見出し画像

スピッツ歌詞考察(第22回)ありがとさん


【基本情報】

ありがとさん
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:スピッツ&亀田誠治
4分11秒

<リリース日>
2019年10月9日(16thオリジナルアルバム「見っけ」)

<収録アルバム>
見っけ(2019年10月9日リリース 16thオリジナルアルバム)

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

君と過ごした日々は やや短いかもしれないが
どんなに美しい宝より 貴いと言える
お揃いの大きいマグで 薄い紅茶を飲みながら
似たようで違う夢の話 ぶつけ合ったね

あれもこれも 二人で 見ようって思ってた
こんなに早く サヨナラ まだ寒いけど
ホロリ涙には含まれていないもの
せめて声にして投げるよ ありがとさん

謎の不機嫌 それすら 今は愛しく
顧みれば 愚かで 恥ずかしいけど
いつか常識的な形を失ったら
そん時は化けてでも届けよう ありがとさん

ホロリ涙には含まれていないもの
せめて声にして投げるよ ありがとさん

君と過ごした日々は やや短いかもしれないが
どんなに美しい宝より 貴いと言える

ありがとさん(作詞:草野正宗)

【考察】

君と過ごした日々は やや短いかもしれないが
どんなに美しい宝より 貴いと言える
お揃いの大きいマグで 薄い紅茶を飲みながら
似たようで違う夢の話 ぶつけ合ったね

ここの歌詞は、文字通りの解釈で良いでしょう。
“君”と過ごした日々の光景を思い返しています。
「やや短いかもしれないが」のところに、もう少し一緒にいたかったという感情があらわれています。

あれもこれも 二人で 見ようって思ってた
こんなに早く サヨナラ まだ寒いけど

⇒まだまだ二人でしたいことがたくさんあった。
 こんなに早くサヨナラしないといけないなんて。

ホロリ涙には含まれていないもの
せめて声にして投げるよ ありがとさん

悲しみの涙には含まれていないものを、せめて最後に伝えたいから、声にして投げるよ。
「ありがとさん」

謎の不機嫌 それすら 今は愛しく
顧みれば 愚かで 恥ずかしいけど

“君”がなぜ不機嫌になったのか、そのときはわからず、衝突することもあった。
でも今となっては、それも愛しく感じる。
顧みれば、“君”の気持ちを理解できなかった自分が愚かで恥ずかしい。

いつか常識的な形を失ったら
そん時は化けてでも届けよう ありがとさん

いつかオバケになって枕元に現れて、この言葉を届けるよ。
「ありがとさん」

ホロリ涙には含まれていないもの
せめて声にして投げるよ ありがとさん

悲しみの涙には含まれていないものを、せめて最後に伝えたいから、声にして投げるよ。
「ありがとさん」

君と過ごした日々は やや短いかもしれないが
どんなに美しい宝より 貴いと言える
“君”と過ごしてきた日々は、やや短いかもしれないけど、どんなに美しい宝より貴いと自信を持って言える。

妻に先立たれた夫が生前の思い出を振り返り、仏壇の前で「ありがとさん」と声をかけている光景を思い浮かべそうですが、
「いつか常識的な形を失ったら
 そん時は化けてでも届けよう ありがとさん」

この部分で、死期を迎えているのは夫だとわかります。
焼かれたら骨だけになって常識的な形を失うので、そのことを言っているのでしょう。
死の直前、或いは直後で霊体となった夫が妻に対して「ありがとさん」の言葉をかけている。
そんな「死」がテーマの曲であると考察しました。

(第21回)桃←PREV|NEXT→(第23回)ラジオデイズ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?