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広州市、夏休み学童保育モデル事業を実施

《福福の知りたい広州!vol.16》

【 広州の子供達の夏休み 】

中国では、7月初旬から8月末までの2か月間が夏休みという学校が大半だそうです。
長い夏休みの間、誰が子どもの面倒をみるかというのは、中国の多くの親にとって頭の痛い問題であるとか。
最近、北京、江蘇省、河南省など多くの教育部門が小学生の夏季学童保育実施を表明し、多くの保護者が「公的夏季学童保育」の実施を歓迎しているとのことです。
この夏、広州市でも学童保育モデル事業が実施されます。

『廣州日報』2021年7月10日
「广州今年暑假将开展小学生校内托管试点」より

広く保護者のニーズを満たし、夏休みの子どもの世話が難しいという問題の解決に向けて、広州市教育局は「小学生の夏季学童保育実施に関する通達」を出し、今年の夏休み期間中、小学生の校内学童保育モデル事業を実施する。

◇各区5校以上で学童保育を実施
・市内11区全てにおいて、2学区以上を選び、5校以上で学童保育を実施する
・実施校の選択や保育時間については各区が定める
・対象は小学1年生から5年生まで
・共働き家庭のニーズに応えることを優先する

◇授業は不可
・夏季学童保育は、保護者の自主的且つ自由意志による申し込みと最寄り校での参加が原則
・保育内容は、基本的な保育サービス及び学習やスポーツの場の提供。情操教育、体育、美術、音楽などの講座や、クラブ活動や総合実践など、児童の資質の向上を図る活動など。
・補習や授業の実施は厳禁
・各区が主体的に計画、実施する
・区教育局は、学区内の小学校の教職員参加を調整したり、社会団体からサービスを購入することができる。

また、地域のコミュニティ委員会、保護者委員会、青少年活動センターなど各種社会的リソースを十分に活用する。
・民間の研修機関などを導入してはならない
・区教育局は、大学など高等教育機関と積極的に交流し、大学生ボランティアによる社会実践と小学生の学童保育を有機的に結びつける
・同じ区内の料金は統一し、経済的に困難な家庭に対しては料金を免除すること

今季のモデル実施とおして、教師権益の保障、料金徴収の仕組み、情報集約管理体制など様々な角度から評価、検討を行う。

【 福福より 】

夏休みの学童保育に関して、その他にもいくつか記事があり、そのうちのひとつの記事の結びに次のような一文がありました。

「学校が夏季学童保育を実施することは、家庭が負うべき夏休みの教育責任を肩代わりするものではなく、まして親から奪うものではない。夏休みは小中学生が心身共にリラックスし、自主的に学習し、社会実践する時間である。休みの期間中に、保護者はなるべく多くの時間をつくり子どもに寄り添い、積極的に子どもの健康的な成長に関わるべきだ」

普段、勉強に追われる子どもと仕事に忙しい親。そんな子どもや大人が、少しでも心豊かな夏のひと時を過ごせればいいなと感じました。

さて、広州市の学童保育について調べてみたところ、『2018年5月、広州市の小学校の一部で午後6時までの「学童保育」サービスが開始』という記事がありました。

ライチ局長、現在広州市の通常時の学童保育の実施状況はいかがでしょうか?

【 ライチ局長より 】

福福さんの話を受け、広州市における学童保育の状況を調べるため、実際に子供を小学校に通わせている友人に聞いてみました。

友人の校区では、二つの学校が学童保育の場所に指定されており、期間は、7月10日〜30日と8月2日〜13日の2回に分けて実施されるようです。午前は8時半〜10時、10時15分〜11時45分の2コマ、午後は2時半〜4時、4時15分〜5時45分の2コマ、合計1日4コマの時間設定がされています。

内容は、第三者機関に委託をされて実施されており、いわゆるクラスの担任が生徒を集めて行う補講のような形ではありません。クラスの人数は20人以下に設定され、対象は1年生〜5年生、共働きの両親の元で暮らす子供が優先されます。

学童保育で教えてもらう内容は、科学技術、美術、書道、サッカー、バスケ、囲碁など。子供たちは好きなカリキュラムを選択して授業を受けます。費用は、標準的なクラスで概ね50元/コマ(約850円)。10コマで8,500円となります。

これは、友人のいる区での措置なので、他の区だと、細かい内容の違いはあることでしょう。

友人も共働きの世帯になりますが、祖父母が近くに住んでいるので、基本的には休み期間中の子供を祖父母のところに預けています。もしも、祖父母に頼れない場合は、ヘルパーを雇って、代わりに子供の面倒を見てもらうしかないと言います。ヘルパーの費用は、日本に比べると安いのですが、それでも長期の雇用に対する出費は馬鹿にできません。

したがって、このような学童保育に対しては、それぞれの家庭の事情もあるし、授業の内容も充実しているのでいいことだと思う、と肯定的な意見で、敢えて言えば早く教えて欲しかった…、とボヤいていました。他の保護者の反応も良いようで、積極的に活用しようとしている保護者も多いようです。利用は、先着順ということですが、申し込みが殺到したのではないかと思われます。

確かに、夏休みの空き教室を活用して、民間企業や団体に委託する形で勉強以外の興味を育てるサマースクールを開講するというのは面白い話だと思います。そこに政府が関わることで、利用する費用を安く抑えることができるのも良い点です。

日本と同様、中国も子育てに対する負担の大きさが問題になっています。多くの子供の出産を促すためには、子育てに対する負担を積極的に減らしていくことが求められるため、こうした動きは更に広がっていくのではないかと思います。

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