ワインの魅力を伝えるに難しい情報は提供してはいけないかもしれないという研究
消費者はワインの神秘を邪魔する情報は聞きたくない
消費者は従来のワインと比較してオーガニックワイン、または有機ぶどうワインに対してより多くの支払いをする意思があるだろうと考えますよね。
実はこれはワイン好きだから「そうあってほしい」と思うだけなのかもしれません。
研究によると、消費者があまり慣れていないワイン生産慣行について追加の情報を与えられた時は、支払う意志が失われることがわかりました。
それは、「ガゼイン」「卵白」「遺伝子組み換え酵母」についてです。
これらは極めて一般的なワイン造りに関係している情報であるにもかかわらず、その情報を入手した場合は、意欲が高まるのではなくむしろ、支払い意欲が下がってしまうのです。
ワインの支払い意欲を調査した研究方法
研究では3つの異なるグループの人々を作成し、一人あたり35ドルを与えました。そのお金でワインを入札するオークションを開きます。
1つのグループは何も情報を与えられていないグループ
2つ目のグループは有機および有機ぶどうワインの情報を提供されたグループ
3つ目のグループは2つ目のグループに提供された情報に加えて、従来のワイン造りの実践について学んだグループ
この3つのグループで何も情報を与えてないときに提示した支払い意欲は、追加情報を与えた時はむしろ意欲が削がれ、そしてさらにワイン造りの実践について学んでも上回ることはありませんでした。
唯一救いなのは、従来のワイン造りの実践に関する情報が提供された場合には、有機ワインの支払い意欲は元のレベルに回復しました。
なぜ追加情報によって支払い意欲が落ちるのか?
筆者のStreletskayaは次のように分析しています。
「ワインを消費する人の多くは、ワインについてあまり知りません。多くの消費者はワインセラーで眠るワインが成長すると考えています。
しかし、それをなるべく抑えるようなものが追加されていることがわかれば、消費者はあまり興奮しません。」
なるほど。本来長期保存するために必要と考えられている添加物や製造にかんする情報が提供されるほどそのワインへの期待が逆に抑えられてしまう可能性があるのですね。
また、「情報を追加することで、製品を選択することが難しくなる可能性がある」とも指摘しています。
これはシーナ・アイエンガーの「ジャムの実験」というものですね。
人間は選択肢が多くなると逆に迷ってしまう、考えるコストが掛かるので、買うという決断をしにくくなる可能性が指摘されています。
ワインの作られ方は消費者にとってはあまり気にならない
「ワイン造りの実践」について学んだグループだけ有機ワインの支払い意欲が元のレベルに回復したというのは面白いですね。
それでも最初の全く情報が与えられていない場合と同じレベルに回復したというだけです。
結局は「ワインの製造方法について語りすぎるのは必ずしも消費者の購買意欲を高めない」ということになります。
ワインについてマニアックな知識を提供しても、それが価格という面についてはプラスの影響を与えないという面白い発見です。
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