知識は無くとも恋には落ちる。松本山雅FCサポーターの情熱、サッカー知識ゼロの私を狂乱させた夢の世界
この背中を越えて、更なる頂を目指せ!!
初めましての方も、そうでない方も、こんにちは。薄荷(はっか)と申します。
サッカー知識ほぼ無し。ただ愛と勢いで、地元である信州松本のフットボールを追い求めていたところ、この度なんと憧れのOWL magazineにて書かせていただけるという運びとなりました。
当記事は所信表明ということで、自己紹介を兼ねた内容になっております。
読みたいのはサッカーのことだ!!
というアツい皆様は、どうぞ序盤はすっ飛ばして、見出しリンクからお好きなところへ飛んでください!私が一番伝えたいのは、サッカー知識がなくとも一瞬で恋に落ちてしまうような、屈指のサポーター熱量を誇る松本山雅FCの魅力、そこで活躍し愛され続ける選手たちへの想いです。
松本山雅FCに恋をするきっかけと、熱き「松本山雅FCのサポーターになる」とはどういうことか。初めてとなるこの記事では、そんな想いが伝われば嬉しく思います。
サッカーに関心のなかったオタク、不屈の闘志を愛する熱意
改めまして御挨拶を。私は松本山雅FCサポーター歴5年目、2017シーズンから観戦を始め、ゴール裏で熱狂する一員となりました。クラブの歴史を考えるとまだまだ浅いサポーターだと自認しております。しかし、熱意では引けを取るつもりはありません!
フットワークの軽さがピークだった2018〜2019シーズンには、ホームであるサンプロアルウィンに殆ど毎週足を運び、北は札幌ドームから南はLEVEL5スタジアム(当時)まで、行ける限りのアウェイも行脚してきました。
Twitterやnoteでは「薄荷(はっか)」と名乗っています。
読みづらいこの名前は、本名の「はるか」を由来にしています。「はる」と名乗る方々は沢山お見かけするので、真ん中を抜きました。人と違うことをするのが大好きなB型です。変人と思われる方もいることでしょう。でもそれは、褒め言葉として受け取らせていただきます!
ちなみに薄荷とは、ペパーミントの和名であるアレです。ドロップスに入っている白いやつとか。こんな漢字を書くんですね。
そんな私は生粋のオタク気質で、好きになったものには全緑登頂……、間違えました、全力投球です。漫画、アニメ、ゲーム、「好きだ!」と思ったものにはとことんハマり、夢中になって情熱をたぎらせてきました。
蛇足ですが、最近の流行で最もアツいのは『ウマ娘』です。現実の競馬を嗜むには至っておりませんが、アニメを勧められるがままに観て、トウカイテイオーという奇蹟の名馬にベタ惚れしてしまったのが全ての始まり。放送終了の寂しさに耐えかねてゲームをダウンロードし、数々の名馬ならぬ名ウマ娘達の魅力にやられてすっかり沼にハマった次第です。アニメもゲームも、元ネタとなった競走馬たちについてたいへん細かく作り込まれていて、その熱きドラマや史実への造詣を深めて行くのが、これまた楽しいのです。競馬は単なる賭博ではなく、ブラッドスポーツと形容され、その世界は奥深く、知れば知るほどロマンを感じて更なる奥へと引き込まれていきます。
その少し前には、『鬼滅の刃』の大流行に乗り、劇場版を3度も観に行きました。当時は子供と接する職に就いていた私は、最初はただ子供達と話を合わせるためだけに読み始めたのですが、まんまと泣かされ散々感動させられ、新刊を待ち侘びる一人になりました。煉獄さんが大好きで大好きでたまらず、「心を燃やせ!」が座右の銘になりそうです。あの鍔を是非とも商品化して欲しい。つい先日、その劇場版のBlu-ray&DVDが発売開始になり店頭に並んでいたのを見て、即刻で躊躇いなく初回限定生産版を購入しました。鑑賞する度に必ず泣いています。そしてすっきりと「これからも頑張ろう」と思えるのです。
以上が、オタク特有の暑苦しい語りです。
何が言いたいかというと。
強者は、常に強者ではない。挫けても、どんなに苦しくても、何度でも立ち上がる不屈の精神。熱くたぎり、燃えるスピリット。
そういうものが、とにかく好きなのです。
松本山雅FCを愛してやまないのも、そんな想いが根底にあるからです。
私にとって、その溢れんばかりの想いを表現する手段が、絵を描くこと、文章を書くことに繋がっています。
サポーターになってから、初めて描いたサッカー関連の絵がこちらです。
2019シーズンの、J1のユニフォームを着ています。勝てない試合が続き、降格か残留かと低迷し、ホームゲームといえば何故か悪天候ばかりという、苦しい時でした。
