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古生物飼育小説Lv100 第七十九話をサイトに掲載しました

オロチ編はエピローグである今回をもって完結となります。成長したタンバティタニスのいるちょっとだけ未来の動物園をお楽しみください。今回もよろしくお願いいたします。

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カクヨム

以下はネタバレ込みの解説です。

楢崎ハル目線のお話が終わった前回とこのエピローグのみのキャラの目線で進む今回だけ「(主人公の名前)と(飼育されている古生物の名前)」が付きましたが、それより長編全体が「オロチ編」で8話やってエピローグの9話目のサブタイトルが「ヤマタノオロチ」っていうのをやりたかったんですよね……首の長い竜脚類がメインなので竜や大蛇に関する怪物をサブタイトルにして(いくつか怪しいですが)、9話目でそれらを束ねるわけです。物語は伏線が全てではないと思うものの、自分で書くぶんには伏線じゃなかったものまで後から伏線だったことにするのが好きなので。

動物園や水族館の「中の人」目線のお話を書いているとお客さんとして入ったときどんな風に楽しいのかをなかなか描けないのがもどかしかったので、「きょうりゅうの国」が完成した後のエピローグである今回はせっかくなので完全に来園者目線で園内を見る話にしてみました。

前までならモデルにする動物園や博物館を決めてそこで一日中過ごして自分の体験を基に生々しいエピソードを織り込んで……ということができるんですけどね、今回は例のアレが落ち着いてきたとはいえまだまだなので、そういう取材に出られなかったというのはあります。ヘッダーにしている「ちーたんの館」の写真にしても、タンバティタニスの骨格が展示される前の写真しかなかったくらいですからね。

なのでむしろ今回は自分の理想の見学という感じになっています。悟りでも開いたんかというくらい認識が変化するような、充実していて集中力が保てていて、実りの多い見学をまたしたいものです。VRゴーグル越しに見学ロボットで見られたり現在の現実の風景と太古の特定の年代に描き変えた風景に切り替えたりするのも自分の思う理想の展示方法ですね。

この際だからと色々現地の木でできてるのも自分の理想ですし、なんなら描かれてないものの、検査を済ませた後の糞や植物の管理で出た枝や枯れ葉や木材を燃やして園内で使う電力や熱を得ているというのも自分の理想です。

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園内のレイアウトをどうするかは(途中でさも決まってるかのように書いたんですけど)すごく悩んだところです。結局は一番好きな動物園のひとつであるのんほいパークのアフリカエリアをヒントに、あの「突然大草原が顔を出した」という印象を日本の雑木林の合間で感じられるように考えました。

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エピローグの主人公もモシリュウに関して不満があってそれが見学によって解消されるというのは決まっていたんですが、昨日国立科学博物館に4ヶ月ぶりに行きましたら、その間にモシリュウのキャプションが増えていました(右側の黒いボード)。これには背中を押してもらったような気がしました。

展示館内に女性二人の写真が掲げられていましたが、どっちが園長でどっちが飼育課長になったんでしょうね……いや楢崎が園長のつもりだったんですけど、大林のほうが向いてる気がして。

準備期間も含めて1年かかったオロチ編もこれで完結ということで、ようやく完成させることができてほっとしております。なにしろ執筆の序盤に全体のあらすじが決まった頃には自分の中ではもう全部存在しているお話だったのに、それを形にするのにはずっと長い時間が必要だったわけですから……。

これで(残り最大16種類のシルエットが書ければ!)オロチ編を第十集として本にして今年の「いえもにあ」出展に間に合わせることができます。そのときもどうぞよろしくお願いいたします。

次のお話までまたしばらく空きますが……、オロチ編にもその2とその9にトンボとCGの翼竜をねじ込んだくらいなので、第十一集分は飛ぶものが増えると思います。



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