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スピッツ歌詞考察(第54回)ベビーフェイス


【基本情報】

ベビーフェイス
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:土方隆行&スピッツ
4分17秒

ベビーフェイス(Album Version)
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:笹路正徳&スピッツ
4分11秒

<リリース日>
1994年4月25日(8thシングル「空も飛べるはず」カップリング)

<収録アルバム>
空の飛び方(1994年9月21日リリース 5thオリジナルアルバム)

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

Bye bye ベビーフェイス
涙をふいて 生まれ変わるよ Yeah…
Bye bye ベビーフェイス
今日から明日へ かすかな炎を絶やさないでいて

華やかなパレードが 遠くなる日には
ありのままの世界に包まれるだろう
こわがらないで 歩きだせそっと
星になったあいつも空から見てる

Bye bye ベビーフェイス
涙をふいて 生まれ変わるよ Yeah…
Bye bye ベビーフェイス
今日から明日へ かすかな炎を絶やさないでいて

隠し事のすべてに声を与えたら
ざらついた優しさに気づくはずだよ
真昼の夢を壊さないように
星になったあいつも空から見てる
Yeah Yeah Yeah Yeah Yeah…

真昼の夢を壊さないように
星になったあいつも空から見てる Yeah

Bye bye ベビーフェイス
涙をふいて 生まれ変わるよ Yeah…
Bye bye ベビーフェイス
今日から明日へ かすかな炎を絶やさないでいて

絶やさないでいて 絶やさないでいて 愚かになれもっと

ベビーフェイス(作詞:草野正宗)

【考察】

登場人物は、涙を流している人と、それを励ましている人と、星になったあいつの3人です。
珍しく“僕”や“君”といった一人称と二人称が登場しません。

Bye bye ベビーフェイス
涙をふいて 生まれ変わるよ Yeah…
Bye bye ベビーフェイス
今日から明日へ かすかな炎を絶やさないでいて
“良い子ちゃん”とはおさらばだ。
さあ、涙をふいて生まれ変わろう。
かすかな希望を絶やさず、明日へと向かおう。

“ベビーフェイス”を“良い子ちゃん”と表現をしましたが、プロレスなどでは「善玉」のことをさします。
(対義後は“ヒール”で「悪玉」)
正義感にあふれていて真面目な性格であるがゆえに、人に騙されやすく、裏切られ、涙を流しているのでしょうか。
そんな“ベビーフェイス”に対して、主人公が励ましているというシチュエーションです。

華やかなパレードが 遠くなる日には
ありのままの世界に包まれるだろう
こわがらないで 歩きだせそっと
星になったあいつも空から見てる
華やかで楽しい思い出が遠くなる頃に、現実が見えてくるだろう。
怖がらないで、ゆっくりと歩き出せ。
死んでしまったあいつも空から見守ってくれているはず。

Bye bye ベビーフェイス
涙をふいて 生まれ変わるよ Yeah…
Bye bye ベビーフェイス
今日から明日へ かすかな炎を絶やさないでいて
“良い子ちゃん”とはおさらばだ。
さあ、涙をふいて生まれ変わろう。
かすかな希望を絶やさず、明日へと向かおう。

隠し事のすべてに声を与えたら
ざらついた優しさに気づくはずだよ
真昼の夢を壊さないように
星になったあいつも空から見てる
Yeah Yeah Yeah Yeah Yeah…
本心をすべてさらけ出したら、厳しくも優しい世界に出会えるはずだよ。
目標を見失わないように。
死んでしまったあいつも空から見守ってくれているはず。

睡眠時の夢は真夜中に見ますが、「真昼の夢」なので、ふだんから思い描いている夢のことでしょう。

真昼の夢を壊さないように
星になったあいつも空から見てる Yeah
目標を見失わないように。
死んでしまったあいつも空から見守ってくれているはず。

Bye bye ベビーフェイス
涙をふいて 生まれ変わるよ Yeah…
Bye bye ベビーフェイス
今日から明日へ かすかな炎を絶やさないでいて
絶やさないでいて 絶やさないでいて 愚かになれもっと
“良い子ちゃん”とはおさらばだ。
さあ、涙をふいて生まれ変わろう。
かすかな希望を絶やさず、明日へと向かおう。
希望を絶やさないでいて。
希望を絶やさないでいて。
バカになれもっと。

「夢を諦めないで」
「星になったあいつが見守ってくれているから大丈夫」
「良い子ちゃんでなくてもいいんだよ」
「もっとバカやっていいんだよ」

生まれ変わること、即ち「死」からの「生」であり、人生の応援ソングです。

つまり、
「ズルしても真面目にも生きていけるんだよ」
「懲りずに憧れ、練り上げた嘘がいつかは形を持つと信じよう」
「果実に手が届くなら、悪役になる覚悟を持とう」
ということですね。

馬鹿になれ
とことん馬鹿になれ
とことん恥をかけ
かいてかいて恥かいて、裸になったら見えてくる
本当の自分が見えてくる
本当の自分も笑ってた
それくらい馬鹿になれ

これは“ベビーフェイス”(善玉)でありながらも、その狂気性から“ヒール”(悪玉)のイメージも兼ね備えた“燃える闘魂”アントニオ猪木の名言ですが、通ずるものがあるのではないでしょうか。

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