何者かになりたかった話
自分は特別な人間だと思っていた。
人とは違うと思っていた。
いつかは素晴らしい才能が開花すると思っていた。
布団の中に入りながらそんなことばかり願っていた。
いつか、いつかと今を見ないフリして色々なことから逃げている。
まだその時じゃないだけと言い聞かせて自分を正当化している。
こんな人間にいつかなんて来ないことはとっくにわかっているのに。
結局私は何者にもなれず、特別な才能なんてある訳もなく普通の人間になってしまった。
なんなら成り下がってる、昔はもっと鋭い感性を持っていた気がするがそれすらもなくなってしまった。
小学校の時、あなたは人よりも鋭い視点を持ってると褒められた。
中学校の時、あなたは人の心を感じる力を持ってると褒められた。
高校の時、あなたは人よりも考える力を持ってると褒められた。
今はどうだろうか、私にはなにもない。
いつも褒められるとき、私はそれにあぐらをかいていた。
大した努力もしないのに結果ばかりを欲しがる怪獣。
人を羨んで憎んで自分のことは棚に上げて…
最低で最悪な人間ですわな
それでもまたいつかを夢見て今日は布団に潜る。
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