁物が流れてくるところに腕足動物も座ヒトデも集まるから?
管足を歩帯から出して懸濁物を捕える フジツボのようなイメージ?
シンシナティ州の「州の化石」
イソロフスの歩帯板はちょっと複雑 互いに噛み合う大きな板の間に小さい板が2つ挟まっている

第六十二話(銚子のアンモナイト回)のメモ

犬吠埼展望台
階段の螺旋とアンモナイトの螺旋
内側を見ないと分からないもの 隔壁 貝細工の原料としてのアンモナイトの特徴(他に大きさの割に薄いということも)

岩のリップルマークや侵食による波打ちと海の波

蜂の巣状の岩の侵食とアンモナイトの隔壁

犬吠埼で生まれ育った裕香 潮騒が聞こえるのが当たり前(緑多い町で育った人間にとっての木々と同じ)

犬吠テラステラス 裕香の作品を並べるならこうした施設

銚子・犬吠埼と再生アンモナイトの関係 新しい観光資源としての養殖アンモナイト ただし養殖されているのは銚子層群のものと違うジュラ紀のものである 銚子層群のものはペリスフィンクテスやダクティリオセラスほど多産でない 銚子層群のものは飼育施設にいなくてはならない
どんな施設? 犬吠埼マリンパークは参考にしない(閉館する運命にあることになってしまうので) 漁業・特産物・ジオパークを紹介するような施設? やはりテラステラスや銚子市場的な場所
オーストラリセラスのような大型種を収容できるか ギガス種は50cm前後 漁業関係の施設なら? 水は豊富だが水質管理が問題
どこかから調達してきた死殻だけ展示されているというのもそれっぽい 銚子の人達がいつか生きたオーストラリセラスを迎えたいと憧れている?

裕香が刃を入れるのにためらっているのはよそのひとから預かったものではなく地元で育ったもの?
ホルコディスクスあたり?もっと大きいほうが
オウドウリセラス


銚子層群 犬吠埼のアンモナイト
堆積環境は?個々の種類で違いはあるか?それが生息環境を反映しているか?
犬吠埼
☆トロパエウムTropaeumの一種
☆オーストラリセラス・ギガス(犬吠埼のものはその近縁種)
伊勢路ヶ浦
ヘテロセラス・エレガンスの近縁種
☆アンキロセラス・チョウシエンセ
カルステニセラス・オバタイ(タイプ標本)
バレミテス・オオツカイ
パラサイノセラス・カドセロイデス
★ホルコディスクス・オオジイHolcodiscus ojii デスモセラス超科 顎器は"intermediate" スカフィテス科と比べ少し尖る 餌はオキアミ?
ネオコミトイデス・ミニムス
★プルケリア・ミニマPulchellia minima エンデモセラス超科(ペリスフィンクテスに近いといえば近い) 小さいこともあり餌はアルテミアに
プルケリア・マエダイ
長崎鼻
モルトニセラス
★ケロニセラス・メイエンドルフィCheloniceras meyendorffi アンキロセラス亜目ドウビレイセラス科 餌はアルテミア
★プゾシア・サブコルバリカPuzosia subcorbarica デスモセラス科 餌はオキアミ
酉明浦
★ネオシレシテス・ハギワライNeosilesites hagiwarai デスモセラス超科 小さくもないが殻口の大きさはプルケリアと大して変わらない 巻きが多い「サーペンティコーン」型 殻口が小さいとプランクトンを吸い込むのも難しい? 餌は細かくしたオキアミ


ドウビレイセラス
エピケロニセラス

琥珀

ややはっきりしない種も多い 特にアンキロセラス類 海外の明確な種を呼ぶことにすると目立つこれらの種が借り物ということにはなる アンキロセラスに絞ることになる 
オウドウリセラスAudouliceras renauxianumに一本化(大きさがちょうどいい、複数回見たことがある、筋肉や外套膜の痕跡による生態の推定例がある)
それでも銚子に縁があって銚子で育った仲間と見なされる

銚子層群
ストームに支配された上部外浜・大陸斜面上部の堆積物
犬吠埼層 粗粒砂岩 砂岩・泥岩互層を挟む 浅海域の体積構造 生痕化石・炭質物化石
アンモナイトや有孔虫から後期アプチアン前期
酉明浦層 泥岩・細粒・中粒砂岩互層 後期アプチアン前期
長崎鼻層 塊状中粒砂岩 泥岩を挟む 植物・琥珀 年代あいまい

