映画『ドライブ・マイ・カー』を見て
今年見た中で間違いなく1番の映画だった。
「他人を深く知りたいなら、自分自身を見なくてはいけない」という台詞が心に残った。
妻が自分を愛していたことと、他の男と関係を持っていたことは矛盾しない。家福はそんな他者理解、そして自己理解のための長く深いドライブに出る。
理解するとはどういうことかを根本から丁寧に描いた映画だと感じた。
日本語、韓国語、中国語、英語、手話など、多言語が折り重なったあの空間では、これまで人間が築いてきた言語文化や歴史に思いを馳せた。それを基盤に、「相手とコミュニケーションをとりたい」という思いがあってこそ、あの空間が成り立っているのだと思うと、彼らがやっていることはとても尊いことだと感じた。「理解すること」のぬくもりを肌で感じて、本当に幸せな気持ちになった。まるで雪が溶けるように、いや、初めから雪など存在しなかったかのように...なんともあたたかく、優しく、おだやかで、もし本当にこのような空間が存在するのなら...と、いつまでもここに浸っていたくなった。
俳優さんの表情が忘れられない
物語の中で分からない部分もあったので、図書館で原作を借りてきた(金欠大学生の限界💸)
映画に出てきた元ウナギの女子高生の話が何を例えているのか、また同様に、家福、音、みさき、高槻らそれぞれの人物の行動とその結果が何を表しているのかを考えるのが面白かった。
それでもわからないことがあって、
高槻は自分自身のことについて気づいていたのだろうか?彼の描かれ方は何を意味するのだろうか?
→気づき始めてはいたけれど、まだ自分がやったと心から認めていなかったから、ああいった行動を抑えられなかったのか
行動の結果は同じでも、気付いてるか気付いてないか、あるいは気付いてても気付かないふりをするかって大きな差だなって思った
いや、これで、この小さな意識の違いで、結果が大きく変わってくるってことか
わからない
なんせもう一回みたい
監督・脚本は濱口竜介さん
カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞
脚本が面白いので、上映3時間があっというまです。あと、再出発させてくれるのが好き。
原作は村上春樹『女のいない男たち』より。
撮影監督は『きみの鳥はうたえる』や『さよならくちびる』などを担当した四宮秀俊さん。
俳優さんの表情がすっと心に入ってくるような写し方がわたしは好きで、ついつい何回も映像を見ちゃう。
濱口監督といえば、イタリア式本読み。
イタリア式本読みとは、できるだけ無感情で台本を読むという手法です。私たちは無意識に、今までの経験や思考や感情から、「こういうふうなゴールになるんだろうな」と結果を予測してそれに向かって行動してしまうんだそうです。だから、そういったバイアスを取り除くために、感情を込めずに台本を繰り返し読みます。それによって、真実に近づくことができるんだとか。その本読みの様子も、映画に映っていて、面白いです。
濱口監督の作品をもっと見たい。
今月は、『偶然と想像』見にいくよん!楽しみ^ ^
『ハッピーアワー』も気になるから見たい。
映画や演劇の面白さに浸れるのは、幸せなことだなぁ。そんな面白さを魅せてくれる濱口監督も好きって言っていいのかわからないけど好き以外の言葉が見つからないから好き。語彙力ほしい、、、
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