見出し画像

私だけの”恐竜博士”---たった15分の大冒険

私は恐竜が好きです。(突然)

こんなに大きいトカゲみたいな生物が地球上にたくさんいて、たった一瞬のうちに滅び、現代に化石となって人々を魅了する・・・

ロマンじゃないか...

そんな恐竜を好きになったというか、興味を持ったきっかけというか。
それは私の小学生時代まで遡ります。

突然現れたメガネ小僧との帰り道。

私が小学生の時、転校生が1人やってきました。
その子は遠いところからやってきたメガネをかけた男の子。
そして小学生のシンボルであるランドセルを持っていない男の子。
あといつも鼻水垂らしてた気がする。
実写版ボーちゃんですね。

そんな彼が私に「恐竜」を教えてくれた博士でした。

↓以下、ボーちゃんで話し進めます。

余談ですが、小学生の時って「みんなと同じ」がステータスじゃないですか。
ランドセルを持たず、リュックサックで登校していたボーちゃん。
みんなで手をつないで足並み揃えて進みましょう♪スタイルの小学生の価値観をもろともせず、俺は俺!といった感じで周りの子とすごいスピードで仲良くなっていった彼を色んな意味で最強だったんだな、と思うわけです。

話は戻って、、

ボーちゃんとは記憶上、同じクラスでもないし、何か共通点があったとかもありませんでした。

ただ彼とは「帰り道」が一緒だった。ただそれだけでした。

帰り道、15分のタイムスリップ

何がきっかけで一緒に帰ることになったのかは全く覚えていないのですが、小学校から分かれ道までの15分。
ボーちゃんはいきなり私に質問をしてきました。

「ねぇ、ティラノサウルスって知ってる?」

弟が恐竜図鑑を持っていたので、なんとなく聞いたことがあるその生き物の名前に対して「知ってるけど、もういないんでしょ?」と質問返し。

その質問に対して、にやっとしたボーちゃん。
完ペキなドヤ顔で「いないんだけど、残ってるんだぜ!」と言った彼の満面の笑顔に「何言ってんだこいつ」と超ドライ対応な私(ほんとかわいくねぇ・・・)

そんな私を気にもせず、彼のマシンガントークは止まらない。

今、大人が一生懸命その生き物の骨を探していること、骨からいつの時代に生きていたとか、体の形がわかること、それは自分の住んでいるマンションより大きいこと、ティラノサウルス以外にもまだまだ多くの種類の恐竜がいたこと、などなど。

自分の好きなものを饒舌に説明するボーちゃん。
最初こそ興味0だった恐竜の話。
その熱意と今まで聞いてこともない世界の話に、小学校からの帰り道たったの15分で、白亜紀までタイムスリップしたような気分になり、最後には目をキラキラさせてボーちゃんの話に聞き入っていました。

この日からボーちゃんと帰るタイミングがかぶるたびに恐竜について教えてもらいました。
一緒に帰る約束をしていたわけではないので、恐竜の話が聞けるのは毎日ではなかったですが、会うたびに
ボーちゃんは飽きもせず、私だけのために恐竜についてたくさん話をしてくれました。

たった15分の帰り道。彼は私だけの何でも知ってる恐竜博士になっていたのです。

さよなら、恐竜博士。またどこかで!

楽しい時間もつかの間。
1年もたたないうちにボーちゃんは次の街に引っ越すことになりました。

「あいつ、引っ越すんだって」と人づてに聞いた覚えがあるのですが、特に悲しいという感情もなく、へーそうなんだと思っただけでした。
完全に失ってからモノの大事さに気づくタイプ。

それから帰り道であっても、お互い引っ越しの話なんてすることなく、引っ越し直前までただただ恐竜の話をして学校から帰っていました。

そしてボーちゃんはあっさり引っ越しました。

お別れの挨拶もせず、自分の好きなことを話すだけ話して、いなくなってしまったボーちゃん。

この前の続きどうなんだよ。と思っても、誰も私に恐竜のことなんて教えてくれない。

弟の恐竜図鑑を見たり、覚えたばかりのインターネットで検索したりと自分なりに恐竜について調べて楽しんでいました。

それでも「人から聞く」話ほどおもしろい話はなくて、だんだんと恐竜から離れていったのですが、幼少期に興味を持ったことはアラサーになった今でも根付いているわけで。

北九州や東京の博物館を訪れてみる恐竜の骨、いつか福井にも行きたいな~なんて思いながら、頭の隅に現れる私だけの恐竜博士。

この話をすると「え、好きだった人の話?」と言われるのですが、全くそんな感情ないんですよね。
ただ私にスキの情熱を教えてくれた鼻水垂らしたメガネ小僧。
私のスキを1つ増やしてくれた大博士。ただそれだけです。

いまどこで何をしているのか、全くわかりません。
学芸員さんや、発掘者?学者にもなってるかも。
それか恐竜なんて全く関係のない人生を歩んでいるかもしれない。

まあ、元気にやってくれてればいっか。
それだけです。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?