遊泳力の低いアンモナイトの生態復元について
https://www.researchgate.net/publication/288042051_Ammonoid_Habitats_and_Life_History
バキュリテス 櫛状のコノドントによく似た歯舌 甲殻類と小さな巻貝がひっかかっていた 濾過食またはデトリタス食 アプチクスは殻の径と同等に大きいhttps://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0087479
スカフィテス科のもの(Rhaeboceras)の歯舌もよく似る https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/j.1475-4983.2012.01188.x
大きなアプチクス(内側の空間に歯舌が収まる)は二枚貝の殻のように水を取り込む空間の確保に用いた?https://twitter.com/greygriffon/status/988959080202035200
オーストラリセラスの顎器は楕円形をしていて尖っていない 獲物をつまんだりむしったりしないhttps://www.researchgate.net/publication/11371562_The_Jaw_Apparatus_of_the_Heteromorphic_Ammonite_Australiceras_whitehouse_1926_Mollusca_Cephalopoda_from_the_Aptian_of_the_Volga_Region
アプチクス型のやたら大きい顎器を持つものはみな同様?獲物をつまんで噛みちぎるのに向いていない
ペリスフィンクテスはアプチクス型
ダクティリオセラスとアマルテウスはアナプチクス型
歯舌まとめ(顎器とは関係あるらしい)https://www.researchgate.net/publication/300638118_Ammonoid_Radula
アンキロセラス型・スカフィテス型だと成長により住房だけがよく伸びるようになる スカフィテス型だとマクロコンク(メス?)で顕著 ネクトプランクトンからネクトベントスへ?オウドウリセラスでは最初から若干緩く螺環がめり込まない 元々泳ぎが遅いのは確か
ホプロスカフィテスは幅がやや狭いほうだが最終的には幅広い螺環になる クリオスカフィテスのように最初から幅広いものも かなり多様性が高い フォックスヒルだけでも数種はいた
どちらにしろ生涯プランクトン食性であることは変わらなかったことになる メスは卵巣のスペースをより多く確保した?
スカフィテス科のものからは殻の表面に寄生した動物がめったに見付からない(死殻に付いたものもわずかなので生きている間に取り除いたのではない) 殻皮に覆われていたかも

第六十三話(両生類の歴史回)のメモ

イクチオステガとオオサンショウウオ

内陸の淡水専門水族館
現生のオオサンショウウオだけでなく化石種もいる
両生類はずっとこうだったのか、恐竜が絶滅する前は
川を下る見学コース、世界の淡水と過去の淡水に分岐
白亜紀 ヒョウゴバトラクスとタンババトラクス
恐竜絶滅前にはすでにカエルはカエル
もっと遡ってペルム紀のゲロバトラクス
そしてイクチオステガ 「デカい魚が歩いてる」「ハゼなら歩くかもしれないがデカいのはおかしい」


時系列順に並べても両生類の多様性を表現しきれないので時系列順の展開は避ける
アンドリアスとイクチオステガの対比がメイン
様々な両生類を集めるのは本当に考えづらいか?
イクチオステガやエリオプスのように大型だとそのとおり 現生哺乳類の動物園と変わらない規模になる
小さい種類を集めれば? あわしまのカエル館のようになる 本当に特に小さいものに絞り込みたい
大きな種類もたくさんいたことは紹介したい エリオプスやディアデクテスの像? 飼っている施設からの映像や資料?
色々いることはいるが皆基本に忠実といえなくもない(細竜類などは相当変わっているが)
カエルの斬新さ 大幅な変態(というかオタマジャクシというものの突飛さ) 両生類なのに骨盤が発達している


小さい両生類
ブランキオサウルスは他のものの幼生らしい
ゲロトラックスは1mある
ミクロメレルペトン?
ディスコサウリスクス セイムリアに近縁で爬虫類の特徴がある
ゲロバトラクス
タンババトラクスとヒョウゴバトラクス

「世界と日本で飼われている化石両生類図鑑」
各施設の協力で作られることになる
両生類が主役の施設が難しいなら情報の上だけでも両生類を集めてしまおうという活動
特に出版に意欲的な(安佐動のように)施設の主導による

イクチオステガ→何か→アンドリアスと考えると間に収まるのはアンフィバムス 一方でディスコサウリスクスやセイムリアがアンフィバムスに対比される 図鑑でセイムリアが大きな扱いになっているはず
生態や形態の多様性を示すのに必要なのは
アカントステガ(ごく初期から多様だった)
クラッシギリヌス、ディプロカウルス(特に突飛な形態…細竜類なども?)
アファネランマ(トレマトサウルス類の海洋進出)
ディアデクテス(特に爬虫類に近付く 植物を食べる数少ない両生類)
他多数収録されているはずだが本編中では注目されないものとする
ヒョウゴバトラクスとタンババトラクス(カエルというものが両生類の歴史の中でいかに突飛か)

淡水水族館
海岸線も長いが川のあるところに住んでいる人も相当多い 川は身近な存在
しかし川に入ることはほとんどない 川は知られざる世界
近くて遠い世界を伝えるのが淡水水族館
古生物飼育上は 脊椎動物の上陸を扱うのには大型の淡水の設備が必要 重要なテーマを海水館ではなく淡水館が受け持つことになる
博物館的側面が増すということにもつながる
イクチオステガも資料的扱いが強め?