「晴天のアルウィンでOnesou1を叫びたい!」
そんな想いを込めて描いた記憶があります。自画像というわけでも別にないのですが、今でも気に入っていて、サッカー関連のSNSアカウントは大体この絵をアイコンにしています。
補足ですが『Onesou1(ワンソウル)』とは松本山雅FCのチームスローガンであり、SNSなどでサポーターは敢えてlの綴りに数字の1を用いて表記することが多いです。公式のロゴデザインがそう見えることと、タグ付けや検索のためではないかと思われます。
子供の頃から私は、絵を描くのも文章を書くのも好きでした。
今でこそ、「実は人見知りなんです……。」と告白すると「絶対嘘でしょ」と言われるような、初対面のサポーターさんとも躊躇いなくハイタッチができる私なのですが、学生の頃は人と話すのが苦手でした。
ひたすら一人で黙々と何かにハマっては、誰に言うわけでもなく想いを吐露する。そのためのツールが、私にとって「描く・書く」ことでした。
誰かと共有するより、部屋に篭って机の上で想いをぶち撒ける。自分の思うがままに愛を形にする。そうせずにいられない、熱量だけは誰にも負けない。そんなオタクです。
好きこそ物の上手なれ、とは言うものです。上達したいという向上心があったわけではなく、ずっと趣味として好きなことに全力の愛をぶつけてきた結果、少しだけ上手になったかな……。そんなふうに自己評価しています。
とにかく好きなことに没頭し、情熱をぶつける。それが高じて、こんなふうに公の場で表現できる機会を得られるなんて、本当に幸運なことだと思います。
ちなみに、歌うことも大好きです。高校時代は合唱部で、カラオケにも散々通いました。
だから、チャントを歌うのが大好きです!ゴール裏でテンション高く大声で歌っていたら、「お姉さん、歌うまいねえ!」と、見ず知らずのサポーターさんに褒められたこともありました。
そんなふうに人から褒められることが多いので、歌は得意だと自負しております。
趣味といえばインドアばかり。スポーツなんて、まるで縁なし。運動神経、良いわけがない!運動部からは陰キャと扱われ、体育なんて大嫌い!!!
そんな内向的なオタクがなぜ、対極にあるようなサッカーという外交的なスポーツ観戦にハマったのか?
その所以たる松本山雅FCの魅力とは。さあ、以下からが本番です。ありったけの熱を込めて語っていきたいと思います!
地域密着で愛されるクラブ、松本山雅FCの存在感
記念すべき、私のアルウィンデビューチケット。
そして、松本山雅FCに恋をしてサッカーの魅力を知る入り口となった、大好きなストライカーのサインを入れていただいた、宝物のチケットです。
この選手の活躍については、また後日、熱く語らせていただきます。勿論、他にも数多いるエース達、レジェンド達のことも、いずれ少しずつでも書けたらいいなと思っています。
なぜこの日、アルウィンに行こうと思ったのか?
それはとっても単純な理由でした。当時、よく一緒に遊んでいた仲間達のほぼ全員が、松本山雅FCのサポーターだったのです。
サッカーの話題になると私だけが会話について行けず、なんとも寂しいような悔しいような気持ちになっていました。
「松本市に住んでいるということは、松本山雅FCのサポーターである」
と、そこまで大見栄を切ることはできませんが、松本市民あるいはその周辺地域の住民でこのクラブの存在を知らない人はいない。それは断言できます。
そのくらい、松本山雅FCというクラブは地域に密着しています。そして、非常に多くの人々に愛されているのです。
街じゅうで、チームカラーである緑の旗が、ポスターが、飲食店では選手のサインが、至るところで目に入ります。飲食店に限らず、多くの個人営業店舗、あるいは病院や診療所までもがユニフォームやグッズを飾り、コンビニに立ち寄れば入口のマットが松本山雅FCのロゴ入り。何なら、垂れ幕を飾っているところも。
走っている車を見れば、松本山雅FCのステッカーやマグネットをつけているのは、珍しくも何ともありません。
松本山雅FCのサポーターである、というだけで、市民権を得られるのではと思えるほどです。
長野県松本市とは、そんな街です。
サポーターであろうと無かろうと、それを当然の光景として疑問にも思わずに、この地に生活する人たちは暮らしています。
「田舎だから、他に楽しみがないんでしょ」
そんなふうに、半笑いのように言われることもあります。その通りかも知れません。だって、熱烈なサポーターになるような人は大抵、お祭り騒ぎが好きですから!
