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広州市のコロナ最新情報(6月6日時点)

 現在広州市では、新型コロナウイルスの感染が広がっています。先週の「福福の知りたい広州!」でも報告しましたが、今回は、引き続き、広州のコロナ最新情報をご紹介したいと思います。

《福福の知りたい広州!vol.13》広州市、コロナ感染者判明で騒然
https://note.com/lychee_club/n/n54df555b5e64

●中国のコロナ対策

 5月21日以降、広州市内で発見された新型コロナウイルス感染症の感染者は、6月5日24時点で合計89名。日本や世界の感染者数と比較すると非常に少ない数ですが、今、中国では、この数十名の感染者の発生状況に戦々恐々としています。

 実は今回、広州市内で感染者が発生したのは、実に276日ぶりでした。9ヶ月にわたって患者の発生が確認されていなかったのです。これは、中国が入国の際に大変厳しい隔離政策をとっていることと関係があります。中国のコロナ対策は至ってシンプルです。「徹底的に検査、徹底的に隔離」です。

 そもそも、国外からの入国については、厳しい隔離策が取られています。飛行機に搭乗する前の72時間以内にP C R検査と抗体検査を受け、陰性であることを証明。入国後にはすぐにP C R検査。そして一般の人と動線を完全に分けられた上で、指定の隔離ホテルに送られ、2週間の完全隔離生活を送ります。部屋を一歩でも出たらアウトという厳しいものです。食事等の必要な物資は防護服を着たスタッフが運んできます。更に隔離終了前にP C R検査を受け、陰性であればようやく解放。解放されても、1週間後、2週間後にそれぞれP C R検査を受けなければならないという具合です。

 また、こうした検査の記録や、移動の記録、ワクチン接種の有無などの情報は、「健康コード」アプリで管理され、感染の危険度が「緑」「黄」「赤」のコードで表示されます。公共交通機関を利用したり、商業施設や公共施設などの施設に入ったりする際には、この建康コードの表示が求められます。これが「緑」以外の色を示していると、どこにも行けなくなりますので、生活に大きな支障をきたします。

 更に、ワクチンの接種も進んでいました。中国の場合は、最初は医療関係者などの感染リスクの高い業種にワクチン接種を行い、3月から18歳〜59歳の市民を対象にワクチン接種を始めていました。5月31日までに接種率は50%を超え、1,101万人に1,313万回の接種を行い、2回目の接種まで終わった人は既に325万人にのぼります。

 その他、街中ではマスクの着用を求められていました。特に地下鉄やバスなどの公共交通機関ではマスクを着用していないと乗車できません。広州の夏は長く、5月には既に30度を超える真夏日が始まっていました。外でマスクを着用していると、すぐに汗が出てきて息苦しい。それでも、周りを見渡すと、ほとんどの人がマスクを着用して過ごしている…。

…という状況の上で、276日ぶりに市内で感染者が現れたのです。

●感染者が発見された後

 5月21日に最初に感染が確定した75歳のお婆さんは、海外から帰国したわけでも、帰国者と接触したわけでもありませんでしたが、インドの変異株に感染していました。場所は、茘湾区という広州でも歴史が古い下町にあたるエリアです。75歳ですから、活発に動きまわっている訳でもなく、時折、飲茶に行っていたのが唯一疑われる感染源でした。そこから、広州市政府も感染対策の臨戦態勢に入ります。

 まず、お婆さんの親族や接触者などを可能な限り洗い出しP C R検査します。すると、同じ時に飲茶を利用していた別のお婆さんが感染いていたことが分かります。更に検査を続けると、このお婆さんから親族に感染していっていることも分かりました。感染者の居住地周辺は中リスク区域に指定されました。

 その後、前回の記事で紹介したように5月26日から荔湾区(101万人)、越秀区(116万人)、海珠区(172万人)と仏山市(323万人)の全市民対象にP C R検査が実施されました。大規模なP C R検査の結果、感染の広がりが徐々に判明します。中リスク区域は徐々に拡大し、感染が特に広がっているエリアは、高リスク区域に指定される事になりました。こうしたエリアに指定されたところでは、既に広範囲で封鎖管理されています。エリア内との出入りは厳しく管理されています。近くの地下鉄やバスなどは降りることができても、乗ることはできません。

