見出し画像

文房具が好き

書いていたらただの随筆になってしまった。もしくは、インターネット老人会のような何か。捨てるのももったいないから、残しておく。

学生時代の文房具

学生時代は授業のノートを取らなければならないため、筆記具も紙も身近でよく使っていた。とくにこだわりもなかった。

中学生〜高校生では、そのときに目にとまったシャープペンシルを適当に使い続けていたし、大学生以降もそのまま使っていた。いま思い返せば、当時、入学や卒業のお祝いでもらった、ちょっと良い筆記具を使えば良かったのに、それを机にしまっておいて、普段使いの筆記具を使い続けるほど頓着しなかった。

ペンの色を変えてカラフルにすることにも興味がなく、板書で色を変えられたところに対応して色を変えた程度。紙の方も、普通の綴じノートを使っていた時期もあれば、友人に影響されてルーズリーフを使ってみたことも。あまり保管・保存も気にしていなかった。

身近な分だけ水や空気のような扱いと言っても良かったのかもしれない。

電子化への一歩

最近では、大学でPCが支給されたり購入が必須になっていたりしてノートPCを使う学生も多いようだ。もしかすると授業でも使っているのかもしれない。しかし、私が学生の頃は、持ち運びできるノートPCは出ていたが、電池の持ちを考えると一日使うには足りなく、教室に電源もなく(理工系だと座席ごと用意されている場合もある)、とても実用的にノート代わりには使えなかった。

今思い出してみると、大学4年生のときだったかに最初に買ったノートPCはキヤノンの製品で、ニッケル水素充電池を使っていて2時間程度だった。それでも、実用的に持ち運べて使える製品の一つだった。(INNOVA NOTEというブランドのものだったが、調べてもWeb上にはその当時の機種はなかった。Wikipediaにはブランドそのものが載ってなくて悲しい。)

Wi-Fi設備が大学に整っている時代ではなく、前述のように教室に電源もなく、プリントアウトも自宅か計算機センターでしかできない状態だった。家庭にモノクロのインクジェットプリンターが買えるようになった時代で、その前はドットインパクトプリンターをジーコジーコやるか、紙の扱いが難しい感熱紙プリンタでやっていた。当然、コンビニのコピー機で印刷できるとか、そんなことは想像もできない時代だった。

そういった訳で、ノートを書いてレポートを出すというのはハードルが高かった。それでも、その前に買っていたMacintosh Color Classic IIを使っていくつかのレポートを出したこともあった。電気工学系だったから、その手のドローイングソフトを使ったり、数式が書けるワープロソフトを使ったり。当時は、Microsoft Wordもあったがとてもそういった用途に使える印象はなかった。それ以外は、ほとんどは相変わらず手書き。

その後、情報系の大学院に行き、研究環境ではデスクトップPCを使っていたものの、自宅でもデスクトップPCを買うとデータのやり取りが面倒になって結局は研究室に入り浸って全てを済ませるようになった。

自宅のPC環境はほとんどまともに使わないままに過ごしていた。その間に、東芝のLibretto 30(たしか)を買っても、相変わらずメインの環境にはならなかったこともあるし、一人暮らしの工学系大学院生だったから研究室にいないときは寝ているかアルバイトをしているかといった感じで自宅で何かすることはなかった。

電子化の転換期

結局は徐々に電子化していったことに間違いはない。モバイルを本格的に使うようになったのは、PalmPilotの出現だった。正確には、同じPalm OSが入っていて日本語化が十分にされていたSonyのClieを入手したところから。

とくに、大きく変わったのは、スケジュール管理だった。Clieにしたことにより検索は簡単にできるし追加削除も簡単だしで、これで良いのではないかと思うようになった。今でも当時のスケジュールが手元で見られる。Googleカレンダーとなって。

それまではシステム手帳を使っていてスケジュールもそこに書いていた。当時、多くの人がそうだったように。それで満足していたのだけれど、たまたまそのときに同じ研究室メンバの研究テーマとしてスケジュール調整をするシステムが挙がり(結局頓挫した)、電子化する必要が生まれた。まあ、当時から電子機器のおもちゃを買うのが好きとは言わないにしても嫌いではなかったから、良い訳だったが。

その他にも、紙のアドレス帳がClieに置き換えられた。その一部は今でも引き継がれて使われている。

いずれも、今のスマホのように全てを済ませるには十分でなかった。PC上のデータのうち、出先でも使うようなものを持ち出したり、出先で入力したデータをPCに移すといったPCの補助的な用途にClieを使っていた程度。Librettoと同様に、メインにはなり得ないものだった。それでも、実用的に電子データを持ち運べるようになったことは大きな進歩だった。

働きだしても変わらず…

すでに、紙に書くのは、提出文書を埋めるときか、ハンドアウト書類にメモをすることくらいしかない状態だった。実際、保存性や検索性を考えると、電子データでテキストを残していく方が圧倒的に便利だったから。

Windowsがまともに使える時代になって、WindowsとLinuxを使い分けながら、仕事をしていた。電子データをLinuxサーバに置いてそこを経由することでできるだけどこでも使えるようにしていた。とはいっても、まだダイアルアップ回線が普通の時代だったから、外出先で見るというのは夢の状態だった。i-mode端末を使って、メールを転送するなどの少しのモバイル化がやっとできるようになった程度。サーバの任意のデータを読み書きするなんてことはできなかった。当然、Clieを携帯電話ネットワークに繋ぐというのも不可能だった(アメリカでは、Palmの別の機種で可能なものもあった)。

徐々にADSL回線が使える地域が広がって自宅でも加入した。でも、前述のように、自宅に居る時間はほとんどなくて、自宅のデスクトップPCで実験的なことで少し遊んでいた程度。