でも、そんな「もっと楽しいものを俺たちに見せてくれ!」という情熱を追い求めたものが、Jクラブ屈指と言われるあの熱量なのであれば、上等です。
『俺たちの街には、松本山雅FCがある』
サポーターになる以前から、身近にあったこのフレーズ。かの浦和レッズをリスペクトして作られたスローガンであるらしいと、松本山雅FCに詳しくなっていく中で目にした記憶があります。
俺たちも、私たちも、浦和サポーターさん達のように、あんなふうに熱くこのクラブを愛したい。かつて、サッカー不毛の地と言われたこの松本に誕生したJクラブを、街をあげて応援したい。先人達のそんな想いが込められたフレーズは今や、至るところに浸透しています。
というわけで勿論、私も名前は知っていました。しかし自分の性根からは程遠いスポーツ観戦に、興味を持ったことはありませんでした。
でもなぁ。一緒に遊んでいる仲間の話に混ざれないのは寂しいなぁ。一緒に盛り上がってみたいなぁ。
一回くらい観に行ってみようかなぁ。
軽い気持ちで口に出したとき、周りの仲間達の目が輝き、「ぜひ来て!!」と言われたことを覚えています。あと、「タオマフは必須だから!なんなら貸す!」と。
当時、松本山雅FCはJ2リーグ。そして当然、最初からゴール裏なんて行かない、ハマるかどうかも分からない。なのに必ず持っていけと皆、口を揃えて言うのです。
なんにも知らなかった当時の私は疑問にも思いませんでしたが、今だったら、そんなふうに言われたって、ちょっと首を傾げてしまいます。
しかしその意味は、現地できちんと体感することになります。
渦巻く熱と一体感、運命の初観戦
2017年 4月29日(土) H カマタマーレ讃岐戦。
私のアルウィンデビューの日です。どころか、サッカー初観戦。写真を撮る気概もないような気楽さだったので、これは当日の写真ではありません。
ですが、『アルウィンってこんな感じ!』というのが少しでも伝わればと、近いものを引っ張り出してきました。
専用スタジアムだけあって、全方面からピッチがとても近いです。自由席券では入れないのですが、エキサイティングピッチシートという、ピッチと同じ高さの座席(写真左下から続く緑色の座席)も用意されています。
とはいえ、繰り返しますがこの日の私は初観戦。ピッチの近さや見やすさ、その迫力がいかなるものか、なんて分かるわけもなく。その日はアウェイゴールに近いバックスタンドからゆるりと観戦していました。
何の知識もない私。知っていたのは、「ボールがゴールに入れば1点」。ただそれだけです。オフサイドって何、PKとか聞いたことあるけど何でそうなるの。完全に物見遊山の素人です。
選手入場が始まるまでは、同行者とぼんやり話をしていました。
ホームゴール裏から爆音で聴こえる歌と手拍子、緑色の人波が絶え間なくさざめくのを遠巻きに、「あそこは怖いところだろうなぁ……。」なんて思いながら。
その光景ですら、そうそう見られるものではない。当時は実感もせず、当たり前のように「そういうものなんだろうなぁ」と思うだけでした。
座ったままで選手紹介を聞き、いよいよ選手入場となるその時。
始まる入場チャント「中央線」とともに、周りのサポーター達が皆、一斉にタオマフを掲げ始めたのです。
ここはバックスタンド自由席。何となく緑の服を着て行きましたが、そうでない私服の人も多く、選手紹介中も和やかな会話が飛び交う場所。
右に倣えでタオマフを掲げて見回したスタジアム内は、ビジター席以外の全てが、緑色のタオマフを掲げるサポで埋め尽くされていました。
掲げ、そして振り回す。ここにいる、松本山雅FCを応援する観客の誰もが。
メインもバックもゴール裏も関係ない。
見渡す限りの全員が、です。
もう、圧巻の一言に尽きる光景。何度見てもそう思います。「これがやってみたかったんだよ!」とアルウィンに来る人もいるくらいです。この一体感は、ただごとじゃない。どの席にいようとも、その圧倒的な一体感、Onesou1に包み込まれてしまいます。
強制されるわけでは決してない。
嫌な感じが一切しない。
ただ純粋に、この空間を楽しもう。
熱意で相手を圧倒して、後押しになろうぜ!