 エリア内では、家から出ることを厳しく制限され、毎日P C R検査を受ける事になります。また、1日に一回家族のうち一人だけがエリア内で指定された場所に買い出しに行けるように制限されたり、完全に家から出られずネットで注文したものをマンションの管理人が運んできたり、といった措置が取られています。こうした中高リスク区域は、最後の陽性者が出てから14日間新たな感染者が出てこなければ解除されます。ただし、エリアが解除されても、しばらくは家にいることが求められ、7日後にP C R検査を受けるなどの措置が取られます。

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 それ以外のエリアは、低リスク区域となっております。基本的には外出などの制限はありませんし、普段通り通勤通学している人もいますが、自主的にテレワークなどに切り替えている会社も多いようです。不要不急のイベント自粛となり、家に人を招いての飲食は10人以下にするなどの呼びかけが行われています。広州市から市外へ出る場合には、48時間以内のP C R検査での陰性証明が必要とされています。こうした状況を受け、街中の雰囲気としては、やはり外出を控えようという感じになっており、街を歩く人は減少しているように感じます。

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 また、一昨日から、私が住む天河区(224万人)も全区民対象検査が始まり、昨日検査に行ってきました。区内各所に臨時の検査場が設けられ、大体徒歩10分くらいの圏内に一箇所は検査場があるような状況です。私が行った場所は、医療機関の駐車場に設けられた検査場でした。まずQ Rコードで個人情報入力画面に飛び、自分の名前や身分証明書の番号などを入力します。その後、列に並ぶと10人一組で検査を行います。実は、中国がこれだけたくさんの人の検査をすぐにできる秘訣はここにあり、一つの検査試薬で10人分をまとめて検査するのです。その中で陽性が出るようであれば、改めて該当者に連絡して、一人一人検査をする事になります。こうして天河区では、3日間で全区民の検査を終わらせようとしています。

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 こうした検査は、今や全市に及んでいます。6月6日に広州市政府が発表した内容によると、5月26日に市民に対する大規模P C R検査の実施を始めて以降、6月5日24時までに1608.81万人分の検査を行い、これにより33人の陽性患者を発見したそうです。

●ハイテク技術が次々に投入!

 このような非常事態になった時の中国の動きの速さには、目を見張るものがあります。今回、活躍しているのは「自動運転」を活用した物資の運搬です。

 6月4日に、広州市内の自動運転技術の開発をする会社WeRideが、自動運転による物資の運搬を始めました。前述した通り、感染者が出てきたエリアは中高リスク区域として、封鎖管理されています。そこに足を踏み込むと「健康コード」が黄色に変わる事になります。エリア内の住民は外に出られませんので、日々大量の物資をエリア内に運び込む必要があります。しかし、物資を運ぼうにも、運転手がエリアに入れば建康コードが黄色に変わってしまうので、その度に、すぐにP C R検査を受け、陰性である証明を受ける必要があります。

 このため、今まで実証実験として別のエリアで使用してきた無人バスや無人自動車をこうしたエリアに投入し、物資の運搬を担わせる事にしたのです。封鎖エリアから2キロくらい離れた場所から、無人で往復輸送し、一回の運搬で800キロの物資を運べるとのことです。封鎖エリア付近は車や人の通行が減っているとはいえ、普通の公道。こうした許可をどのようにしているのか分かりませんが、規制緩和のエリア指定を急遽変更していることが考えられます。また今後、ドローンなどの分野にも広がっていくようです。おかげで、企業にとっても自動運転のデータ収集を行い、技術の良い広告になります。また、広州市政府にとっても、封鎖エリアの住民の利便性を向上させるだけでなく、広州という都市の技術力を世界に発信する事になります。


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 こうしたコロナ感染防止の一連の措置は、正直、頼もしく感じます。感染症については素人でも、これだけ大規模なP C R検査を頻繁に実施して、感染の動向を掴みながら、感染が広がっているポイントには重点的に隔離措置を行う。それを実現するために支障となる部分は、最新のハイテク技術を活用して解決していく…、そんな姿を見ていたら、不安は安心に変わっていきます。そのために各自進んで協力をします。周りでも政府の対応に不満を漏らしている人の声は聞きません。これが、ピンチをチャンスに変えるということか…、と感じています。


《 ライチ局長の勝手にチャイナ!vol.13 》

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