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カンナビ(Kamnabi)

九條です。

大和周辺や出雲周辺などには「カンナビ」と言われる場所(地名)があります。漢字で書くと「神奈備」や「甘南備」などとなります。

「カンナビ」とは古代の信仰において自然(山や森など)の中で神様がおられる(います)場所もしくは神様が降り立つ場所という意味のようです。

「カン」は「神(カム/カミ)」で分かるのですが「ナビ」はどういう意味なのか、様々な説があってよくわかっていないようです。一説には「神並び」という解釈も。

この「カンナビ」はとても古い日本語で『万葉集』にもたとえば、

【万葉集】
神名火かむなび
ひもろき立てて
いはへども
人の心は
まもりあへぬもの
(『万葉集』巻第十一・二六五七/作者不詳)

【原文】
神名火尓 紐呂寸立而 雖忌 人心者 間守不敢物

【意味】
カンナビ(神様のいらっしゃる所/神様が降り立つ場所)に神籬ひもろぎ(神様をお迎えするための依代よりしろ)を立ててその神聖な場所をお守りするのだけれども、人の心までは守ることができないよ。

などの歌があり、おそらく奈良時代以前から使われている言葉のようです。

「カンナビ」とは、とても古い(古代からの)不思議な言葉ですね。^_^

山辺の道と三輪山

画像は奈良県桜井市の「山辺やまのべの道」と大和の神奈備山のひとつである三輪山。


【参考資料】
◎鶴 久/森山 隆 編『萬葉集』桜楓社 1986年

©2022 九條正博(Masahiro Kujoh)

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