そんな暖かな気迫の渦でした。ゴール裏を見て怖いと思った私ですが、自然にそういうものなのだという雰囲気に飲まれ、タオマフを掲げ、振り回していました。
これもまた別の日に撮影したホームゴール裏からの写真ですが、コレオとなればこの通り。もう、一面の緑、緑、緑。
J2に在籍してすら1万人前後の観客動員数は珍しいことではなく、とりわけJ1にいたシーズンなどは一層多くの人々が、毎週スタジアムに詰めかけていました。
現在は感染対策の最中にあって、入場者数は当時の半分程度に制限されていますが、それでも「一面の緑」が、一つ飛ばしで座らざるを得ない座席を埋めています。
話は戻って初観戦の日。
ド素人の私は、ただひたすらボールだけを追いかけて観ていました。そうすると、自然とボールの近くにいることが多い選手に目が向きます。
この日、松本山雅FCはなんと4得点し、勝利をおさめました。そのうちの2得点を決めたのが、上述した大好きな選手です。
さらにさらに、そのうちの1点は、PKでした。どんな初心者であろうと、蹴る瞬間、得点の瞬間が、見れば分かります。
「カッコいい!!」
純粋に、そう思いました。あの人をまた見たい!そう思いました。
勝ち試合だったことも相まり、とても楽しい気分で観戦を終えました。あの時、その気持ちがなかったら、私は今、アルウィンに通っていないかも知れません。
楽しかったな。また観に行こうかな。
そんな気分で、帰路につきました。
熱狂のアウェイ観戦、ゴール裏への道
そこから少し間のあいて、来たる5月28日(日) A ツエーゲン金沢戦。
2回目にして、まさかのアウェイ観戦でした。
今やツエーゲン金沢のマスコットとして一躍有名となった、漆黒のヤサガラス様が初めて降臨した、まさにその日でした。因縁の“北信越ダービー”松本山雅FCとの対戦の立役者として、試合日のずっと前から思わせぶりな告知がたくさん出ていたのを覚えています。
「何か面白い奴が出てきそうだ……。」そんな匂いを漂わせて。
金沢は当時、縁ある土地でした。旅行も兼ねて、せっかくだし観に行こう!そんな軽いノリで、西部緑地公園に連れて行ってもらいました。
背の低い私にとって座席確保は死活問題です。どこに席を取ろうか……。良く見えるところがいいから、ゴールの真後ろかなぁ……。なんて、浅はかな考えを後悔したのは、選手がピッチ内練習を始める頃です。
ここはビジター席。ゴールの真裏とはつまりそういうこと、待ったなし。
心の底から怖じ気付いたのを覚えています。だって、ユニフォームもない、まともに歌えもしないのに!試合どころじゃない、頑張って手拍子して空気読んでおかないとまずいんじゃないの!?
そんな杞憂は、キックオフと共に見事に吹っ飛びました。
とにかく周りの熱量がすごい。誰か一人が歌えない、ノれないなんてことは誰も気にしちゃいないのです。だって、皆が注目しているのは、ピッチ内での試合の行方だけ。愛する松本山雅FCが、果たして勝つのか、選手は頑張っているのか!?行け!走れ!闘志を見せろ!!!
「今日もひとつになって、追い求めろ、俺らと!信州松本のFootballを、行け、山雅!」
夢中になって応援したのを覚えています。
サッカーの知織なんてない。それでも、周りの空気で、雰囲気で伝わってくるのです。試合の運びがどうなっているのか、皆がいかに松本山雅FCを愛しているのか。
そして何よりも、泥臭く負けない闘魂を、走り抜いた果ての勝利を熱望しているのが!
