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[第八話]冬。アディダスVSカッパ。

高校デビュー戦の後、いくつかの草試合に参加させてもらいました。

しかし、結果も的中も振るわず。全く成長している気のしない自分に苛立ちを感じ始めていました。

せっかく選んでもらってるのに……
せっかく試合に出させてもらっているのに……

この感情は、この先、弓道部生活の大半の時間、悶々と自分の周りを、つきまとうことになります。

その上、一部部員から

•デビュー戦はビギナーズラックだ。
•中て射だ。
早気はやけの的中てゲームだ。
•経験者の貯蓄でしか弓を引いてないないから全然ダメだ。

と言うような、いらん茶々入れが入る事もしばしば……日に日にエスカレートしていたので。
相手にしないようにはしていましたが、やはり毎日何度も言われ続け、耳を塞ぎ切るのはとても難しい事でした。

中には、それを”ニコニコしながら楽しそうに”言う人も居たので、困ったものですが。

結局そういう人は最後まで続かなかった、続けられない状況に追い込まれたので、自業自得なのです。
コンプレックスや虚勢を張るのはいいけれど、人を馬鹿にするのは、いいことないんだよ。

今なら

0w0(仮)「うっせぇわ!!悔しかったら私よりいい結果出してみろ!!」

…みたいな、言い返しを、呼吸をするかの如く吐き出すだろうけれど、当時は普段は口は悪い割には、肝心な時に強く言えない性格でした。
ホント、別人みたい。
でも、戦績も、3年間在籍していたと言う意味でも、俺の完全勝利。

ある初冬、T監督から呼び出されました。

T監督「おやびん、おやびん……」

0w0(仮)「(…おやびんって、誰だ?……私か…なんで、おやびん???)」

腹の中で”おやびんではないでしょ!!”と、先生にツッコミの言葉を飲み込んでいると、ウィンドブレイカー(防寒具)のパンフレットを貰いました。

冬に向けて、1年生は全員統一の名前入りウィンドブレイカーを購入するので、話し合って、どれにするか決めなさい。
との事。

そして、その取りまとめの指名が、何故か私に来ました。

0w0(仮)「と言うわけで。〇〇日までに、好きなものを決めなさいとの事です。……どれがいい?」

1回目の話し合い。すぐに話はまとまりました。

同期1「白がいい。」
一同「いいねぇ。」
同期2「アディダスがカッコいい。」
一同「じゃぁ、それでいいや。」

そして、その日のうちに、T監督に報告。
T監督は、了解。

……と思いきや……。
翌日。

先輩「アディダスなんてダメだよ!!カッパにしなさい!!」
0w0(仮)「そーなんですか?」

先輩に事情を聞くと、T監督の愛用スポーツブランドがカッパらしい。

そして、カッパのウィンドブレイカーを選ぶのが、毎年恒例の母校のジンクスなのだ、と。
アディダスを選ぶ事は前代未聞だと。
割と食い気味に、強い口調で言われました。

私は”ふむふむ”と、頷きながら話を聞き。

0w0(仮)「私の独断で決めるわけに行かないので、みんなに聞いてみますね。」

と、言いつつ、先輩は、

先輩「絶対、カッパじゃないとダメー!!」

と、叫んでいる。

そして、同じ日にT監督に呼び出され、優しい口調で

T監督「0w0(仮)おやびん。部長に(1年のウィンドブレイカー)アディダスだって言ったら、凄い怒ってたぞ。
アディダスじゃダメだって。
俺はなんでも良いんだけど、ちょっと先輩達がダメだって言ってるから、もう一回相談してみてよ。」

0w0(仮)「はい。」

その日の部活の際。
他の同期部員も、チラホラと、先輩にウィンドブレイカーの件、怒られていました。

0w0(仮)「くだんの件……どー思う?」

同期「白のカッパにすればいいんじゃない?(あっさり)」

我々の殆どは、別にアディダスには拘っていなかったので、カッパに変更!!という事で、話はまとまりそう…だった。

私自身も、みんながそれでいいと言うのであれば、たかがウィンドブレーカーごときで、アディダスに拘って、先輩と一戦交える所までは……管轄外だと思っていました。

ホント、重要なのメーカーじゃないから、どーでもいい。
そこは先輩と戦う意味が、私には見出せず、おそらく他の同期もそう思っていたのだと思います。

しかし……1人だけ

同期2「いや!!絶対アディダス。カッパなんて、ダッサイからダメだよ!!アディダスだね!!」

…と、ゴネ始めた。

0w0(仮)「……どーする?」
一同「別にカッパで良……」
同期2「ダメ!!アディダス!!そこは頑張ってよ。おやびん。説得してよ。」
0w0(仮)「(うっさいなぁ…)??私は説得しないよ?…でも、もう一回だけ、先生にアディダスで打診しようかな。それでいいですか?」
一同「いいんじゃね?(テキトー)」

T監督にもう一度報告。

T監督「先輩達すごく怒ってるぞ?」
0w0(仮)「そうですよね。
私たちは、カッパでいいんですけど……黒幕が……アディダスがいいと、どーーーーっっしても引かなくて。」
T監督「知ってる。あいつだろ?」
0w0(仮)「はい……」
T監督「もう1週間だけ待ってあげるよ。よく話し合いなさい。」
0w0(仮)「はい……」

そこからは、一部先輩達のカッパ至上主義主張の応酬と、同期2のアディダス絶対主張。

私はやる気を無くしていたし、他の同期ももはや”どーでもいいわ”という雰囲気でした。
もはや傍観者。

そうこうしているうちに、T監督が同期2に何か言ったのか、どうなのか…解りませんが。

同期2「おい、お前!!T先生に俺がアディダスでゴネてるって言ったろ!!」

と、私に突っかかってきたので。

0w0(仮)「うん。言った。事実、同期2以外はカッパでも何でもいいから。先輩とT先生説得したいなら勝手にやってくれ。我々は上手くまとまった方にしてもらう。」

…と、得意の”面倒くさいから、勝手にしてくれ”モードで同期2を突き放しました。

それから2、3日経って。
同期2は、少し大人しくなったかと思ったら、どう言う風の吹き回しか、いきなり、

同期2「カッパでいいよ。」

と、言ってきました。

こうして、我々も、先輩達に習ってカッパのウィンドブレイカーを手に入れることができました。
雪国の冬も余裕で乗り切れる、かさばらなくて暖かい仕様だったので、かなり重宝しました。

結構ちゃんとしたものだったので、防寒具とはいえ、当時、自分が身につけていた衣類にしては高価。
親にウィンドブレーカー代の話を出すときは……少し勇気を出しました。



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