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木の家に住まう

前回は肩慣らし程度の投稿でしたが、今回から少しずつ当事務所のオリジナル記事や過去のメルマガ記事などを編集し直したものをアップしていきます。

◆木の家に住まう
以前、とある物件の打合せに伺った時のことです。
外回りの現況と計画のための確認を終えて、家の前で少し立ち話をしている最中のこと。外に置いてある鉢植えの台として使われていた木片に私の目が留まりました。

長方形の木片の小口(切り口)がギザギザになっていたのです。
一瞬にして「あ~、これシロアリに喰われてますよ」と言ってしまいました。
そして次に、鉢を脇へ移動させ台として使われていた、木片を手に取ってみるとその裏側は、断面の半分ほどが年輪の形に沿って無くなっていました。

建物の周りに、薪等の木材を置くと良くないと言われるのですが、その理由がここにあります。

◆シロアリは食いしん坊
先方は、「でも、家は鉄骨だからシロアリにはやられてないでしょう?」と仰ったのですが、柱や梁などの躯体は鉄でも、床組は木であることが多いため、そこが狙われることがあります。畳表が食害に遭うこともあります。発泡系の断熱材も大好きです。

シロアリは木材の主成分であるセルロースを好むとされていますので、木でなくても紙や段ボール、前記の断熱材などが被害に遭っているのを確認したことがあります。

外部から家の床下への侵入経路は様々ですが、地中から来る場合、床下換気口から来る場合など様々なケースが考えられます。


◆シロアリ被害は見えない所で進行している
今回のケースのように目視で、一瞬にしてシロアリに喰われていると判断出来るケースは極稀です。何故なら、蟻害に遭う箇所って普段我々が目にしない個所(床下や軒先など)が圧倒的に多いこと、蟻害に遭うのは木の表面でなく皮一枚残した、それよりも内側の部分が喰われることが多いことなどが理由です。


◆被害の見極めポイント
しかし、それだとしても家や建物にシロアリが居る可能性を見極めるポイントは幾つかあります。そのポイントの内、幾つかをここでお伝えします。

その1;羽根蟻が居ないか?
寒い時期から少し暖かくなり始めた5~7月(多少の前後はあります)頃に水回りを中心にした箇所で羽根蟻を見かける事がある。水回りでなくても蟻害を受けている箇所があれば羽根蟻が居ることもあります。但し全ての羽根蟻がシロアリに関係するとは限りませんので、捕まえてじっくり観察する必要はあります。一番大きな見極め方法は4枚ある羽根の大きさが、殆ど同じ大きさで丸い形であること、胴のくびれがはっきりせずに、ずんぐりむっくりであること等がポイントになりますが、全てをお伝えするには文字では限界があります。

その2;カビ臭くないか?
床下を開けることがあれば、まずは匂いを嗅いでみて下さい。開けて直ぐに確認するのが秘訣です。時間が経つと匂いに慣れるためです。
カビ臭ければ要注意です。

その3;蟻道(ぎどう)が無いか?
シロアリは移動する時に蟻道と呼ぶ物を作ります。地中から基礎の立ち上り若しくは石の上に柱を直接載せているような構造の建物の場合、地中から柱に向かって、蟻道が延びていることがあります。蟻道は直径1㎝にも満たない土の塊のようなものが筋状になっているので見れば分かりますが、発見した時には既に使用後の場合もあります。
しかし、蟻道があると言う事はシロアリが通った証拠になります。

その4;叩いてみる(打音検査)
我々が床下などを覗く際、金づちなどを持って行くことが多いのですが、これは木材の表面を軽く叩いて音を聞くためです。
何も被害が無い木であれば中身も詰まっているので、コンコンとしたしっかりした音がします。被害に遭っている木の場合は中身を喰われている訳ですから、空洞になっているため音が少し違います。被害に遭っていないくても要注意の木は湿度が高く、木が少し軟らかくなっているため、叩けば軟らかい感触となります。
四角い木の場合は4面とも叩いて検査する必要があります。
丸い木も同じく360°を万遍なく検査する必要があります。

対処方法
もし、シロアリを見かけた場合、どうすればいいの?と言う事ですが、その場凌ぎなら既存の殺虫剤でも直ぐに効果はありますが、その方法は根本治療ではありません。
最終的には専門業者に依頼すべきです。
但し、世間に広く知られている駆除業者が使う駆除剤は農薬由来のものです。
農薬が床板1枚を隔てて床下に撒かれていることを考えると怖くないですか?

小さなお子さんや室内飼いのペットがいる場合、床に一番近い環境で生活しますので一番影響を受け易くなります。

ですので、私共では健康被害に影響が少ないとされるホウ酸を主原料とする駆除方法をお勧めしています。
勿論、新築の建物の場合も、こう言った商品や業者をお勧めするのですが、既存物件への対応では金額的に少しだけ高くなるため、安い方(農薬由来の薬剤を使用する駆除業者)を選ぼうとする方がいらっしゃいます。
個人の判断ですので、それが悪いとは言いませんが、イニシャルコストとランニングコストの考え方があるように、もしそれで健康被害を招いてしまえば、結果として割高となり兼ねませんので、私共では安い方ばかりをお勧めする訳にはいきません。

一番重要なのは、シロアリが発生する条件とならないような環境をつくることが重要なんですね。


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