頑張れ、走れ!得も言われぬこの熱さ。それが原動力となって、手を叩き、歌い、飛び跳ねる。楽しい!歌いたい!一緒に叫びたい!なんて楽しいんだ、ここは!!
空気が重かった前半を取り返すように、後半に訪れた怒涛のゴールラッシュは、なんと5分間で3得点。そのときの熱狂といったら!
「止まらねえ、俺たち松本!暴れろ、荒れ狂え!!!」
緑色を着た仲間達が端から端まで叫び歌い、狂乱の中でタオマフを振り回しながら、得点チャントを立て続けに3度。終盤に更なる追加点を決め、見知らぬ周りのサポーター達とハイタッチする頃には、すっかり他のチャントも歌えるようになっていました。そして、完全に虜になっていました。
一刻も早く勉強しなければ!なんの引け目もなく、このアツさに混ざりたい!
運が良かったのも大いにあります。たまたま選んで観戦した試合が、続けて4得点勝利だなんて、そうそう有り得ないことです。
それでも、そのおかげで、そしてある意味ショック療法的なアウェイ観戦を経験してしまったことで、私の歩むべき道はもはや一択しかありません。転げるように熱狂的なゴル裏サポへの道を突き進んで行くことになりました。
そして今や、試合中に飛び跳ね手を叩くのみならず、こうして熱すぎる想いを文章化せずにおれないほどの情熱をもって、堂々とサポーターを名乗っています。
これもまた別の日ですが、金沢西部緑地公園のビジター席の様子がこちらです。
あまりに緑の軍団が詰めかけ過ぎてゴール裏に収まりきれずに、出遅れた私はこの位置からとなりました。
あの豊田スタジアムや日産スタジアムでさえ、ビジターの二階席を解放させたことがあるという、この松本山雅FCサポーターの一団。興味があれば探してみて頂きたいのですが、Youtubeなど動画サイトに、過去の様々な対戦相手のサポーターさんが撮ってくださったものも数多く見かけます。
政令指定都市どころか中核市にもなっていなかった(2021年4月1日に中核市へと移行しました)、ほんの少し郊外に出れば長閑な田園風景と美しい中央アルプスを展望するような地方都市に、こんなにも圧倒的な動員力と一致団結力を兼ね備えたサポーター達が存在するのです。
「松本、俺の誇り」。緑の一団はそう歌います。その中に、今では私もすっかり溶け込んでいます。
ここにいるために必要なのは、松本山雅FCを応援するという気持ちだけです。何ひとつ難しいことなんてなく、たったそれだけの気持ちから、たくさんの熱きサポーター達が誕生し、その初心を忘れないままに応援し続けているのです。
弛まぬ努力と貢献、愛され続ける勇者たちを追って
サッカーを知らないなりに、当時の私が聞いていたこと。松本山雅FCは、とにかく走って根性で闘うプレースタイルということでした。だからこそ、愛されるクラブなのだろうと、今なら分かります。
キーワードは「走力」。Jリーグに参入して間もない頃、育ち盛りの松本山雅FCに君臨した名将・反町康治監督(当時)が下地として作ったものは、まず徹底したラフプレーの排斥。そして武器として磨いたものは、堅守とセットプレーであったそうです。
選手に求められているのは、チームへの「献身」です。
その意味を、私が何となくでも分かるようになったのは、随分と後になってから。ただボールを追いかけて観るだけでなく、選手一人一人を判別して、彼らが何を意図してプレーしているのかを掴もうとするようになってきた頃でした。
「闘え、山雅!この街の誇り、気持ち見せろ、勇者たち!
