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わたしと、旦那と、お酒と。

酒は強いが、タバコは吸わず、ギャンブルはしない。
あと、ファッションセンスはあった方がいいなぁ。

それがわたしが付き合う相手に求める条件だった。
あなたはそれにぴったりだったんだ。
もちろん好きになった理由はそれだけじゃないけれど。


まだ付き合う前、大学の同じサークルの仲間で飲んでいたとき、赤ワインをわたしのデニムスカートに盛大にこぼされたことがある。
幸い、飲んでいたのが後輩の女の子の家で、もとから泊まる予定でいたので着替えを貸り、すぐに洗濯させてもらったので次の日は綺麗になったスカートで帰ることができた。
そのスカートはだいぶ前に処分してしまったけど、いまだに何かをこぼしたりすると「あの時の赤ワインよりはマシだけどね!」と話題にのぼる。


もともと普段家ではさほど飲むタイプではなかった。
お酒よりもスイーツに目がなくて、社会人駆け出しの頃はカフェ巡りが趣味だった。
ただ家系的に自分も飲めるクチなんだろうな、というのは子供の頃から薄々感じていた。
小学生の頃、宵宮の露店で焼き鳥を買ったとき塩を選んだらおじさんに「こりゃ将来酒飲みになるな」なんて言われたこともあったな。

そんなわたしが、毎日晩酌するあなたと一緒に暮らすようになり、同じように飲んでいるうちに、生活における「酒」のウエイトがだんだん大きくなっていったのが20代半ばのこと。
気づけば酒キャラが強くなりすぎて、職場の人から誕生日プレゼントに缶ビール1ケースを自宅に送りつけられるくらいにまで成長。
結婚したときにいただいたお祝いの品もビアグラスにタンブラー、ぐい呑みと、自他ともに認める酒好き夫婦が誕生してしまった。

外に飲みに行くときは、結婚してしばらくは多少値が張ってもオシャレで雰囲気のいいところへという感じだったが、ここ1,2年は俗に言う"せんべろ"にハマっていて、いかに安く美味しく飲めるかと酒場を巡る日々である。
こんな風に嗜好が変わってもお互い楽しめているということは有り難いことだなとつくづく思う。


ちなみにわたしたち夫婦に子供はいない。
授かりものなのでこの先どうなるかわからないが、妊娠・出産したら必然的にお酒を飲めない期間ができてしまう。
こんなことを言うのは不謹慎なのは百も承知なのだが、耐えられる気がしない。
わたしを尻目に美味しそうに酒を飲むあなたに殺意すら覚えてしまうかもしれないし、何よりやっぱりあなたと少しでも多く酒を酌み交わしたいんだ。


待ちきれなくて乾杯せずに口をつけてしまったこと咎められつつ飲む家でのハイボールも、野球場で解説者ばりにピッチャーの配球を予想しながら飲むビールも、旅先の旅館で味わうその土地の日本酒も、全部あなたがいるから美味しいんだ。
酔ってくると仕事の愚痴とか、答えが出ない宇宙の真理みたいな壮大な話をぶつけて来られるのはたまに困るけど、まぁそれはお互いさまか。


これからも、健康には気をつけつつ、二人で楽しんで、嗜んで、いきたい。



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