今でこそ、クラウドサービスを複数使い、PCを変えてもスマホでもiPadでも自在に作業を続けられる環境にしているが、当時はそれをやりたくてもできなかった。サーバを含めたネットワーク環境を整備することは自力でできる範囲を超えていた。

紙への回帰

今から十数年ほど前、仕事が少し変わり、ワークショップを主催するようになった。ここでのワークショップとは、何人かで頭を寄せ合ってアイディアを出したりそれに合わせた製品を試作したりする活動のこと。

当時のPC環境は、人気のあったThinkPadやLet's noteを持ち歩いていて、特にPC環境として不満があった訳ではない。それでも、ワークショップやその関連の打ち合わせでは手で紙に書いて、場合によってはそれを渡すようなことが増えていった。

その頃、メインがコンピュータだったとしても、メモや文書の校正は変わらず手で書いていた。手軽に書けるのは紙だったから。今でこそ、iPadとApple Pencilの組み合わせでPDF上に自然な感じで手書きできるけれど、当時はそんなものはなかった。(ずっと後だけど、Sonyのデジタルペーパーの初代が出たときには、魅力的すぎてすぐに買った。)

校正指示は手書きが基本だった。少なくともそういった用途で文房具は使っていた。しかし、特にこだわりはなく、それこそ学生時代から10年以上使っているようなペンを使ったり、職場にあった適当な赤いボールペンを使ったりというので済ませていた。

高級文具への興味

そんな中で、ふと文房具に興味を持った。たしか当時、誕生日プレゼントにちょっと高級な物を妻からもらえることになって、ほしいものを考えているときに行き当たったもののひとつだった。

調べることそのものや欲しいものを見つけ出してその欲しさを温めることが今でも好き。当然その頃も。だから熱心に調べた記憶がある。

調べていくと、海外の文具は格好良いものがたくさんあって、最初の一本にするのはどれがいいのかとても悩んだ。目移りした。

なにより悩ましかったのが、筆記具のリフィル(替え芯)の互換性の問題。相性みたいなものがあって、使えるものと使えないものがあるのだと。特に、海外の製品は日本のメーカーのリフィルが大抵使えないらしいと。これは今では必ずしもそうではないとわかっているが、当時はそういった認識で捉えていた。

実はこのときに、リフィルというものがこの世には存在して、大抵の筆記具にはリフィルがあるということを知った。これまででも、文房具店に行けばリフィルは棚にぶらさがっていたはずだから、本当に興味がないものは気にもならないという典型例のような話だと思う。

国内メーカーのリフィルを使いたいなら、4Cリフィル(多色ペンのリフィル)のものを使えば良いことがわかった。

4C対応のもので、RotringかLAMYのものが良さそうだと思った。デパートの文具コーナーに行き、触らせてもらって決めたのがLAMY 2000の4色ペンだった。ベタと言えばベタ。高級ペンの初心者の入り口にあるペンの一つ。しかし、すっきりしたフォルムで持ちやすい。4色ペンで万能そう。リフィルに困ることもなさそう。

LAMY 2000のペンは今でも持ち歩いていて、革のペンシースの中で揉まれているうちにペンの表面がテカテカになってしまっているが、それでも大切にしている。

そうやって使い始めてみると、ノートを書くのも楽しいもので、LAMY 2000だけでなく、BICやUNIのボールペンを意識しながら使うようになった。メモ用紙も、一時期はリーガルパッドをいろいろと試したこともある。基本的に、外でざっとメモを取ることがユースケースだったから、野帳(フィールドノート)を試してみたこともある。今はその熱も冷めて、紙のメモを取る機会も減ってきたけれど。

そういえば、芯ホルダーを集めていた時期もあった。今でも、ちょっとした落書きをするときに便利に使っている。それから、ポストイット付箋紙にボールペンで書いても見やすくならないかと、太い筆記線のボールペンを買い集めたこともある。

高級文具への興味、その後

そういったこともあって、今でもリフィルの互換性はとても気にする。

他の人がブログなどに書いている情報も様々だった。リフィルの互換性を気にするベクトルも様々。国内のメーカーの海外のメーカーに比べると安い軸を好んでいて、そのリフィルを交換したい人たち。海外のメーカーのリフィルが高いから国内のメーカーのリフィルに交換したい人たち。その他にも、インクの色へのこだわり、色落ちへのこだわり、インクの裏写りへのこだわり、などなど。

その中で私のこだわりは、海外メーカーの軸に対するリフィル探し。海外メーカーのリフィルが高いからというよりは互換品があること自体が良いとの価値観の中で。その他には、一部のコーティング紙に書くときにインクが乗らないことは気にする程度か。

LAMY 2000の後、少しずつ気になった新品を買ったり、リサイクルショップで中古を見かけたときに買ったりで徐々に集めてきた。ただし、超高級なものはない。あくまでも自己満足。

好きな形は、ミニマルなラインのもの。だからどうしてもLAMYに目が向くことが多い。ParkerやCARAN d'ACHEも安めのラインはそういったものが多いから手に入れている。PelikanもSouveränよりも安いラインは買ってみたことがある。実は、トンボのZoomのうち海外向けのラインは格好良いので買っている。

一方で、CrossやWatermanも安いラインが気になる傾向があるのだが、ほとんど手元にない。やはり、リフィルの互換性がひっかかるからかもしれない。Montblancは高いし互換性がないしで手が出せない。

そういった互換性について、今後書いていきたいと思っている。それを書きたいと思ったのもこのnoteにユーザ登録した理由の一つ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?