行け、山雅!どんな時でも、俺たちがついてるぜ!」
上手な選手、勿論歓迎です。上手いと話題になっている選手の加入が発表されれば、皆が沸き、期待します。でも、それだけじゃない。私たちサポーターが真に見たいものは、この松本山雅FCというクラブをいかに想い、貢献してくれるのか。そういう献身性なのです。
「俺らは常に挑戦者」
ゴール裏に掲げられている、歴史の古い横断幕のひとつです。明らかな「格上」と比べて、様々な他と比べて、上手とは言えないかも知れない。しかしその分、走って走って、泥臭く上へ向かって挑み続け、「雷鳥は頂を目指す」。
面白さとは、サッカーの魅力とは、決して上手さだけではない、そんなふうに思います。だからこそ、私のような素人ですら恋に落ちてしまうのです。
2019シーズン、松本山雅FCが二度目のJ2降格の折、一枚の絵を描きました。
とても多くの反響をいただきました。クラブの礎となり、支え、貢献してくれた監督に、選手に、サポーターの皆が感謝している。そんな想いを強く感じました。
あれからもう、ずいぶん時間が経ちます。それでも、その時にサポーターだった人々の多くが、昨日のことのように勇者たちの活躍を語ることができます。その時ばかりではない、もっともっとずっと前から、数多の選手が松本山雅FCでの勇者であり、献身的な活躍を見せ、そして旅立っていきました。自分が、皆が愛した選手が、様々なところへ歩んで行っているのを、ずっと追い続けている松本山雅FCサポーターも大勢いるのです。
ありがとう。俺たちの、私たちの松本山雅FCを愛してくれたこと。この街の誇りを想い、貢献してくれたこと。
「どんな時でも俺たちはここにいる。愛を込めて叫ぶ、山雅が好きだから」
そう歌い続けてきたサポーターの声に応えてくれる勇者たちの献身を、皆が忘れるはずがありません。そして、感謝の気持ちを込めて、新天地での活躍を願い続けています。
さて、こんなにも後出しになってしまいましたが、このOWL magazineのテーマは「旅とサッカー」。
松本山雅FCサポーター達にとって、とても親和性のあるテーマだと思います。
初めて J1昇格を決めた、2014年のLEVEL5スタジアムへと飛んだサポーターは500人越え。2度目の昇格が懸かった、2018年の栃木県グリーンスタジアムへのシャトルバスは、なんと17台。勿論それ以外に、自家用車で駆けつけたサポーター達も大勢います。愛するクラブの、選手の、俺たちの誇りたる彼らの応援のためなら、どこへだって!
そのフットワークのままに、恋に落ちた選手を追って個人サポーターになり、遠くの「ホーム」へと想いを馳せたり、足を運んだりしている人たちも珍しくありません。
かつて松本山雅FCを献身的に支え、去っていった勇者たち。
彼らが、如何ほどまでにサポーター達に愛され続けているのか。
そんな彼らが残していった活躍、去ってなお追いたくなるその想い。サッカーと共に旅をする楽しさの合間に、そうした軌跡を皆様にお伝えし、知ってもらえたら。或いは、思い出して胸を熱くしてもらえたら、嬉しく思います。
そして、そんな選手たちを愛してやまない、私たち松本山雅FCサポーターの魅力についても、このOWL magazineという場で表現していけたらと思っています。
拙筆にてどこまで頑張れるかは未知数ですが、人一倍の愛と情熱をもって、挑戦してみたい所存です。
最後になりますが、当記事の所属するOWL magazineについての説明を。
上述でも少し触れましたが、OWL magazineは、「旅とサッカー」をメインテーマに掲げ、サポーターを主役とした視点での記事を公開しているWeb雑誌です。
基本的に毎日更新であり、様々な執筆者がそれぞれの目線をもって、サッカーをきっかけに始まる旅、或いは旅の中に見つけたサッカーに通ずる思いなどを、日々発信しています。さらりと読めるライトな記事から、ずっしりと読み応え抜群な記事まで、執筆者それぞれの色も加えて充実しており、読み応えのあるラインナップです。
そして、日本全国津々浦々、アウェイ観戦で飛び回りたい私たちサポーターにとって、共感値の高い情報(美味しいグルメなどはもちろん、サッカー観戦以外の御当地の魅力など!)を提供できるものと思います。
購読費用は月額700円。当記事は無料公開となっておりますが、ぜひ他のベテラン執筆陣の公開記事もお読みいただき、御購読いただけたら嬉しく思います。
私も諸先輩方に倣って精進いたします。
そして、これはまだ内緒話とのことですが、私たちの誇りたるホームタウンの松本に関して、とても大きな企画が現在進行中とのことです。まだ詳細を言うことができませんが、どうか楽しみにお待ちいただければと思います!
大変長文となりましたが、以上を持って所信表明とさせて戴きます。お読みいただき、有難うございました。
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OWL magazine 旅とサッカーを紡ぐWeb雑誌
サポーターはあくまでも応援者であり、言ってしまえばサッカー界の脇役といえます。しかしながら、スポーツツーリズムという文脈においては、サポー…
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