これからのブランドとプロダクト

何度かnoteに書いているけれど、私の最近のいちばんの関心ごとは「コンテンツの配信元」と「受け手」の関係性の変化である。

吉本興業の「FANY」やHYBEの「Weverse」はアイドルやタレントのD2C化だと思っている。これまで、テレビや代理店に対してのBtoBビジネスから、直接ファンに語りかけるBtoCビジネスへの転換だ。

とはいうものの、D2Cってよく知らないなと思って、本や関連する記事を読んだ。そのなかで自分なりの整理ができつつあるのでnoteにまとめてみる。


ユーザー参加型経済

現在の経済は「ユーザー参加型」になってきている。
デジタルデバイスが身近になり、消費者がSNSを通してプロダクトの意見や感想を発信したり、ブランドとも直接コミュニケーションを取れるようになってきた。ブランドと消費者の距離が近くなっている。なので、ブランドが発信するメッセージは重要である。そこに共感することで購買につながり、その共感は別の消費者への新たな共感へとつながっていく。

ブランドの世界観への共感

消費者にとっては、どんなブランドに共感しているかはその人の個性の一つとなる。若い消費者は「何を持っているか」ではなく、「何をしているか」「何に興味があるか」といった、所有物ではなく行動によって自己表現をする傾向がある。これはZ世代がinstagramを過去の思い出を集積したブログではなく、今の自分を表現するプロフィールツールとして使うことからもわかる。

だから単に「機能が優れた製品」では消費者に届かなくなってきている。また「歴史ある大企業」だけで消費者と信頼を築くこともできなくなってきた。瞬間のインパクトで消費者の興味を引くという広告コミュニケーションの効果は薄れ、消費者はそのブランドの「世界観」を理解し、共感することで、長期的な関係を築くようになってきている。

発信すべきメッセージ

では何に共感するのか?どんなメッセージを発信していけば良いのか?もちろん明確な答えはないが、狭いカテゴリーでのポジション獲得から、一般化、その後ライフスタイルへとメッセージを広げていくのが主流な模様。これは私がめちゃくちゃリスペクトしている「Off Topic」の過去の記事にまとまっている。Off Topicはアメリカのテック業界を中心とした情報発信をしていて、日本にはそのムーブメントがだいたい2~3年遅れて入ってくる。参照しているカルトブランドに関する記事は2020年の10月の記事だから、今の日本にドンピシャだと思う。

ここで初期に選ぶ狭いカテゴリー(Off Topicでは「サブカル」と言っている)は何をすべきか?真にやりたいことがあればそれを選ぶべきだけど、戦略的にやるならば、消費者が今度どういったことに興味を持つのか?という未来予測が重要になってくる。前述したinstagramの使い方を見るに、Z世代以降は自己演出に配慮する。でも自己演出にもきっと傾向が出てくる。モノではなく演出しようとしている精神性に、おそらく流行があるのだと思う。

「Off Topic」が引用している「Blue Room Theory」はとても面白い。ミレニアル世代が家を買い始めていて、プロダクトはD2Cを選ぶ。家のどのエリアをどのD2Cブランドで埋めるか?でブルーオーシャンな市場を見極めるというもの。家を買ったミレニアル世代は次にペットを飼うから、ペット市場がアツい、というからまた面白い。日本人のミレニアル世代以下は家よりインスタでの自己表現が適しているように思う。

これからのブランドとプロダクト

ここまでの話はだいたい有形の「モノ」としてのプロダクトを持つD2Cに関する記述になる。冒頭で述べた「FANY」や「Weverse」といった無形のwebサービスに関しては何がいえるか?中抜きがないという点はもちろんだけど、やはり「ユーザー参加型」であるという点だと思う。instagram同様、こうした無形のwebサービスでのファンの動向は、デモグラフィックデータとは異なる嗜好によるユーザーのセグメントを形成していくのだと思う。こういった嗜好データをかけあわせることでユーザーの動向を検知し、次なるブルーオーシャンとなる市場を見つけるきっかけになるのでは、と考えている、というのが現在地。私の思考の旅は続く。。。

参考


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