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優秀な二人の教員の「違い」

こんにちは、ヨウです。


今日は、私の教員時代の経験からお話しさせていただきます。



O先生

O先生は、温和な雰囲気の女性教員で、いつも職員室で周りの先生にお菓子を配って「お疲れ様~」と言っている、どこにでもいそうなおばちゃん、という感じでした。

O先生は30年以上の経験を持つベテラン教員で、クラスの子どもたちと楽しく過ごすことがモットーの先生でした。教育論文は長い教員人生で2回しか書いたことがなかったそうです。


N先生

N先生は、小学生の子どもが2人いて、毎日「今日の献立、どうしようかな~。」とぼやいているようなママさん先生。週末にショッピングをすることが楽しみだという、ごく普通の方でした。

N先生は、20年以上の経験を持ち、学習指導はピカイチで、教育論文をたくさん書いている先生でした。集団をまとめ、個人の学力を確実に上げることに熱心でした。



優秀なのに、まるで違う二人

O先生も、N先生も、どちらも周囲の先生方から尊敬される存在で、「O先生やN先生と同学年で仕事ができるアナタは、本当に恵まれているよ!」と何度も言われたことがあります。

私は、この二人の先生と一緒に仕事をして、「こんなにタイプが違うのに、どちらも優秀。何が違うのだろう?」と疑問に感じていました。



「子どもの満足度」は違った

職員室で尊敬される先生は、ほとんどの場合、保護者からも尊敬されます。大人目線で「素晴らしい先生だ」と感じられているということです。

しかし、子ども目線から考えると、この二人は全く違っていました。

O先生は、子ども一人ひとりがのびのび出来れば良いと考えているタイプ。個人でも集団でも、楽しい空間になるように、と考えているようでした。私がO先生のクラスの子どもと話すと「O先生がこう言ってて、だからこうしようと思うんだ。」みたいに、子どもが先生の話を積極的にしている様子が手に取るように分かりました。

N先生は、子ども一人ひとりに確実に学力をつけたいと考えているタイプ。個人でも集団でも、全員が必要最低限の力をつけようとしている姿が印象的でした。私がN先生のクラスの子どもと話すと「N先生って、厳しいんだよ。」と愚痴っぽく話していることが多々ありました。(私がゆるいタイプだったので、言いやすかっただけかも…)N先生のことは嫌いではないようでしたが、あまり好きではない、といった感じでした。



重点が違う「優秀さ」

O先生は、子どもが楽しいと思えるような仕組みを作ることが中心。

N先生は、子どもに確実に学力を定着させることが中心。


私は、「二人の先生は、得意分野が違うから、重きを置く場所も違って、満足度も変わるんだろうな~」と思っていました。



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今、「O先生の方がいいな」って思った人へ。話ひっくり返します。

実は、O先生、授業もかなり上手です。N先生も、学級を楽しい空間にしていく能力も長けています。


O先生が受け持っていたクラスは、一年前に悪質ないじめ事件が起き、それをきっかけに学級崩壊を起こしていたクラスでした。クラスで靴を隠した犯人は出てこず、教室から飛び出す子は多数。校長や教頭が介入しても荒れは治らない、そんなクラスだったそうです。

N先生が受け持っていたクラスは、学級の荒れはなありませんでしたが、昨年度から低学力の問題を抱えたクラスでした。愛嬌のある子が多く、先生の言うことはきちんと守るものの、勉強内容は右耳から入って左耳から抜けていくような子どもがわんさかいる状態だったそうです。


そう、この二人の優秀な先生は、子どもの状況に合わせて、指導内容の重点を変えていたのです。私は、私に合う方法で指導を続けていましたが、この二人の先生は、子どもの状況に合わせて自分を変えて指導していたのです。だからこそ、O先生はクラスの雰囲気に比重を置き、N先生は学力定着に注力していたのです。

つまり、O先生もN先生も、子どもの満足度云々よりも、「目の前の子どもたちにすべきことは何か?」を考えたうえで、教育をしていたのです。



教える側の引き出しが大切

今、保護者と教員の立場が逆転し、保護者の意向に沿った教育をするような文化になりつつある学校現場。実は、学級崩壊を起こしてしまう先生は、50代の先生が多いのです。

これは、時代によって変わる子どもや家庭環境の変容に、教師が合わせることができず、その軋轢によって学級崩壊が生まれているのです。


私たちが子どものころは、スマホなんてものはありませんでした。しかし、今の子どもは大人一人一台スマホを持っていることが当たり前という世界で育っています。そうなってくると、私たちの今までの常識が通用しないことは明白です。

これは教育現場だけではなく、子育て全般にも言えることです。昔と今では、子どもの置かれた環境は違います。それに合わせて、どのように子どもに教えることが大切か、何を伝えることが重要かは変わってきます。

学級崩壊を防ぎ、子どもに合った教育を実施していくためには、教える側がいろんな引き出しを持っておく必要があるのです。



終わりに ~大人全般に言えること~

いかがだったでしょうか。

私たちは、学校の先生と聞くと「なんか頭の固そうな人が多いんだろうな」と感じてしまいがちです。確かに、そういう人は多い。

しかし、優秀で信頼度の高い先生方は、時代の流れをくみ取り、子どもに合った方法で教育を実施します。


これは、教育現場に限った話ではないでしょう。私たち大人だって、時代の流れに乗ることができなければ、仕事は上手くいかないでしょうし、損をすることが多くなりますよね?

「昔は親や先生から叩かれるのが当たり前だった。」「今の子どもたちはヌルい」みたいに、過去を引き合いに出して若者批判をしている人を悲しくなります。ああ、こういう人が上手くいかなくなっていくんだなあ、と。



私の実体験は、教育現場というごく狭い価値観の中で繰り広げられたものです。しかし、この二人の優秀な先生方の話は、汎用性があって役に立ったなあ、と思っています。


自分目線ではなく、相手目線で物事をとらえ、時代に合わせて自信を変容させることができる。そんな存在になっていきたいな、と思います。そして、その心は年をとっても忘れないようにしていきたいですね。私も、そんな記事が書けるように精進したいと思います。



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