アンドリアスは現生国内魚類チームの受け持ち
イクチオステガを受け持つ古生物チームと連携が必要?
どちらもまだ小さいかも 特にアンドリアスはオオサンショウウオ基準だと長くて20年程度ではごく若いはず
井の頭の個体 28歳で111cm14.4kg
尾鰭の縁にある波や脇腹のひだのうねり(からだのくねりの凸側では伸びる)は輪郭を誤魔化し擬態効果を上げるはず 化石種もそうなる
前肢と首は呼吸のため顔を上げるのに便利 ティクタアリクが首を発達させたことやイクチオステガが先に前肢を発達させたのも呼吸に関連?
水底を進むときそれほど胴体をくねらせない
漸新世~中新世なら淡水の水温も今より高い?

イクチオステガ
肋骨と脊椎が頑丈 前肢は発達 後肢は弱い 尾鰭は小さい もっぱら浮力のない浅いところ?完全な陸上で這った?肋骨が陸上への適応として特に重要 それ以前のものでは小さかった
後肢は歩くのに使わなかったので胴体の柔軟性がなくても前肢で這うのに関係なかった
目は上向きだが前寄り 突進して餌を襲う?
頭骨はイクチオステガのほうが、体型はアカントステガのほうが魚類に近い
大きさは特大のオオサンショウウオといったところ
前肢の指は不明 後肢の指は7本
四足動物のクラウングループに含まれない(パンデリクティス―クラッシギリヌス、バフェテス科がステム四足動物)

The Britta Dal Formation
水路が発達していない湿原 定期的に洪水が起こる 同所的でない?一時的な居場所だった リンボク・シダ様植物 乾燥した環境で土が堆積した
様々な魚類とともにイクチオステガ・アカントステガが出ている
Table 10. List of the 21 species of fossil vertebrates of the Britta Dal et Aina Dal Formations,East Greenland
Placodermi (4)
 Asterolepididae
 Remigolepis incisa
 Bothriolepididae
 Bothriolepis groenlandica
Phyllolepididae
 Phyllolepis orvini
Groenlandaspididae
 Groenlandaspis mirabilis
Chondrichthyes (1)
 Cladodontidae gen. et sp. indet.
Acanthodii (1)
 Acanthodii gen. et sp. indet.

Sarcopterygii (14)
Onychodontidae
 Onychodus sp.
 Holoptychiidae
 Glyptolepis groenlandica
 Holoptychius sp.
Fleurantiidae
 Soederberghia groenlandica
 Jarvikia arctica
 Oervigia nordica
 Nielsenia nordica
Osteolepididae
 Gyroptychius dolichotatus
 Gyroptychius groenlandicus
 Thursius ? minor
Tristichopteridae
 Eusthenodon waengsjoei
 Spodichthys buetleri
Tetrapoda
 Ichthyostega stensioei
 Acanthostega gunnari
イクチオステガやアカントステガも当時は多様な魚のうちのひとつにすぎなかったともいえる
四足動物を魚に含めるのはこの見方では何の問題もない
水族館でイクチオステガが変な魚と呼ばれても事実でしかない?

エリオプス
テキサスのアドミラル層群をはじめ北米南西部のペルム紀前期
暴れる獲物を逃さない特徴が見られる 牙状に曲がった口蓋の歯
頑丈な骨格 発達した肋骨と肩帯(確実に頭骨と離れている) 筋肉の付着部 腰帯も体を支えるだけでなく進めるのに充分

豊橋の両生類
イクチオステガ
オンキオドンOnchiodon
スクレロケファルスSclerocephalus
ハドロッコサウルスHadrokkosaurus
アファネランマAphaneramma
キクロトサウルスCyclotosaurus
ミクロメレルペトンMicromelerpeton
アンフィバムスAmphibamus
ディスコサウリスクスDiscosauriscus
レトヴェルペトンLetoverpeton(ディスコサウリスクスのシノニム?)
セイムリアSeymouria

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