「グロテスク」の本来の意味を知りたいなら読め!バイオSFミステリー小説『デス・デザイン』

 我が「半身」であり多岐にわたる分野に身をおくクリエイター、「永良新」がついに小説作品を公開した。上記リンクがそれである。
 小説作品が公開されたと知った時、すぐにページにアクセスし、一章読了しないうちに興奮と衝動をそのままに本人へ連絡した。
「いま小説を拝読しているところなのだがぜひ感想をnoteに書きたく思って」・・・でも「我慢できずに作者に凸(とつ)したわけです」。ということで今回は作品レビュー記事です。

 えーーーーと先に、当てはまるなら絶対読めと思う「あなたは当てはまりますか」ポイント書いておきます。一つでも当てはまったらこの記事読んでないでさっさと本作品を読んでください。

  •  SF小説が好き

  •  映画の『バイオハザード』くらいのレベルなら楽しく観れる

  •  「グロい」のは苦手だけど異様なものはドキドキして楽しめる!

  •  哲学的な話を分かりやすく感じてみたい!

  •  英語しゅきしゅき!

  •  安楽死について興味がある!

  •  対になっている概念が大好き!

  •  死生学に興味がある!

  •  「死」には人称があることを知らない!

  •  スケボーは右足で蹴ってから乗る!

  •  マルボロを吸っている!

  •  サクッと異次元に逃避したい!

当てはまったら下記のものは後回しにして上記のリンクへ早く飛べ。

 はい、じゃあ本文始めますね~~~~~~

 本作品はタイトル『デス・デザイン』にあるように、「好みで死がデザインできる」近未来の物語である。概要を少し書いておく。
 本作品の舞台である国家「エレホン」は、シリコンバレーで活躍していたテクノロジストを中心とした余暇者階級者(特定の年代の方にとってはビル・ゲイツあたりの人物のイメージがそれにあたるだろう)が主に国民として所属する海上移動する人工島国を理想に作られ、再生医療の進歩によって可能となった培養細胞から生成された筋肉から成っている島である(詳しく言えばそのほかにも構成要素があるのだがぜひ作品で知っていただきたい)。勝手に名付けるとすれば「バイオ・ランド」であろうか。ハザードはなさそうである。
 そんな人工移動生物島国・エレホンは、国際的な地位の向上とともに労働需要が高まり「カラー」と呼ばれる労働者階級の移民が居住する無政府資本主義国家となった。また、再生医療が進歩したことにより、薬剤を定期的に飲めば人類は死をとりあえず免れ、服薬のタイミングも「端末衣」によって通知が来るようになっているので忘れることがない。そしてそれは同時に、「死」のタイミングを選べるようになったということなのである。

 ここまでだけでも眩暈がするような感覚の方もいらっしゃるだろうが、1930年代作品から現代までのホラー映画を楽しく観てきた私にとってはむしろ視力が上がる一方である。やれやれ!もっとやれ!

 そんなヤバすぎるキモ都市であるエレホンは、前述の通り「無政府」「資本主義」国家であるため、民間企業が「資本」をもって「筋肉都市」を占領している。ここでまた憎いのが、わざわざ「鉄筋都市」にコンクリート・ジャングルとルビを振り、「筋肉都市」と書いてマッスル・ジャングルとルビを振っているところである。カタカナの方だけ見れば筋骨隆々な人間たちが居住する森林でしかないのだが、「筋肉」で造られた「都市」なのである。もちろん動く。気持ち悪すぎるのである。だけどこうやって現存する身近なものの対になる概念を持ってこられると、フィクションがぐっと現実に近づいてくるような感覚にさせられるのである。肉いし憎い。肉が憎い。憎が肉いのかもしれない。どうでもいい。すきだ。

 さて、肝心の主人公は、オーダーメイドされた「死」を提供する企業『安楽園』で顧客の要望した死を叶える墓守(デス・デザイナーと読む)として働くラス・フィールドという女性である。ある日、ラスは、墓へ行くのではなく墓から移動してくる「墓参る」システムに使用されているドローンによって事故死した少年の死、つまり「すでに死んでいる人間の埋葬」をデザインする仕事を請け負い、死んだ少年の願望を限りなく掴もうと動くところから始まる。

 ここまで書いてて思ったんだけど本当にマジで読んだら分かるんですけどね、まあ本当にまずキモイんですよ。キモイ。マジで。
 私はホラー映画ファンと申し上げましたね。そのレベルは大体「オタク」の「オ」くらいです。詳しく言えば、1919年制作『カリガリ博士』やら、『ザ・フライ』と同じ原作ですがそれより古く最高のロマンスムービーである1958年制作『ハエ男の恐怖』から『シャイニング』の続編であり傑作である『ドクタースリープ』(2019年)や『エスター』のエピソードゼロ的作品『エスター2/ファースト・キル』(2022年)までいろいろと映画の歴史をシャトルランしている人間なんですがね、ここで言わせてください。

「グロい」の「グロ」で省略されている「グロテスク」って、『ひどく異様な姿かたちなので気味が悪いこと』を示すんです。

 ホラー映画で出てくる残酷な描写に対して言われる「グロい」は、実は「ゴア(ゴア表現)」と呼ばれるものです。「グロ画像」とか言いますが、あれは「気味が悪い」という意味合いで使われていたところ、おそらくそう呼ばれるもののイメージが固定されてしまって「ゴア表現」が「グロい」と言われるようになっているのかなと思います。

 

そしてまさに、『デス・デザイン』の世界はグロテスク。


あーーーーーーーーーーーーーーーーキモイ。異様グロい。
とにかく、読んでください。あと読み終わったら語りたいから私に声かけてください。
『デス・デザイン』無料公開終了は8月30日(水)18時だ。

疾走はしれ。


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