ウクライナ支援について。

 2023年9月18日、ウクライナのゼレンスキー大統領は国連総会に出席するために米国のニューヨークに到着した。バイデン米国大統領は同氏とワシントンで会談し、追加の軍事支援を発表し、米国は後押しを続ける方針を示した。
 今回は長距離ミサイル「ATACMS(地対地ミサイル)」などの武器や装備品、訓練や諜報活動など幅広いものを含む。バイデン氏は世界がウクライナと共にあることを保証するために、米国ができるすべて行う決意を固めていると述べ、「ロシアの侵略に直面しているウクライナの自由を守るために立ち上がらなければ、いかなる国も安全を確保することはできない」と強調し、ウクライナ支援の意義を説いた。
 ウクライナは14年にロシアによるクリミア半島の併合と東部地域での紛争を受けて、国際社会に支援を求め続けている。その中でも米国は最大の支援国として、政治的、経済的、軍事的に大きな援助を提供してきた。
 一方、米国と欧州の世論はウクライナ支援に対して多様である。これに賛成する人々は、ロシアの侵略に対抗するには民主的な同盟国であるウクライナを支える必要があると考えている。あるいは同国が安定すれば、ヨーロッパや中東の地域安全保障に貢献するという意見も強い。
 他方、これに反対する人々は、米国がウクライナに関与することで、ロシアとの関係が悪化し、紛争が拡大する恐れがあると懸念する。米国が他国の内政に干渉するのは、国際法や主権の尊重に反するという批判があり、また米国には自国内の問題や他の優先課題に注力すべきだという人も多い。
 欧州の状況を見ると、ウクライナは欧州連合(EU)やその加盟国からの支援を切望してきた。周辺の国々は大量の難民を受け入れ、英国、ドイツ、フランスなどは武器を供与している。
 しかし、欧州委員会が23年9月に実施した調査によると、欧州連合加盟国の平均で、ウクライナの支援に賛成する人は46%、反対する人は32%、わからない人は22%だった。
 賛成派の中にはウクライナの主権と領土保全を支持し、ロシアの軍事的な挑発に対抗する必要があるという理由を挙げる人が多かった。反対派の中では内政に干渉すべきでなく、ロシアとの関係を悪化させるという理由が多数を占めた。
 また賛成派と反対派の間には、地域的な差が見られ、東欧や北欧の国々では、ウクライナ支援に賛成する人が多く、西欧や南欧の国々では、反対する人が多かった。このように欧州諸国の世論は、ウクライナ支援に対して一様ではなく、多様な見解が存在する。
 このようにウクライナが頼りとする米国と欧州諸国の世論は、外交政策や国益の観点から分かれており、今後政策が変化する可能性がある。それぞれ大同小異であっても、無条件で戦争はすべきではない、この一言に尽きる。

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