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スピッツ歌詞考察(第23回)ラジオデイズ


【基本情報】

ラジオデイズ
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:スピッツ&亀田誠治
4分29秒

<リリース日>
2019年10月9日(16thオリジナルアルバム「見っけ」)

<収録アルバム>
見っけ(2019年10月9日リリース 16thオリジナルアルバム)

<タイアップ>
JFN(ジャパンエフエムネットワーク)4局(東京、愛知、大阪、福岡)合同50周年アニバーサリーソング(2020年)

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

選ばれたのは 僕じゃなくどこかの貴族
嫌いになるために 汚した大切な記憶

足が重くて 心も縮むような

そんな日々を拓く術を 授けてくれたのはラジオ
したたかに胸熱く 空気揺らしてくれるラジオ

笑顔を放棄して そのくせ飢えていたテンダネス
美しい奴らを 小バカにしてたのに変だね

手探りばっかで 傷だらけになったけど

どんな夢も近づけるように 道照らしてくれたよラジオ
危なそうなワクワクも 放り投げてくれるラジオ

遠い国の音楽 多分空も飛べる
ノイズをかき分けて 鼓膜に届かせて
同じこと思ってる 仲間を見つけたよ
何も知らないのに 全てがわかるんだ
決まりで与えられた マニュアルなら捨てて
また電源を入れるんだ
君がいたから僕は続いてるんだ

新しくなっても 痛みを越えても
大人になっても 君を求めている

こんな雑草も花を咲かす 教えてくれたんだラジオ
したたかに胸熱く 空気揺らしてくれるラジオ

どんな夢も近づけるように 道照らしてくれたよラジオ
危なそうなワクワクも 放り投げてくれるラジオ

ラジオデイズ(作詞:草野正宗)

【考察】

選ばれたのは 僕じゃなくどこかの貴族
嫌いになるために 汚した大切な記憶

選ばれたのは僕じゃなく、身分の高い人だった。
イヤな思い出として記憶するようになってしまった。

足が重くて 心も縮むような
意気消沈して、歩く気力もなくなるような…

そんな日々を拓く術を 授けてくれたのはラジオ
したたかに胸熱く 空気揺らしてくれるラジオ

そんな日々から立ち直らせてくれたのはラジオだった。
したたかに空気を揺らして音を届け、胸熱くしてくれる。

笑顔を放棄して そのくせ飢えていたテンダネス
美しい奴らを 小バカにしてたのに変だね

身なりが整っている奴らを小バカにしたり、笑顔をふるまうことをやめたくせに、思いやりを求めたしりて変だね。

手探りばっかで 傷だらけになったけど
どうしたらいいかわからなくて、傷だらけの心になったけれど…

どんな夢も近づけるように 道照らしてくれたよラジオ
危なそうなワクワクも 放り投げてくれるラジオ

夢に近づくための道を照らしてくれたのはラジオだった。
ハラハラドキドキするようなワクワク感も届けてくれる。

遠い国の音楽 多分空も飛べる
ノイズをかき分けて 鼓膜に届かせて

遠い国の音楽を聴くと、空を飛んだような気分になれる。
ノイズ混じりでも、それをかき分けて集中して聴く。

同じこと思ってる 仲間を見つけたよ
何も知らないのに 全てがわかるんだ

同じ音楽を聴きたいと思っている仲間を見つけたよ。
その人のことは何も知らないけど、絶対そうだとわかる。

決まりで与えられた マニュアルなら捨てて
また電源を入れるんだ
君がいたから僕は続いてるんだ

教科書なんて捨てて、またラジオの電源を入れるんだ。
ラジオがあったから“僕”は生きていられるんだ。

新しくなっても 痛みを越えても
大人になっても 君を求めている

新しい世界になっても、辛いことがあっても、大人になっても、ラジオを求めている。

こんな雑草も花を咲かす 教えてくれたんだラジオ
したたかに胸熱く 空気揺らしてくれるラジオ
どんな夢も近づけるように 道照らしてくれたよラジオ
危なそうなワクワクも 放り投げてくれるラジオ

こんな雑草みたいな“僕”にだって、花を咲かすことができるとラジオが教えてくれたんだ。
したたかに空気を揺らして音を届け、胸熱くしてくれる。
夢に近づくための道を照らしてくれたのはラジオだった。
ハラハラドキドキするようなワクワクも届けてくれる。

ラジオによって生きる意味を見いだせたという内容なので、テーマとしては「死」からの「生」でしょう。
また、ちょっと違った見方をすると、「ラジオ」を擬人化して書きしたためたラブレターのようにも見えます。

そして主人公をスピッツ本人に置き換えてみると、ラジオに対する感謝の手紙になります。

先に売れていくのは、人気がある選ばれし人たちばかり。
すべてが手探り状態で、音楽スタイルを変えたりもした。
何度も心が折れそうになった。
そんな日々を切り拓くきっかけを与えてくれたのはラジオ。
ラジオがあったから、いまの僕たちがある。

1987年にバンドを結成して以来、なかなか売れない日々が続きましたが、1991年にメジャーデビュー後初のアルバム「スピッツ」に収録された「ニノウデの世界」が、そして1993年には6作目のシングル「裸のままで」がFM802(大阪のFMラジオ局)のヘビーローテーションとなります。
その後、1995年の大ブレイクへと繋がるわけですが、自らの境遇と重ね合わせているに違いありません。

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